第112話 幸せな家庭築くのが目標
はい燃やしました。
「草は燃やすに限る」
「あんまりだと思います」
扉から入ってすぐは敵の攻撃が届かなかったため、イリスが遠距離から火魔法を延々打ち続けるという最悪な手法で焼き殺した。高台から一方的に敵をなぶり殺すゲームを思い出した。
ボスなだけあって結構耐性があったが、ミスリルゴーレムのように完全に効かないと言うわけではなかった。それなのでひたすらに遠距離から攻撃するという、ただの作業で攻略してしまった。
「動けないのが悪い」
「動いても縛るけどね」
このロリ達強すぎるまじで。俺とフラフィーは完全に見てるだけとなり、ダンジョンに入る前に言っていたことが現実になってしまった。苦戦するよりはいいけど。
伊達に二人旅し続けてないよなこの子達は。この二人が苦戦するのは本当に魔法が効かない奴等だけだろう。十三番とかミスリルゴーレムとかその辺りのヤバい系。
「ドロップアイテムもないか」
「そうみたいね。じゃあコア壊して出ましょうか」
「そうですね」
イリスは魔法の連射が楽しかったのか余韻に浸っていた。たまに耐久力異常に高い奴に撃たせまくって欲求不満解消させたほうがいいのかね。
若干もの足りなさそうにしてるのが凄い気になるよ。魔法無効の盾でもあればフラフィーに装備させて受け流しの練習もできて一石二鳥になったりするんだけどな。
「階段もすぐ見つかるし何だったんだろうなこのダンジョンは」
「何かが起きてるのは間違いないわね。魔物が出てこないのは明らかにおかしいもの」
何か起きてる可能性か。タイミング的に勇者がいなくなったのと被るから怪しく感じるけど、勇者が関わって魔物出ないとかあるか?
魔物関係ならどっちかって言うと魔王の方が関係してそうだけどそっちの情報まるで無いからな。あかねは勇者探すことになるし、俺は魔王でも探しに行くか……?
この街を拠点にして色々と探ろうとか思っていたけど、動かないで後悔するのは正直つらいところだ。
「キミヒト、どうしたの?」
俺がコアの前で考え込んでいるとイリスが話しかけてきた。心配しているというよりは純粋に気になった感じの問いかけだった。
「あかねも王都に勇者の情報仕入れに行ったし、俺達も魔王探しに行こうかと思って」
「魔王はあんまり興味無かったんじゃないの?」
確かに勇者関係の事は努力目標にしていた。しかし、女神様に会って勇者達に何かがあったのは間違いない事を知ってしまった。
何が出来るかはわからないが考えれば考えるほどもやもやしてくる。勇者の呪いを解くために、戦闘が起きる危険があるかもしれないから鍛えるつもりだったが勇者いなかった時に魔王に蹂躙される未来が見える。
勇者と戦うならスキルを鍛えるのは必須、しかし勇者に問題があった場合魔王が好き勝手し始める可能性もある。
「そうなんだけどさ。勇者がいなくなったことと、あかねが探してるのに俺が何もしてないの今更気になってきてさ」
「本当に今更ね」
「幸せな家庭築くのが目標だって言ってたのに」
「それは否定しない」
イリスの言うように全てを投げ出してどこかに永住することももちろん考えた。だがその場合もやはりクロエとイリスを狙って魔王の手下達がやって来るわけで。
それなら勇者集めて乗り込みたい気分にさせられるよね。大人数の勇者で魔王ぼこぼこにするとか非常に楽しそうでしかない。
訓練と称してダンジョン潜ってるけど、正直訓練になってないと言うのもある。色々こじつければきりがないけど、俺はみんなと楽しく過ごしたいだけなんだ。
「ただ、そう言う事もあるかもしれないと心にとどめておいてくれ。魔王の居場所も突き止めないといけないし」
「勝てないとわかって言ってるのよね? でもキミヒトがそう決めたなら、私たちはついていくわ」
「キミヒト、ほっとくとロリ禁断症状で死ぬ」
「色々とお役に立ちますよ!」
ロリ達の言葉が温かいがイリスだけ方向性が違う。いやフラフィーも充分あやしいけど。禁断症状は……今の状態からみんないなくなったら起こりそうだな。
手下のレベルですらかなり苦戦を強いられるのは間違いないだろう。この二人でも確実に倒したわけではなかったみたいだし、正面切って戦うのはまず無理だ。
俺に出来るのは逃げながら戦うという後ろ向きながらサポートすることだけなのだから。
「ありがとな。完全に俺の都合に付き合わせて」
魔王は一応魔族領にいると考えられてはいるが確証はない。そこに住んでいるという情報だけで確実に見たって記述はなかったし。
でも勇者たちが向かうなら間違いなく魔族領になるはずだ。王都の目的である魔王討伐がそのまま残っているならばって感じだけど。もし勇者たちが俺のように自由に動いているならまじで見当つかなくなるから動くなら早い方が良い。
もしくは規格外の強さを持った勇者たちが各地域で問題行動を起こしながら旅をしてくれたら場所が分かってありがたいんだけどな。勇者達の性格が分からないから問題起こすのかは不明だけど。
召喚される直前ではみんな自分の意見を言わない傍観の体だったけど、俺みたいに色々拗らせてるやつがいたら好き勝手やるだろう。自分で言うのもなんだけど。
後はあれか、洗脳強すぎてぶっ壊れて捨てられたパターン。異世界人は洗脳何度もしても廃人になりづらいみたいなこと言ってたけどどのくらい持つのかは俺にもよくわからない。
そして勇者達に洗脳してるのに気づかれたら報復もあり得るからな。特に第一グループの連中には念入りに施すだろうし……まじで死んでてもおかしくないな。
「考えてても仕方ないか。とりあえず出るぞ」
そして俺はコアを破壊するが、そこに表示された文字は俺が期待したものではなかった。
<<ダンジョンが攻略されました。ダンジョン内の清掃に移ります>>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます