呪いで常識を失ったのでロリと旅に出る

第194話 俗世に染まりすぎ

　さて、話を戻しておこう。

「それでめぐ、どうして俺こんなに強くなったんだ？」

「それはですね……よくわかんないです」

「まじですか」

　流石女神様だぜ。伊達にサボりまくっていたわけじゃないな。このテキトウにやっていく感じこそ女神様だ。どんなに見た目とかが変わっても中身が変わっていないのはこれで二人にもわかってもらえたと思う。

　いや女神様のこんなひどい状況を知っているのは俺だけかもしれないけど。しかし女神様にもわかんないってことはもう誰にもわかんねぇな。

「ええと、女神様？　それじゃ私たちに授けてくれた女神の加護が原因ってわけじゃないんですか？」

「いえ、私の加護を持っている人、つまりは信者一号のパーティメンバーの方たちですね。その方たちは全員強化されているはずです。私が記憶を残そうと強く願った方は能力をそのまま、そして転生した分強化されています」

「なあめぐ、気になってたんだけどフラフィーも強化されてるよな？　俺とあかねはスキル増えてるし二回分の転生特典で強化されたのはわかるけど、フラフィーはなんでなんだ？」

「転生というのはどの方でも起こります。私が地球の人たちをこっちに送ったように、こっちの人たちを別の所に送ることもあります。そして同じ世界に転生する場合はちょっと特典がついたりするんですよ」

　女神様が言うには、基本的に同じ世界に転生させることはないらしい。俺がこっちの世界に来る時一緒に死んだ人たちは全員が地球に転生することはなかった。それは魂の存在がうんたらで基本的には出来ないことになっているらしい。

　にも関わらずめぐは俺達をこの世界に呼ぶため、記憶の保持を行うために無理やりこの世界に転生させたらしい。俺とあかねを転生させるにあたって、加護持ちを条件として扱ったようだ。

　というか転生じゃないと記憶の持越しが出来ない。ということで本来転生しているのは俺とあかねだけだが、加護を持っているフラフィー達も同時になにかしらの影響を受けたっぽいとのこと。

「つまり本来だったら少し強化はされるけど、こんなに強化されるのはおかしいって事？」

「そういうこと。ほら、ゲームとかで同じステータスのキャラを合成したら少し強くなったりするでしょ？　あんな感じの予定だったんだ」

　ゲームでは同じキャラを合成するとスキルが強化されたり上限が上がったりするがそれと一緒か。ゲーム感覚だとわかりやすいかな。

　俺とあかねの場合は丸ごと変わってこの世界に来たので、レアリティやレベルの上限自体が上がってステータスもプラスされた。フラフィー達の場合は単純にレアリティはそのままで上限があがりスキルがプラスされたとかそんな感じか。

　ノーマル、レア、ハイレアの三種類にさらにプラスで上限が足されていくとかそんな感じ？　ハイレアがハイレアプラスになりましたとか。

　色んなゲームしてるからなんとなくわかるけどフラフィー達はちんぷんかんぷんだろうな。

　めぐは俗世に染まりすぎてると思うんだ。世界のこと全然管理してないくせにこういうのばっかに詳しいのサボってる感じ強いよねっていう。

　みんな強くなりすぎたのは女神様の加護の力が強すぎた、そういうことにしておこう。

「えっと……私もキミヒトさん達の影響で、この加護の力分強化されたってことですか？　じゃあクロエさんとイリスさんも強化されたならもしかしてテレポート使えるんじゃないですか？」

「あ」

　そうだよ、イリスは最後に俺達をテレポートで遠くに飛ばした。テレポートが使えるのが一度行った場所という縛りなら王都にだって来られたはずだ。もしかして俺の事探してくれていた可能性が……？

　いや、変身してないと使えない魔法なのか？　テレポートって結構高度な魔法っぽいし、変身しないと使えないならかなりの負担がかかるはずだ。イリス一人で変身魔法を使うのは結構やばいらしいし、クロエの魔力を借りてもどっちにしろ負担は強いだろう。

　……だけど転生した扱いでフラフィーのように強化されていたら？

　行けるんじゃないか？　イリス一人の力でも。っていうかフラフィーちゃんと理解してるのすげえな。

「なんだかすぐにクロエちゃんもイリスちゃんも見つかりそうだねキミヒト君」

「あぁ……あの二人には相当会えないんじゃないかと思っていたけど、すぐに会える可能性があるな！」

　二人は放浪しているところをシオリに捕まえられたという経緯を持つ。それまではずっとうろうろしていたらしいから相当な距離を旅してきただろう。本来なら全くどこにいるかわからなかったが会いに来てくれるなら……。

　しかしここでめぐから待ったがかかる。

「テレポートですか？　あれは自分の場所も把握してないと使えませんよ」

「ジーザス……」

「お兄ちゃんの神は私だよお兄ちゃん」

　あの二人は放浪していて場所を把握してなかっただろうな……。やっぱなかなか会えないのかな。会えるかもっていう希望を持ってしまったから反動で凄く寂しく感じるぜ。