魔法少女編
第43話 【Side:ブレイブ】それは……奇跡のお話
精霊樹の下、俺を呼び出したアリスは真っ先に核心に触れる質問を口にする。
「ブレイブ、最初に会った時に貴方はわたしのことを『月島』と呼びましたよね?何故ですか?」
俺を見据えるアリスの真剣な眼差しに俺もしっかりとアリスを見つめながら答える。
「アリス、君が月島さんに似ていたから。彼女は、月島さんは俺の大事な思い出の子なんだ。そんな月島さんに生写しな君を見たとき、俺は嬉しさで爆発しそうだったんだ。ゴメン、何を言ってるのか分からないよね?アリス、君は……『月島 華那(つきしま かな)』さんって知らない……かな?」
アリスは両手で口を押さえる。
「わたしは……『月島 華那』です。」
彼女の言葉に俺は凍りつき頭が真っ白になる。アリスは何て言った?アリスが『月島 華那』だって……言った……のか?
「月島……さん?嘘だよね?そんなハズは……」
「ブレイブ、どうしてわたしのことを知っているのですか?わたしは貴方のことを知らないのに。この世界でわたしは『月島 華那』と名乗ったことは無いのに。答えてください!」
彼女は一気に距離を詰めて俺の服を掴み、問い掛ける。顔が、ち、近い~!
「お、落ち着いて!僕もその……正体を晒すから。」
吐息が分かるほどの距離にドギマギしながらも、全てを明かすことを決意する。
「正体!?」
「今の俺はエルフの剣士ブレイブなんだけど、前世は……『吾妻 勇希(あづま ゆうき)』なんだ。」
その名前が出てくるとは全く想像もしていなかったようで、彼女は力が抜けるように膝をつく。もちろん、その表情は困惑の色で染まる。
「あ、吾妻……くん!?そんなことって。」
「僕のこと……覚えてくれてたんだね。ぁあ、こんなに嬉しいことは無いよ。もう会えないと思っていた月島さんにこんな異世界で再会できるなんて夢のようだよ!」
感極まった俺は自然と月島さんを抱きしめていた。月島さんの瞳からは滔々と涙が溢れ出す。そんな姿を目の当たりにした僕もまた泣いていた。
◇◇◇
しばらくしてお互いに落ち着くと、再び一つ一つ確かめるように話をしていった。
「吾妻くんがこの異世界に転生していたなんて。それも前世の記憶を持ったまま。凄い奇跡だと思う。未だに信じられないけど、わたしだから、わたし達だから分かることだよね、放課後の図書室のことは。でも、もしそうだとしたら……わたしは貴方に謝らなければならない。」
今までで一番の真剣な面持ちな月島さんはそこで言葉に詰まる。
「謝る?どういうこと?」
俺には全く見当もつかなかった。何で月島さんが謝るのかを。静かに彼女の言葉を待つことにした。少しして月島さんの口からその訳が明かされた。
「わたしは貴方を助けられなかったの。あの時、わたしがもっとうまくできていれば、吾妻くんは死ぬことは無かった。ごめんなさい……ごめんなさい。」
泣き崩れる月島さんを抱きしめながら俺は理解ができなかった。俺が前世で死んだのは、恐ろしいバケモノに襲われたから。
あの時、確か……そう、アニメから抜け出たような憧れの魔法少女に助けられたけど、バケモノの強力な攻撃で魔法少女と一緒に吹き飛ばされて、僕は死んだんだ。
あれ?そういえば……その魔法少女は必死に僕の名前を呼んでくれていた。何で魔法少女が僕の名前を知っていたんだろう?
「わたしは『魔法少女アリス』。あの時、貴方を守れなかった……魔法少女。」
衝撃が走った!
まともに話したことはなかったけど、放課後の図書室で2人きりの時間を過ごした片想いの黒髪の彼女『月島さん』。
そして、突如現れた化け物たちから守ってくれた3人の『魔法少女』の内のひとり、僕を最後まで守ってくれた青き衣を纏った金髪の魔法少女……それが『魔法少女アリス』?そしてその正体が月島さん!?
そんな官女と転生した僕がこんな異世界で再会するだなんて!!
あらためてこれは奇跡に違いないと感じずにはいられなかった。
◇◇◇あとがき◇◇◇
ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございます。(´∀`)
いろんなことが判明する回。あー、そういうことね。完全にry
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毎週金曜日の午前中に定期更新してますので、また宜しくお願い致します。(๑>◡<๑)
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