第24話 ロリコン認定早くね?

「さて久しぶりに一人だ」


 体と心を落ち着かせるために外をぶらぶらと歩く。正直イリスに抱きしめられていたから何とかなっていたが、衝撃映像を思い出して寝られるわけがなかった。


 寝たい気持ちも確かにあったが、一人になって考え始めたらもうだめだった。というわけであの強かったスケルトンのドロップアイテムを持って鍛冶屋に行くことにする。


 ドロップアイテムは二つ。『強化スケルトンの魔石』と『紅蓮石』だ。あのスケルトンを燃やしたことで発生したのかもしれない。もしくは瞬殺することが出来たから気づかなかっただけで炎も使ってきたのかもしれない。


 あの強さで魔法も使われていたらまじで危なかったな……。うん、みんな無事でよかったよかった。


「おっちゃーん。邪魔するよー」


「誰じゃい」


 また常連のように入ってみたがゴンズは棚の後ろでごそごそやっていてこちらを見ていなかった。


「俺だよ俺。幼女連れまわしてた」


「ああ、ロリコンの兄ちゃんか。どうした?」


 うん、自分で言ったけどロリコン認定早くね? ロリコンの文化ここにあんの?


「まずはレアっぽい素材を持ってきたことが一つ。もう一つは武器の新調かな」


「ほう? 昨日の今日なのに良く持ってきたな」


 俺はスケルトンの素材をゴンズに渡す。ゴンズは何やら難しい顔をしながら二つの素材を調べ始めていた。俺はその間暇なので店舗内をのぞいてみる。


 素人の俺から見ても美しい造形をしている剣や、切れ味がよさそうな武器がたくさんある。ハンマーやスコップ、バケツなど鉄を使ったアイテムもいろいろあって見ていて飽きない。


 鉱物のアクセサリーもあるのか、すごいなここは。ためしに鑑定してみるか。


『鉄のバケツ:鉄でできたバケツ』


『銀のネックレス:銀でできたネックレス』


 うん知ってた。そのまんまだね。素材がわかるって言うのは利点ではあるけどもう少し詳しくなりませんかね?


「なあキミヒトとかいったか。これどこで見つけてきた?」


「屑鉄のダンジョンですけど」


「なんだと? あそこに行ったのか? じゃあこれはマジに強化スケルトンのドロップ品か」


 何かに驚いているようだが、屑鉄のダンジョンは誰も行かないからだろうか。給仕の女の子にも止められたしゴンズもまともなものがないと思ってたんだろうな。


「あの魔法も効かない化け物をどうやって退治した」


「普通に剣でぶすっと。おかげで剣は壊れましたが」


「できるか! いやいい、詳しくは聞かん。ただまぁ、予想以上に面白いもん持ってきたな」


「確かに強かったですけど、そこまでですか?」


「ああそうだ。あいつがいるから屑鉄のダンジョンには近づくなって言われてた程だ。一層にも普通のスケルトンがいるから並みの冒険者ならそれで引き返す。強化スケルトンに出くわすとは……お前さん実力もあるわけだ」


 俺というか全員でなんとかって感じだったけどな。たぶん誰かいなかったらそれで詰みだった。クロエが足止めして、イリスが牽制して、フラフィーが足止めして、俺が止めをって感じだったからな。


