第4話 厄災を払え

カメハメハ大王の能力で強化されたマスケット銃を四方八方から放たれた役小角は、銃弾を防ぐ為に自分の周りに強力な冷気を纏わせた竜巻を起こし、銃弾を空中で冷やしてスピードを下げた上で竜巻で散らした。

そして、兵士を一掃する為に自分の体を中心に辺り一面に放電して兵士を吹き飛ばした。


「はっ!

くだらねえ!

お前の怪力の方がよっぽど厄介だぜ!」


と得意げに役小角は、言うと

刀に雷を纏わせると、

鎧兜に付いているバイク等についている排気口の様な物から、突風を放ち体を加速させ、カメハメハ大王に斬りかかった。


「くらえッ!」


カメハメハ大王は、それを軽く避けると

辺りの兵士にハンドシグナルを送って槍を自分の方に投げさせると、それを掴んで大振りで斬りかかった無防備な役小角の腹を思い切り突いた。


「ぐあっ!」


役小角が、自分のスピードとカメハメハ大王の突きに挟まれた衝撃で体をくの字に曲げて間抜けに吹き飛び、地面に転がった。


「ははは

威勢は良いが戦闘慣れしていないな

全然、なっていないよ」


カメハメハ大王が、そう言って役小角を嗤笑すると

再び腕を前に突き出して


「放て」


と吹き飛ばされた兵士の代わりに前に出てきた部下に命じた。


役小角は、再び竜巻を起こして防ごうとしたが、

それを見越してカメハメハ大王が竜巻の中心に弧を描くように槍を投げ込んで役小角を攻撃した。

能力で強化された槍は、鉄球の様な質量を持ち役小角背中を強打した。


「がはッ!」


と役小角がそれに、怯むと

四方八方から放たれた銃弾が役小角の体を直撃した。

弾は、鎧のおかげで貫通はしなかったが、

体中に生身に石を投げつけられた様な痛みが走った。


「あああああああああッ!」


這いつくばって痛みに悶える役小角を笑いながら、

カメハメハ大王は、部下に一際巨大な棍棒を数人がかりで持ってこさせ、それを受け取ると役小角に向かって巨大な棍棒を振り上げて


「残念だが、これで終わりだ

呆気なかったが戦争とはこういう物だよ

君は一度引くべきだった

次はそうしなさい

まあ、次は無いがな」


と吐き捨てる様に言うと

力いっぱい棍棒を役小角に叩きつけた。


すると、役小角は頭を抱え発狂した。


「うあああああああァァァッ!」


そして、その叫びに呼応する様に鎧兜から高圧の水蒸気が放たれてカメハメハ大王を吹き飛ばした。


通常なら、焼け死ぬ程の高音だが、

シュラウド・オブ・ラザロのおかげで後方に吹き飛ぶだけで済んだ。


「おああああああッ!」


カメハメハ大王が、吹き飛ぶと

水蒸気は天に昇り、雨雲となると落雷を伴う豪雨を振らせた。


豪雨の雨粒は、一粒一粒がピストルの弾の様な威力で降り注ぎ、辺りの木をへし折って大地に降り注ぎ、カメハメハ大王の兵士が全て絶叫しながら血を流し、蜂の巣になった。


カメハメハ大王は、シュラウド・オブ・ラザロから放たれる光を見に纏い雨から身を守ると震えながら立ち上がり、


「なんだ...これは...

私の兵士が...」


役小角は、頭を抱え絶叫し続け

雨を自身の周りに集め巨大な龍の姿にして、

自信を包み込んだ。

その姿は、まさしく八岐大蛇だった。


八岐大蛇の首が辺りの木々を薙ぎ倒し、

カメハメハ大王の兵士の血を啜る様に体に取り込み、

大蛇の体に血管が張り巡らされた様な不気味な姿に変わると、役小角が大蛇から歩き出て怒りに燃えた顔でカメハメハ大王を睨みつけた。


カメハメハ大王は、それに怯え後退りながら


「待て、わかった

今回は、私の負けだ

撤退するよ」


と笑顔で言った。


すると、役小角は


「撤退?

何を言ってるんだ?

貴様は、一方的に此方に攻め込んだ

ならば、お前を救済する道理は無い

己がした愚かな行動の責任を果たせずしては終われない

それが、戦争だ!

男なら、最後まで華々しく戦って散れッ!

