第142話 ヒロイン力の低下

 あかねが問題発言をかましたので本当にロリ達にはこいつの影響を受けないように色々と言い含めておく必要性を感じる。こいつも結構な爆弾な人材だよな、ブレーキが利かなそうなとことか色々と。


「……最近キミヒト君からの視線が厳しいんだけど」


「そらガチ屑発言されたら厳しくなるだろうよ」


「キミヒト君もやれたらやるんでしょ? なかまなかま」


「そんな良い笑顔で言われてもな……」


 心の底から見せる笑顔はかなり可愛いが言ってることもやったこともゲスい。確かに俺が言えた義理ではないがそれでももうちょっと人道を歩もうよ。


 ヒロイン力の低下が嘆かれるよあかねさん。


「キミヒト、もう大丈夫なの?」


 俺とあかねが言い合っていると部屋からクロエがそっと覗いてくる。幼女に限らず小さい子がこうやって扉から顔覗かせるのも好き。なんか反射的になでなでしたくなるよね。


「……なに」


 というわけでちょっと乱暴になでなでする。クロエは髪をぼさぼさにするくらい撫でてもジト目を返してくるだけなので何度でもやりたくなる中毒性がある。やっぱりロリは最高だぜって毎回思わせてくれる。


 そのあとしぶしぶ髪直す仕草とか本当に好き。猫を構いまくったあとにめちゃくちゃ毛づくろいしてるみたいな感じがして癒されることこの上なし。猫は相当キレてるんだろうけど可愛いものは可愛い。


 ツンツンしてると見せかけたデレデレ系ヒロインが個人的には一番好きです。これのどこがツンデレだ!? ただのデレデレだろうが最高じゃねえか! ってなるのまじでたまらん。


「私たちが行くと邪魔になるかと思って引っ込んでいたんですけど、穏便に済んで良かったです……。やってることはお二人とも最低以外の何物でもなかったですけど」


 俺たちの行為を一部始終見ていたのだろう、フラフィーからも苦言を呈される。でもあそこであれくらいやらなきゃアマンダは引き下がってくれなかった可能性はある。


 たとえ良くわからない疑いを解こうと躍起になったところでその場でどうにかすることは出来なかっただろう。そのくらい問答無用感あった。めちゃくちゃ短気だったし。


「キミヒト、またナンパするのかと思った」


「流石に勇者関係者にちょっかい出そうとは思わないよ……」


 イリスは冗談半分本気半分といった感じでこっちを見つめてくる。たしかにサッキュンの時は近い事したけど勇者が関わってそうならそういう危ない橋はわたらないよ。


 アマンダは結構抜けてるとは言え実力もありそうだし下手に刺激したら全力で戦闘になっただろうし。もしそこに勇者が駆けつけてこようものなら俺とあかねは本当の意味で地獄を見るだろう。


 なのでトラウマを刺激してしまったことは許してもらう。


 そして何よりロリじゃないし。


 というか脅迫して慰めて信頼を得たこの流れ普通に考えておかしいよな。アマンダそんなに切羽詰ってたのかな。それとも相談できる相手がいなくて鬱憤溜まってたとか。


「とまぁたぶんこれでしばらくは持つだろう。みんな出かけて来て良いよ、通信機は入れっぱなしにしておくから」


 みんなは俺が渡した服をちゃんと着ていた。日本の小学生が着ているようなロリコンに火をつけるやばい感じの奴じゃなくてこっちの世界の標準服。


 新鮮味は感じるがあまり目立たないようにお願いしただけあってそのまま街に溶け込めそうだ。クロエとイリスにはちゃんとフードも完備されているし、フラフィーは胸が目立ちすぎないようにちょっとゆったり目の感じ。


 これならこの三人で歩いていても仲のいい友達とか子供の面倒を見ているお姉さん的な雰囲気に見えるだろう。


「でも私たちだけ出かけるのは……」


「フラフィー、ここは猫獣人でも普通にあつかってくれるし俺も色々この街の名物食べてみたい。それにどんなものがあるかも気になるしみんなで楽しんで色々話聞かせてくれよ」


「んん……」


 こういえば出かけづらくとも無理やり出かけさせられるだろう。本来の安全面から考慮したらみんなで固まるべきだが、それをすると宿屋から結構怪しまれるかもしれない。


 冒険者として泊まっているのに一度も出かけることのないパーティ。ないとは思うがいきなり憲兵みたいなの呼ばれたら非常に目立つし勇者にばれるかもしれない。


 実際魔物の活性化にともなってピリピリしている雰囲気もあったし何人かは行動しておいた方がいいという考えだ。この街に来てフードかぶった怪しい集団とか魔王関係者と疑われてもおかしくはない。


「巨乳、キミヒトは気を使ってくれてる。ここは材料買ってきて料理してもてなすべき」


 イリスが結構まともな提案を出してくる。料理を食べたいだけかもしれないが俺の要望とも合致しているしフラフィーを動かす動機としては充分すぎる。


「そうですね……。ひきこもってても楽しめる料理を作りますよ!」


 イリスとクロエの料理期待してる視線に負けてフラフィーは折れた。個人的にはみんなが楽しめればそれでいいからそこまで気負わなくてもいいんだけどな。料理は凄い楽しみになったし俺のためにしてくれるって純粋に嬉しいわ。


「ついでに使えそうなアイテムとか売ってたら見てくるわ。ちゃんと大人しくしててね」


「おっけーおっけー、めちゃくちゃ暇潰してるから楽しんできてくれ」


 クロエはみんなの引率よろしくイリスとフラフィーの手を引いて部屋をでていった。なんだかんだで仲の良い子達だよ。和む。


「で、サッキュンはなんでいるの?」


「邪魔なようでしたら去りますが」


「……」


 邪魔ではないが、気にはなる。便利な人材ではあるがメイドさんみたいに部屋の隅に立っていられると凄い気になるところだよね。結構ひどいことした経緯もあってなんだか邪険にされているような気配を感じるし。


「サッキュン、せめて人型じゃないほうがいいかな」


「かしこまりました」


 あかねがお願いするとサッキュンは人の姿からこうもりのような姿になった。サキュバスって変身能力持ってたんだという驚きもあるが、こうやって街から出たり入ったりしていたのかと感心した。


 諜報員としては優秀なんだろうな。あかねと会う前は相当ポンコツだったけど。あかねが調教したんだろうか。


「さて、キミヒト君。暇だし何して遊ぶ?」


「暇なのは認めるけど遊べるものなにもないぞ」


 そもそも俺が旅しようとか色々アクティブに活動始めたのは暇すぎたからだしな。今となっては目的もあるしロリ達が可愛いからそんなに暇という感じもなくなって充実してるから気にならないけど。


 しかしあかねはひきこもるのが目的だったからガチで暇なんだろうな。ノリでついてきてるみたいなところあるし。


「ふっふっふ、甘いなキミヒト君。私たちにはスキルがあるでしょう? この宿屋で行われている営みをのぞき見する遊びはどうかな? 私が調べてキミヒト君が視る。情報共有で全て丸裸にできるよ」


「お前本当にクズだな」


「ほら二つ下の階のあのあたり見てみて!」


 悪趣味だがそれ以外にやることもないしあかねがやたらと興奮気味なのでちょっと気になった。そして俺はあかねの性癖を思い出すことになり全力であかねにアイアンクローを見舞ってやった。

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