 防御無視というこのチートがなければあのまま全員死んでいただろう。


「チームの勝利ってやつです」


「そうか。それでこの素材をどうする? 防具か? 武器か?」


「どっちにもできるんですか!?」


「ドワーフなめんな。余裕も余裕。こんな面白い素材持ってこられたら腕がなるわ。んでどうするよ」


 どうしよう。もってこいって言ってたからとりあえず持ってきただけなんだけど。それに俺が持ってきたはいいけどみんなのものだし勝手に使うわけにもいかんだろ。


「えーと、とりあえずどっちも出来るってことでわかりました。またみんなと相談して決めます。あとこれください」


「なんだ、見せに来ただけか。他の店に持っていくんじゃねえぞ、必ず俺のとこ持って来いよ!」


 目がぎらついていてなんか怖い。レア素材に興奮しすぎじゃなかろうか。いや俺がロリ見つけた時もこんな感じだし性癖は人それぞれか。


 ドワーフは背が低いし女性もきっと変わらないだろう。となるとある意味同士と言えるな。


「お前さん失礼な事考えてないか?」


 俺はあたりさわりのない普通の剣を買って店を出た。


 人と話しているととげついていた心が少し癒された気がする。おっさんに癒されるって言うのもなんだか嫌な感じだが事実だから仕方がない。


 何も言わず出てきたしそろそろ戻るか。誰も起きてないとは思うが急に俺がいなかったらビビるだろう。挙動不審だったこともあるしな。





 宿に戻って寝て、全員が起きたので昨日あったことを事細かに話すことにした。クロエが怖かったのもあって出来るだけ真面目な顔をして話すことにした。


 ロリに関する情熱だけは失うことがなかったことは言う必要のないことだからしっかりとそこに関しての黙秘を行使する。


 でもイリスにヘルプを頼んだことはしっかりと伝えた。誤解のないように、前後関係を細かく。どうやらイリスさんはお二人にこう伝えていたらしい。


「よくわからないまま頭を足の間に置かれた。しっかりと見ててほしい。暴れたら頼むって言われた」


 うん、だめだよそれ。嘘を言っていないだけにたち悪いね。端折り方えげつないし絶対わざとだよねそれ。


 クロエにそう言われた時はイリスを凝視することになったが、イリスに反省の色はない。ブイサインしてきたぞこいつ。あとでお仕置きしてやろうか。


 仕方ないので最初から細かく話すことでなんとかクロエを納得させることに成功した。フラフィーは終始無言で若干顔を赤くしていた。想像でもしたのかな。


「嘘ではないわね……。ったくあの街やばすぎじゃない。逃げて正解だったってところね」


「ああ、もしかしたらあの貴族も絡んでた可能性もあるしな」


 ベノプゥはどうだか知らないがムバシェは怪しすぎる。あの警戒心を持てなくする謎の技術、王城で使われた魔法と似てる気がしなくもない。


 ベノプゥが途中から何も喋らなくなっていたのもなんとなく不安を煽る結果になっている。勇者たちは兵士たちがいる前では発言をすることすらできなかった。


 四六時中見張られていたからわからないが、もしかしたらそれ以外の場所ではベノプゥみたいに普通に喋れたのかもしれない。


 俺と二番は王城を出るときにどこでも喋っていい許可をもらった、というか強制力が落ちる代わりに記憶を思いっきり書き換えられた。


 そういえば普通の人は一回もてば良い方とか言ってたし、ベノプゥは実験に使われたのか……? 見た目が魔物だからそういう線が捨てきれないな。人間の見た目だったらこんなに考えることもなかっただろう。


 それに従者だったらあそこまで暴言吐かないだろう?


「それで、キミヒトは復讐でもするの?」


「復讐ね……」


 正直かなり恨んではいるものの、復讐を本気でやりたいかと言われると良くわからない。過去の人生で人を殺してでも復讐してやるという気持ちを抱いたことはない。


 それに一緒に召喚された仲間たちとはいえ完全に他人だ。復讐をガチで計画するほどの義理もない。


「復讐はしないが、助けたくはある」


 しかし、助けられる可能性があるのに見捨てるという選択肢は取りたくない。というかそのために解呪の魔術を残している。


 出来るならば二番に会って呪いを解いて仲間にしたい。そして『解放』スキルを使ってもらって今も洗脳され続けている勇者たちをたすけてやりたい。


「なるほどね、でもそれならまずは情報収集と力をつけなきゃね」


「そう、だな」


 二番に関する手掛かりは全くない。しかし王城から追放された俺たちが行く場所なんて限られている。呪いであやふやな記憶とはいえ王都に二番は既にいなかった。


 となると俺達のようにどこかの街へ移動しているはずだ。あそこから近いのはこのケイブロット、もしくはリーベンの二つ。もう少し距離を開ければ他にもあるが、いきなりそんな遠くには行かないと思いたい。


 ここで情報が見つからなかったら最悪リーベンに乗り込むしかないだろう。クロエとイリスを捕まえた十三番ももしかしたらいるかもしれないが……。


「ダンジョンに潜って強くなるのは俺もそう思う。それにあの屑鉄のダンジョンを攻略したいんだ」


「あそこを? もしかしてメモに関係する?」


「ああ。このメモを残した人物は転生者、それも記憶を取り戻した。となればもう少し情報をあのダンジョンに残してるんじゃないかって思ってさ」


 これは俺のわがままでしかない。そもそもなんで屑鉄のダンジョンにメモを残したとか、あの部屋はどうやって作ったのかとか疑問は尽きない。


 しかし考えることはできる。例えば人が寄り付かない場所、勇者ほどの強力な力をふるうには最適な場所。この二つを合わせるとこのダンジョンは最適だと思う。


 さらに特殊な能力が無いと見つけられないと言うのもキモになる。見つからない可能性も存分にあるだろうが、勇者以外に見つけられても困るだろう。王城関係者が見つけた場合はすぐにばれる。


 ものすごく低い可能性に賭けて、さらに正気を取り戻しつつある勇者が来ると信じてあそこに託したんだ。


 なら最後まで行けば何かあるのかもしれないと考えてしまう。やるしかないだろう。


「そうね、経験値効率は悪いけど、それ以外の実力ならあそこは最適だし良いと思うわ」


「私も賛成」


「私も! 盾として頑張らせてください!」


 みんなの心強い言葉に俺はありがとうと言葉を返した。

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