それが、お前が出来る唯一の自己救済だッ!」


そう言うと、役小角は刀を高く振り上げて

自らに雷を落とし、

刀と鎧に電流を流すと


「これなるは、厄災から生まれし

必勝の剣ッ!

その理不尽を前に膝を着いて涙を流せッ!

神怒伏死・草薙剣たたり・くさなぎのつるぎッ!」


刀をカメハメハ大王に向け

それに、したがって八岐大蛇が咆哮を放つと、

落雷が竜巻の様な螺旋を描き、鋭い槍の様にカメハメハ大王に向けて放たれ、それを追って八岐大蛇が大地を削りながらカメハメハ大王に突進した。


「うあああああああッ!」


カメハメハ大王が、襲い来る厄災にただ叫ぶのみだったところを


「これなるは、龍を屠りし聖人の刃ッ!

二天一流・滅龍剣空へ至れ・アスカロンッ!」


カメハメハ大王の前に突如、白馬に跨った宮本武蔵が飛び出し、二振りの刀に黄金の輝きを持たせて雷を切り捨て、

八岐大蛇と押し合う様に刀で切りつけた。


「なにッ!?

だが、たかが刀二本で厄災が止められるはずがないッ!

押し潰せッ八岐大蛇ッ!」


そう言うと、役小角は追い風を起こし、

八岐大蛇で武蔵を押し潰そうとすると、


「うおッ!」


と武蔵が少し押され、


「くそうッ!

もう良い戻れベイヤード」


と言うと白馬が金色の粒子となり鎧に吸収される様に消えると、強く地面を踏み込んで八岐大蛇を抑えた。


すると、後ろにいるカメハメハ大王は

武蔵の姿を見て


「おい、

どう見ても無理なのはわかっているだろう?

いくら君でも、そんな巨大な物...」


と不安げに言うと


「なあに、こんなの鯨を切るのと変わらんさ

どれ、見ててみろ

うおおおおおおおおッ!」


と足の踏み込みを更に強くし、

少しだけ八岐大蛇を押し返した。


「どうだ

見たかッ!

この調子で此奴を叩き切ってやるわ

はっはっはッ!」


と得意げに言うと

カメハメハ大王は、それを見て微笑み


「全く、呆れたよ」


と言い、怯えるのを止め、武蔵の後ろで腕を組み


「では、力を貸そうかッ!」


と声を張り上げ、能力を発動した。


すると、武蔵の刀の黄金の輝きが増し、

刀身が炎の様に煌々と紅く輝くと

二人、声を合わせ

「「世を飽和する無辜の魂を救済し、我らを希望と化せッ!

アスカロンッ!」」


と叫ぶと二振りの刀身に紅の十字架が姿を現し、

武蔵が力いっぱい刀を振り下ろすと

八岐大蛇が吹き飛んだ。


「なんだとッ!」


役小角が、それに驚き武蔵に向けて刀を構えると

武蔵は、刀を二振りとも鞘に収め、

武蔵は、刹那のうちに役小角との距離を詰め、

役小角の瞳が武蔵の姿を捉えるよりも速く長い方の刀を引き抜いて役小角を斬り捨てた。


「うあああああああああッ!」


余りの衝撃に役小角は吹き飛んで、纏っていた鎧の胴体部分は、正面が粉々に砕け散った。


「もう、終わりだッ!

潔く戦場の花と散れッ!」


武蔵が吹き飛んだ役小角にそう叫ぶと


「クソッ!

そうしてやる責めて相打ってでも貴様を倒すッ!」


とボロボロの体に鞭打って立ち上がった。


「いい心掛けだ

その度胸に免じて楽に殺してやるッ!」


と武蔵が阿修羅を思わせる気迫を放ちながら役小角を睨むと、役小角の体は硬直した。


「なんだこれは!?

クソッ!動けねえッ!」


役小角が、焦り体を動かそうとすると


「トドメだッ!

