第266話 探索権
というわけでせっかくなのでダンジョンを攻略しまくった事をギルドに報告にきた。あまり顔が知られていないのでそのまま来ても大丈夫だったが、報告が終わったらたぶんばれる。
何故なら今までこんなに攻略されたことはないし、ここに住んでいる奴らはダンジョンを積極的に攻略しようとしない連中ばかりだから。そこになんか報告にやってきてギルドマスターの部屋に連れていかれてたらあいつかってなるよねって話。
姿消して出るから見つからないけど。
「とりあえず十三個ダンジョン攻略してきました。」
「……」
「ちょっと本気出してみました」
「はぁぁぁぁぁ……そうだな、まじでやってきたんだな。たった一日で。まじでこれだから規格外の連中は……」
ぶつぶつ言ってるしめっちゃくちゃ深いため息を吐かれた。でも思ったより困ったような感じじゃないのは何でなのだろうか。結構やりすぎてる感じがあるからもう少しお小言頂けると思ってたんだけど。ルカ達で慣れちゃったのかな。
ため息をつきながらもてきぱきと攻略したダンジョンについての事情聴取をされる。どこのダンジョンだったかはちゃんと覚えているので報告していく。そして待機していたギルド員が確認のために外に出て行った。
「わかった。報酬の件だが少し待ってくれないか? 流石にその攻略数だとダンジョンごとの精算をするにも時間がかかる。三日くらい待ってくれ」
「わかりました。それともう一つ報告があって、新しいダンジョンっぽいの出来たので探索していいですか?」
「……やばい感じか?」
流石長年ギルドマスターをやって来ただけはある。全然付き合いのない俺に対しても、その言い方や仕草からダンジョンの難易度に予想を立てたようだ。もしくは簡単な所ならわざわざ聞きにこないだろうと踏んだか。
真面目な顔してるジーギスムンドはかなり出来る人っぽい雰囲気あるからな。普通に長年の勘だ、とか言われてもすげーってなるけど。
「たぶんですけど結構難易度高いと思います。他の初心者用とは違った感じがしたので。場所はこの辺りです」
「ふむ……それならばキミヒトに任せよう。基本的にダンジョンは最初に見つけたものに探索権が与えられるからな」
なるほど、確かに普通なら入ってみないと難易度わからないしそれが当然か。外から見て結構やばいと思ったから戻って来たけど一般的な探索者だったら下見くらいするか。俺の中に警戒心ってまだ残ってたんだなって安心するわ。
最近はまじで警戒心ないからな。あずきと戦った時だって普通に倒せるとおもったし、レクスと戦う時は目にもの見せてやるくらいにしか考えてなかった。今一番警戒しなきゃならないのはみんなのご機嫌取りだな。何故仲間が一番危険なのか。
「おっけーだギルマス。また攻略したら報告にきますね」
「攻略前提かよ」
ジーギスムンド的には実力もあってそれなりに信用できる相手に探索を任せられるので安心できるのかもしれない。これが本当の駆け出しパーティとかだったら流石に誰かお守り役を付けてるだろうし。弱いパーティが探索して全滅なんて目も当てられないし、新しいダンジョンを発見出来る運か実力があるなら育てるべきだしな。
とりあえずこれで一旦良い感じになったわけだが、あかねとめぐはまだダンジョン攻略中だろうか。最悪一人で攻略してきてもいいけどそれは寂しいしな……。イリスとフラフィーが起きてたら面倒見てくれてるクロエも連れて四人探索でもいいな。
というわけでとりあえずギルドを後にしてみんなと合流しようと試みる。
「あれ? めぐ一人?」
「あ、おにいちゃんおかえり」
しかし宿屋に帰ってみるとそこにいたのはめぐ一人だった。最初に俺が泊まっていた部屋をのぞいても誰もいなかったのでもう一つの部屋を見に来たが、そこには寝ているあかねとベッドに腰かけてるめぐだけだった。一人じゃなかったわ。
手持無沙汰感出してぼーっとしている幼女見るのはなんだかちょっと微笑ましい気分になる。
「クロエたちは?」
「行き違い。まだ暴れ足りないからってまた外に行っちゃった。迷える小悪魔は引率」
ほう、クロエが止めなかったのか。ってことは何かしら正当性のあるものだったか、あるいはクロエもちょっと暴れたくなったか。もうちょっと待っててくれればダンジョン内で暴れさせてやったのに。イリスはやりすぎるからだめか。そう考えると丁度よかったのかもしれんな。
「なるほど。あかねは寝てるけどめぐは疲れてないのか?」
「私は大丈夫。ずっと守ってもらってたから」
ダンジョン攻略はしてきたが、モンスターハウスに当たりまくったらしい。二人には広範囲殲滅魔法が無いのであかねのスキルで全部手懐けて攻略したみたいだが、何回もやってたら流石に疲れたらしい。
なので休憩も兼ねて一回帰って来たとの事。あかねも転生によってかなり強化されてるから普通ならここまで消耗はしなかったはず。それがここまでになるって事は結構めんどくさいダンジョンだったんだろうな。
俺? モンスターハウス突っ切れるのであったけど関係ないです。不屈もあるので疲れもほとんどないです。
「それなら一緒に探索行くか? それとも休むか?」
「行く」
ベッドからぴょんっと飛び降りてこっちに来る幼女かわいい。意図せず女神様とのデートになってしまいドキドキがとまらねえぜ。とりあえず書置きを残して出かけるとしようか。
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