第230話 部屋割り
「なんで誰も助けてくれなかったんですか……?」
「割って入ったら俺達に飛び火するんだけど? フラフィー差し出して置けば安全だから大丈夫だ。ほら、クロエとイリスとめぐはミカのお店で着せ替え人形させられてたし」
「フラフィーちゃんもふられてるのなんだかんだで眼福だし?」
クロエとイリスはさっきじゃないけど。戦闘用の服もちゃんと回収したしみんなの服も手に入れた。あとは着せ替えするのは俺の仕事だと思うんだ。と言っても渡すだけになっちゃうけど。本気で透視使えば壁越しでもちょっと見えるけどなぁ!
それは置いといて五番、ルカのパーティは先に宿屋に入っていった。明日もまたダンジョンをがつがつ攻略するつもりのようで早く寝るようだ。寝ると言ってもどういう意味を含んでいるかは察して然るべきって感じだったが。
「うう……キミヒトさんが冷たいです」
「お前俺の事失血死させて冷たくしようとしてたよな? よくそれで構ってもらえると思ったな?」
「うぅー」
さっきめちゃくちゃ撫でてやったけどそれはもう忘れた。
「それで部屋割りはどうなってるんだ? この感じだとフラフィーは違いそうだけど」
もしフラフィーが俺と同じ部屋だったらここで冷たくしても、でもキミヒトさんと一緒に寝られるから別にいいです、とか言い出しそうだからな。なのでフラフィーは除外して良さそう。
「お兄ちゃん、私は違うよ。流石に争奪戦に混ざるほど野暮じゃないので」
めぐは率先して争奪戦から抜けたようだ。王都にいる時もそうだし、クロエを迎えに行った時に他の子に優しくしてくださいというほどのみんなに気を使っている。というか俺からの好意が高すぎて他の子から敵視されがち。ごめん。
なのでそれなら普通にみんなに俺を押し付けていく精神でやっていくようだ。そんなことしても俺が一番敬っているのはめぐで間違いないんだけどね。これ言うとお腹に文字通り穴が開くから滅多なことが無い限りもう言わないけど。
フラフィーが刺した後にイリスなら普通にパンチ打ち込んできそう。モツ抜きとかやりださないことを祈っておくよ。猟奇的なロリも好きだから死ななければ許すけど。
「今回は、先に譲ってあげようと思ってね」
そう言ったのはクロエ。前回の世界ではイリスが先にしたいと言っていたのにフライングして俺を襲いに来たからちょっと悪いと思っていたのかもしれない。なので今回クロエはイリスに先を譲った、と。
ということは。
「勝った。ピース」
「今日は布団に来ても許してあげるよキミヒト君」
「まじかよ」
イリスとあかね。どうやら俺はこの二人と一夜を共に過ごさなくてはならないようだ。最近やたらと他のロリ達に勢いを殺されがちなイリス、そして正妻の座に居座ろうとしているあかね。平和に終わる気がしないんだけど……。
王都では一回めぐとあかねと同じ部屋で寝たけど、その時あかねと同じベッドでブチ切れられたのにどういう心境の変化だよ。いや、あの時はまんざらもなかったけどめぐのことばっか構ってたから純粋な嫉妬か? 可愛いって思っちゃうだろうが。
何だかんだでロリ達とは違った抱き心地で柔らかいのは間違いないし、女の子特有の甘い匂いがする。みんな違う良い匂いだから全く慣れないよな。俺匂いフェチかなもしかして。
イリスに至っては不遇、なんだかんだでタイミングが合わないことが多かった。俺が呪いの影響を退けた時に一番頑張ってくれたというのに何故に出番を奪われてしまうのかと常に思っている。大体俺が流されるせいだけど。
「キミヒト、やっと一緒……。あかねでも今日は譲らない」
「いいよー、私に適うものならね」
イリスはあかねに宣戦布告みたいに告げるが、あかねはそれを軽く流す。俺の力ではクロエとイリスのステータスを完全に覗けないが、あかねは二人の心の声を聴けるのか? 同じ勇者の力だけどやっぱあかねの能力便利だな。
イリスはあかねの態度と表情に若干ひるむ様子を見せるが、俺の腕にぎゅっと身体を寄せてくる。イリスもすっごい良い匂いするな……なんかこうずっとイリスだけを見ていたくなるようなそんな……まるでイリス以外全く目に入らなくなるような……っておい。
「イリス? 魅了に近い何かしようとしてるな?」
「……だめ?」
「だめじゃないよ」
「だめだよ?」
イリスのおねだりの視線に即答で了承を返すとあかねがすかさずダメ出しをしてきた。
イリスも魔法、たぶん精霊の力を使って俺の魔力の流れを操作しようとしたのだろう。不屈の効力が上がっているから自動で弾いてしまった。もしこれがクロエの魅了だったらガチでかかっていた可能性がある。
イリスのは魅了というか、意識を向けさせる感じの何かかな? ヘイトとか視線を集める魔法を応用して俺の魔力とイリスの魔力を良い感じに無理やり同調させようとしていた感じだろうか。魅了持ち二人に洗脳持ちもいるとかうちのパーティおかしいんだけど。
めぐも普通に魅了くらい使えそうだしやばない? 俺これ不屈のスキル持ってなかったら自分の感情が本物かどうかめちゃくちゃ悩んで精神崩壊しててもおかしくないと思うんだけど。
フラフィーは普通に脅してくるし俺これ自分で正気保ってるのおかしいんじゃないかと思い始めてきたわ。まともなやついないなんてレベルじゃなくヤバイ奴しかいないんだけど。
「キミヒト君珍しく顔色悪いけど大丈夫?」
「幸せと絶望って似てるんだなって思って」
「外でうるさいんですけど」
まだ宿屋に入ってなかった俺達を、宿屋の看板娘のティティが注意しに来た。騒ぎすぎてたよなすまん。あと変わらぬ姿で出てきてくれて俺は凄く嬉しいよ。ちんまりしていながらも女将の迫力を備えつつある感じ。
一回で良いからロリの寮母さんのいるアパートに住んでみたかった。一回っていうのは死ぬまで住みますって決意表明です。絶対に何があろうとも出て行かないし障害があるなら全力で排除する所存。
あ、親子でアパートに住んでてくれても良いです。家族とほのぼのしているロリ見るのが至高の喜び故に。つまり何が言いたいかというとティティの宿屋最強。
「ああすまん、ちょっと部屋割りで揉めててな。食事まだ大丈夫?」
「騒がしくしないなら良いですよ」
「おっけー、気を付けるわ」
ティティの案内で宿屋の中に入り食堂で食事を摂った。フラフィーはチラチラと視線を投げてくるしクロエはいつも通りスライムフィッシュもぐもぐで幸せ顔。めぐはお祈り。まるで俺が死にに行くんじゃないかというくらいずっと俺の方向向いてお祈り。あの、怖さが増すんでやめてもらって良いですか?
どんな会話が繰り広げられてこの部屋割りになったのかはわからないけど、みんな一応納得してるようで良かったよ。誰も怪我をしていないし、修羅場回避は素直に嬉しい。
問題はあかねとイリスの牽制合戦がどうなるかだなー。
最悪モツ抜きされることも考えて食事は程ほどにしておこう。
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