悪を滅ぼせッ!アスカロンッ!」


武蔵が長い方の刀を振り上げ、刀身に全ての力を注ぐと、

巨大な黄金の刀に変えると刀身から深紅の十字架が浮かび上がり、その余りのエネルギーに周囲には熱波が放たれた。


「ちくしょおおおおおおッ!」


役小角が、そう叫んだ瞬間

突如、屋敷から大量の兵力補充特化型クイーンビーから生成された兵隊蜂が現れ、役小角を屋敷の中へと攫って行った。

役小角が、驚き辺りを見渡すとグラスホッパーも同じ様に回収されていた。


そして、兵隊蜂を追うように音波兵器特化型ドルフィンが現れ、音波兵器を発動すると


「「うああああああああッ!」」


と武蔵とカメハメハ大王が頭を抱えて苦しんだ。

そこを大軍の兵隊蜂が押し寄せ、

二人を掴んで空中に運ぶとある程度の高さまで持ち上げ、

役小角とグラスホッパーを運んでいる者以外、

全ての兵隊蜂が密集し、球状に固まって自爆した。


それを見ながら役小角とグラスホッパーは、安心し


「「助かった〜」」


と二人同時に言った。


それから少しした後、

屋敷に戻った役小角とグラスホッパーは、

携帯端末を使い屋敷の住人全員に電話をかけまくり、

屋敷のエントランスに呼び出すと


「「お前らッ!

なんで敵を倒しに来ないんだッ!」」


とクリエイター以外の全員に怒鳴った。


すると、屋敷の住人はキョトンとした顔で

クリエイターを含めた全員で


「「「「だって、携帯見たらお前らが行ってたから」」」」


と当たり前だろと言いたげに言った。


それを聞いた二人は、顔を真っ赤にして


「「俺達のこの傷を見ろッ!」」


と叫んだ。


特に、グラスホッパーは


「よく見ろッ!

片手が無いッ!

俺じゃなきゃ出血多量で死んでるぞ!」


と怒鳴ると

それを聞いたクリエイターが


「ナノマシン発生装置をもう一度発動すると治るって、

渡した時に教えたろ?」


と落ち着いて言った。


「マジで!?」


グラスホッパーが、驚いて武装を再起動すると

ナノマシンで腕が補われ元通りに戻った。


「ほんとだ!スゲー!」


と喜んだ。

だが、それを見た役小角が、


「治るからって

こんなになる迄、放って置くなッ!」


と怒鳴った。


「わかった、わかった

皆、今度からは敵が見えたら一人で一人倒せると思わない様にする様に」


とクリエイターが、言うと


「「「「りょうか〜い」」」」


と皆、眠たそうに返事をすると


「じゃあ、解散という事で」


とクリエイターが、皆を部屋に戻した。


「それじゃあ、二人とも今日は良くやってくれた

明日、武装の再調整をするから付き合ってくれ」


と最後にクリエイターがそう言うと


「「お、おう」」


と二人とも不承不承、了承して部屋に戻って休んだ。



二人を返すと

僕も部屋に戻った。


部屋に帰ると、聖とルムだけでなく

ルベとハヌもベビードール姿で待機していた。


僕は、もう何も言う気にならず

ベッドに横たわると

全員、ベッドについてきて寝ようとしたが


「ちょっと!

ルムはさっきまでご主人様と寝てたでしょ!

狭いから代わりなさいよ!」


とハヌが言い出し


「嫌です〜

後から来た二人が出て行ってくださ〜い」


と舌を出した。


「もう、ルムのハヌもご主人様達の前で喧嘩しないの!」


とルベが怒り出すと


「もう、三匹とも邪魔です!

煩いペットはお外で寝なさい!」


と聖が三人をベッドから追い出すと


「「「はい、すみませんでした奥方様」」」


と三人ともしょんぼりしながら出て行こうとすると


「待て待て!、そんな顔するな

ベッドを大きく作り直すよ

皆で寝よう」


と僕が慌てて止め

ベッドを大きく作り替えた。


それを見た聖は、


「もう、ペットに甘いんですから〜」


と、むくれながら僕に抱きついて寝た。

可愛い。


「「「では、私達も」」」


と三人は、嬉しそうに僕の四肢にそれぞれ抱きつくと


天帝シャンティー

やっと自然に優しさを見せられましたね!

感激です!」


智慧ジュウホエが、飛び出してきて僕に抱きついてきた。


君の姿は、僕にしか見えないからまだ、良いが、

四肢全てに抱きつかれると寝にくいんだが...


「そんな事言わずに〜」


智慧ジュウホエは、嬉しそうに僕を抱き締めてきた。


まあ、良いかどうせ睡眠の必要性無いし

と僕は、寝るのを諦めてハーレムを楽しみながら

朝まで磔になっていた。

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