第9話突撃!

僕と協力を頼んで来た男(役小角えんのおづかという)は、二人で廃墟の街エリアに来た。


ここは、元々僕が壊して廃墟になった場所だから

大体の地形は把握しているが敵の詳細な人数がわからない。

そこで僕は、ドローンを使って敵情を偵察する事にした。


物陰に潜み敵に気付かれぬ様に

僕は、偵察用ドローンを五機出した。


「おいおい、そんなもん飛ばしたら

気付かれるだろ」


役小角が、不審気にそう言うと


「大丈夫だ

見ていてくれ


聴けッ!

日暮れに燃える

凪いだ海

その閃光を、

不気味に覆う

静けさに息を飲んで

眼を疑え

静寂に降る業火ライズ・クラールハイト


僕は、ドローンに、無音不可視化の魔法をかけた。


「行け!」


無音不可視の偵察用ドローンを僕が飛ばし

魔法に役小角が驚く。


「スゲー!

心強いぜ!」


「これくらい

楽勝だ」


僕は、鼻を高くしてそう返すと


智慧ジュウホエ、ドローンからの情報を

整理して報告しろ。


了解ヤオミンバエ天帝シャンティー

敵は合計十三人

九人は、三人ずつ固まって警戒を

残り四人は拠点と思われるビルにいます

歩哨中の敵の位置をマップに表示しますね」


そう言って智慧ジュウホエは、

ドローンから得た情報を僕の視界のマップに

反映させた。


「よし、これだけで

敵を倒した様な物だ」


僕が、自慢げにそう言うと


「あまり敵を舐めると

痛い目を見るぞ」


役小角が、そう助言するが



「大丈夫だ

確信が無いと

こんな事言わないよ

見ていてくれ


聴けッ!

光が欲しいと

陽光仰ぎ

落ちては、沈む憧れは、

儚く俯き動きを止める

憧れが暮れる時アイス・ブルーム


僕が、魔法を唱えると

マップに表示されている

歩哨中の敵の足下から氷の向日葵が伸び

敵に巻き付くように生え

巻き付いた箇所から徐々に敵の動きを止めていく。


「あぁ!なんだこれ!

おい、誰か助け...」


敵の一人が、向日葵を払い

必死に耐えながら

仲間の方を振り向くと

他は全員、

頭の先まで向日葵に巻き付かれ、

氷の彫刻の様になっていた。


最後まで、耐えていたその歩哨は、

仲間の姿を見て恐怖し

絶叫しながら固まった。


「これで、敵は後四人だ」


僕は、鼻高々にそう言った。


「お前、

本当に何でも出来るな

味方で良かったぜ...

敵を凍らせたのか?」


役小角が、引き気味にそう言うと


「いや、あれは

対象の運動エネルギーを奪い続ける魔法だ

止まってる様に見えるが

あの中で、敵は必死に動いて

脱出しようとしている

そして、無駄だと完全に悟り

体の動きを止めると

脳の信号伝達のエネルギーをも奪い、

能力での脱出も不可能になると言う

素晴らしい魔法だ!」


僕が、そう言うと


「なんだそれ...

凍らされて砕かれる方がマシじゃねえか...」


と役小角が言い

そして


「じゃあ、今度は俺の方も

一気に片付けますかね

敵の拠点は、どれだ?」


「ああ、あれだよ

あの、如何にもって感じの

一番高いビル」


「そうか、じゃあ行くぜ!」


役小角は、ビルに手を向けると

ビルの周りを巨大な竜巻で覆い

その中心に強力な雷を落とした。


「おお!」


僕は、それを見て驚いたが


ビルは、健在だった。


「何ッ!?」


役小角が、少しショックを受けた様子で驚く


「敵の能力で防いだんだろう

ほら、これを見ろ」


そう言って僕は、

ビルに多連装ミサイルランチャーで、

ミサイルを撃ち込むと

ミサイルは、ビルを通り過ぎた先で

爆発した。


「マジか

どうする?

あれじゃ、入れもしないだろ」


役小角が、心配して尋ねると


「もしかしたらって

手があるんだが

やっても良いか?」


僕は、そう応えた。


「ああ、何でもやってくれ!」


と役小角が言ったので

僕は、ビルまでの直線の道を

道路を敷いて整備し

ロケット型の乗り物を出した。


「さあ、乗ってくれ」


「ああ、それで

これで、どうするんだ?」


僕は、役小角を乗り物に乗せ

彼がGに耐えれる様にエネルギーシールドを張ると

操縦席に乗り込み

僕が、乗り物を起動すると

乗り物の前に異空間倉庫内へ繋がる

ゲートが発生し

そこへ入った。

中は、ハドロン衝突型加速機内部の様になっており

僕は、乗り物を全速力で走らせた。


「うわああああああああッ!

これ、何をしているんだ?」


役小角が、あまりのスピードに驚いて叫ぶと


「機体を亜光速まで加速させて

量子トンネル効果を利用して

ビルの中に入るんだよ!」


僕は、ハイテンションでそう応えた。


「何の事か全然わからんが

大丈夫なのか?」


「わかんないよ

そんな事

やった事ないし

ダメだったら

君が死ぬ」


僕が、そう言って

充分に加速した事を計測器で確かめると

ゲートを開き道路へ飛び出した。


「ふざけんなあああああああああああァッ!」


役小角が、そう叫びきった頃には、

乗り物がビル内部に入っていた。

僕は、乗り物を止める為に

エネルギー放出装置を起動し、

ビルの上の階へ向けて

乗り物の運動エネルギーを熱エネルギーに変え、

放射した。


エネルギーは、通り過ぎて行って

建物は無傷だったが、無事に止まれた。


「ほらな、成功だ!」


僕が、嬉しそうにそう言うと


「勘弁してくれ...

寿命が縮んだぞ!」


とフラフラの役小角が文句を言う。


僕は、役小角が回復するまで

少し、待ち

僕らは、敵を倒す為に上の階へ向かった。

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