第259話 善処します
「はぁ……」
「すいません」
暴れまわるイリスとフラフィーを強制的に眠らせ無理やり事態を収束されることにした。クロエの睡眠魔法は俺の不屈すら貫き強制的に眠らせるのでたぶん誰もレジスト出来ない。出来るとしたらめぐくらいなんじゃなかろうか。
ちょっと色々と何が起きてるかわからないから自体が収集するまで見ておきたかったけど、正直あのままあの二人が全力出し切ったらあの辺更地になるわ。王都では間接的に王城を焼くし王女様洗脳みたいなことしたしこっちでは街を破壊するとか俺が魔王になっちまうわ。
というわけで超遠距離からクロエが二人を眠らせる手腕を見せて、ルカのパーティをさらにびびらせて二人を回収しギルドへ撤退。俺たちは逃げても良かったけどルカたちに迷惑をかけるのは望むところじゃない。まだリカバリー出来る範囲。
「死人は出なかったみたいだから良いけどな……お前ら自分の実力をわきまえて行動してくれ」
「はい」
というわけで俺が怒られてる。ぶっちゃけ反省なんて欠片もしていないし俺に止められるような事態でもないのでテキトウにはいはい返事をしておくと、ギルドマスターのジーギスムントは深いため息を吐いた。
うんわかるよ。なんかやたらとステータス高いやばい連中が街にやってきたと思ったらダンジョン攻略しまくるわ商品の流通は変わっちゃうわ規則新しく作るわでめちゃくちゃ忙しくなってたところにまた同じの来たからな。
しかも今度はダンジョン攻略という街に利のある行為じゃあなく普通に破壊行為。そらため息も吐きたくなるわな。でも暴れたい盛りの女の子達を抑えると俺が死んでしまいます。物理的に、本当に。
「まぁいい。今後は気をつけてくれ……って言っても無駄な気がするけど街に被害だけは出さないでくれよ」
「善処します」
被弾した人たちはさりげなくクロエが回復魔法をかけてくれていたので大事には至らなかった。さりげない気配りをしてくれるあたりたぶんクロエは本当に俺の嫁ポジション。もう嫁なんだよな。どっかの猫娘とは大違いだよ。
暴れてる子ども達の仲裁だけじゃなく暴力にはより強い暴力で権力を見せつける事すら可能の最強の嫁。クロエに逆らったらどうなるか俺でもわからん。クロエの魔法の射程範囲まじでどうなってんだよ。
というわけでほぼやらないときに使う常套句をギルマスに言ってから部屋を出ていく。
「リーダーも大変だなぁ」
「これくらいならまだ平気。本当に恐ろしいのは俺の横にいた子達だよ」
「……まじ?」
ルカは俺の事を外で待っていてくれたようだ。事の顛末を話していたら苦労人だと思われたのでマジレスしておく。あかねがもしああいう感じでスイッチ入ったら……今のあかねならたぶん街全部巻き込めるんじゃない? ターゲットの居場所無くなるよ。
考えたくないけどあかねが敵にまわったらたぶん勝てない。物理的な戦闘力だったらみんな普通に勝てると思うけど、あいつの本領は別の所にある。今のあかねなら魔物だけじゃなく人間も操るのは容易だろう。
日常的に心の中を読み弱みを握り突発的に暴露して心身ともに疲弊させていく。人は心の中を読まれるのを非常に嫌うし、読まれていると異常なストレスがかかる。俺の場合は言葉にしなくて楽だなーという境地に達したので当てはまらない。読まれても良し。
そして心の隙間が出来た時にスキル発動で操り人形にしてしまうとか普通にやれるだろう。ちょっとだけ意識残っててもユウキを操ったみたいに。ステータスの低い街の人たちなんて一日あれば全員掌握できそう。家族とか知り合い落とせば芋づるだろうし。
あかねこわ。
「それじゃ、探索頑張ってな。あ、ダンジョンコア壊すときはちゃんと全員で固まってやるといい」
「そうなのか? わかった、リーダーも刺されないように気を付けて」
ルカは俺たちの関係性を……っていうかハーレム作っててあんな感じならばれるか。そしてルカの反応からダンジョン攻略時のアナウンスはやっぱり俺だけにしか聴こえてないということが分かったわ。まじなんなん。
さて、じゃあやばいところに向かって行きますか……。
宿屋に帰るとめぐが外でティティとあずきを可愛がっていた。あずきを連れて来てからというものティティは全然宿屋の仕事をしていないように感じるけど大丈夫だろうか。この前も掃除サボって可愛がってたし。怒られて無ければいいけど。
いや待て。確か宿屋の親父は人を見る目があったな。もしかしたら犬と戯れる幼女目当ての連中を良い感じに宿屋に引き込んでいるのかもしれない。見守り隊も出来るだろうしやばい連中が来てもその辺は実力行使でお引き取りとかできるな。
つまりまじで看板娘状態。強い。俺も犬になりたい。
「あ、お帰りなさい」
「お兄ちゃんおかえりー」
「わんわん!」
なにここ天国? ここだけ見ると平和な田舎で学校から帰ってきたお兄ちゃんを出迎える妹と妹の友達って感じでとても高まる。その後魔法使いの幼女たちが現れてお兄ちゃんは妹に隠れながら悪と戦っていく感じ。
そして魔法幼女と力を合わせていくうちに自分の中の隠された能力に気付いて、魔法幼女がここに来たのは偶然じゃなかった、運命だったんだってなる展開まで想像した。もしくはお兄ちゃんが魔法幼女になって妹たちと雨の日に偶然仲良くなってお風呂入る展開でも良い。何を言っているのか。
あと一応言っておくとわんわんって言ったのは俺じゃない。俺も言いたい。
「おーい、お兄ちゃん帰ってきてー」
「うん、二人ともただいま。あずきも良い子にしてたか?」
「ぐるるる……」
あずきがずっと犬扱いされててちょっと不満顔。本来懐かないのに俺の命令で危害加えられないようにしてるからな。でも知ってるよ、こういう感じで扱っていくとティティのお願いを聞いてくれるようになるってこと。
街の危機が起きたらお前が頼りだぞ、あずき。
「迷える子猫が大変なことになる前に、ちゃんと面倒見てあげてよねお兄ちゃん」
その前に俺に危機が迫っているけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます