第108話 誰よりもチート

 ティティとクロエで存分に遊んでいるとあかねから連絡が入った。結構時間かかったけど何してたんだろ。


「はろはろーキミヒト君どうしたの?」


 やたらテンション高いけど何かあったのだろうか。


「はいはいはろはろ。実は女神さまに会ってたんだけど変な情報聞いてさ」


「女神様? キミヒト君また新しいロリに手を出したの? 死んだらどう?」


 なんだよあかね。女神様の事ロリだと認識してるとか俺の事よくわかってるじゃねえか。でもそれだと話が全く進まなくなるから今は別に伝わらなくても良かった。


「いやガチの女神様。召喚される直前にいた変な空間で会ったの覚えてない?」


「覚えてるけど……え!? どうやって会ったの!?」


 そら確かに驚くか。いやでもテンプレ物のラノベって結構簡単に女神さまに会ったりしてない? なんか教会に行って祈れば確定で変な空間連れていかれたりご神木に降臨召されたりとか。あとはダンジョンクリアでも会ってたっけ。


 あかねはそういうの詳し……いやこいつはBL本しか読まないか。


「ああまぁその辺はあとで説明するよ。実際に連れてったほうが早いし。それで何だが」


 俺は女神様に出会って聞いた事をあかねに説明していく。勇者達に何か起きたんじゃないかという事と、新しい勇者召喚が行われようとしている事。


 召喚のほうは女神さまは阻止してくれるから問題はないけど、勇者たちはいまどうしているのかが非常に問題になって来る。あかねに頼んでいたのは勇者達の解放。


 つまり勇者がいなければあかねは動く必要がない。そしてその場合あかねはどうするのかとか色々とお話もしたい。


 俺はロリ達と暮らすからむしろ勇者いなくてもいい。あかねも勇者がいなければロンド達とボーイズハントするからむしろいない方が都合がいいだろう。考えれば考えるほど勇者いらないって結論になって可哀想だな。


「なるほど。それなら私情報引っこ抜いてこようか? 王都かリーベン行って」


「リーベン?」


 勇者たちと関わりのある所は王都だけだと思う。リーベンが関係しているのはロリコンビを襲った十三番だけだがそれだけのために行くのはあまりよろしくはない。


 そもそもリーベンは王都から近いとはいえケイブロットからはかなりの距離になる。


「あー、ごめん。実はキミヒト君たちが逃がしたロリサキュバス捕まえてペットにしてる」


「詳しく」


 ロリをペットだと? 何をそんなにうらやまけしからんことしてるんだ。俺にもじっくり観察させてくださいお願いします。っていうかまじでロリ化したままなんだサッキュン。


「なんか自信喪失してたから解放使ったら仲間に出来ちゃった」


「なるほど、あかねは腐女子でもありロリコンでもあったと。サッキュンの様子はどうだ?」


「サッキュン? ああこの子そんな名前なんだ。興味なさ過ぎてペットって呼んでた」


 俺がロリに対して見境なくなるのは承知してるけどあかねはロリに対して興味なさ過ぎじゃねえか? ペットにしてるなら名前くらい聞けよ。サッキュンで固定されちゃうだろこれ。


「先日はお世話になりましたわ。今はあかね様の元で保護していただいています」


「おお……」


 絶対こっちの姿の方が魅了出来るだろ。


「というわけだからさ、この子と私がいれば色々と裏で動けるわけよ。潜入とか対人関係ならこの子の専売特許だし」


 そういえばそうか。サキュバスと言えば男性を惑わして虜にする生き物だ。ロリ化しなければ大抵の人物には効くだろうし良いコンビなのかもしれないな。


 でもそれだとリーベン行ったらサッキュン殺されちゃわない? いや、クロエとイリスが狙いなら喋らなければ大丈夫かな? 会ってないことにすればいいし。


 あかねもいるしなんとかやっていけそうな気もする。王都に行くのも怖いんだよなぁ。どっちも中枢に入らなければ情報抜けないだろうし王都に行って洗脳解けてるのばれたら何がおこるかわからん。


「ロンドは良いのか?」


 今あかねはロンドのパーティと共に行動をしているはずだ。お願いするにしてもしないにしてもロンドとの交渉は必要だろう。あいつらなら快く送り出してくれるとは思うが。


「うん。そっちは大丈夫。元々三人組だったし」


「ふーむ」


 どうするべきか。確かに情報は欲しいが是が非でも欲しいという感じではない。しかし十三番の動向だけは気にしておかないとロリ達に危険が及ぶ可能性が高い。


 いまだクロエとイリスは狙われているし魔物からの襲撃もある。もしあかねが十三番を無力化もしくは仲間に出来るとかになったら最高の一手になる、か。


 他の勇者達でもいきなり人を襲うなんてことは無いだろうし誰でもいいから味方になれば百人力なんてレベルじゃない。生きていればの話だが。


「どうする? わたくしことあかねさんは役に立ちますよ?」


「そうだな、じゃあお願いしてもいいか?」


 なるようにしかならないだろう。それならあかねには大きな負担になってしまうだろうがやってくれるならお願いしよう。あかねならやばくなったらすぐ逃げられるだろうし。


「じゃあ王都まで行っちゃうとこれ圏外になるから色々終わったらケイブロット帰るね。どんなに遅くても三か月後くらいには一旦帰るから。行ってきます」


「はええな行くの。気を付けていってらっしゃい。やばくなったらすぐ逃げ帰って来いよ。俺達が守ってやるから」


「……うん。貸し一だからね」


 そこで通信は途切れた。あかねガチで諜報員になっちまったな。任意の情報を拾えるって言うあの能力はまじでやばすぎると思うんだ。誰よりもチートと言えなくもない。戦闘には向かないけど。


「あかねさんどこか行っちゃうんですか?」


「ちょっと調べものをな」


 フラフィーはちょっと寂しそうだった。でもあかねは悪い影響をロリ達に与えるので俺としては複雑な心境でもある。


 同郷だし面白い奴ではあるけど色々吹き込んだの忘れないからなまじで。帰ってこないと文句も言えないから無事で帰って来る事を祈ってるよ。

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