第49話 ドレスの話
「ヨウイチ・・・」
「お?似合っているじゃないか」
「あらぁ~!アイリスちゃんと皆可愛いじゃないのぉ~!!!」
俺達はスカラ女王の結婚式に向けて、準備をしていた。
王族の結婚式だからという理由で身なりをしっかり整える必要があった。
それにアイリス達には惨めな思いはしてほしくないからな。
そんな、目の前にはドレスを着た美しい姿の少女達と身体をくねくねしている巨漢の野獣がいた。
うん、これ以上はツッコみを入れるのを止めよう。
俺はアイリスを褒めると、嬉しそうに微笑む
アイリスは綺麗な赤いドレス着ていた。
ちなみにこのドレスは全部、カマさんが作ってくれた、カマさん万能過ぎませんか?
「ちょっと!ヨウイチこっちも見なさいよ!」
「主人ー!」
勿論、この二人もドレスを着ていた。
クレナは黒のドレス、ファフニーは白のドレスだ
うん、目の保養になって俺は嬉しいぞ。
あと、カマさん俺の前でくねくねしないでくれ、だからお尻をプリプリさせるな!!!
「やはり、着慣れないな・・・」
「そ、そうですね。」
「あらあらあらあらぁ~!、アクレアちゃんもフェレちゃんも似合っているわぁ~!」
アクレアさんは薄い水色のドレスとフェレシアさんは薄い黄色のドレスだ。
そう言って、カマさんはフェレシアさんの乱れている髪の毛を櫛で綺麗にと整えている。
傍から見たら、親子にか見えないな、巨漢がドレスを着ていなければ・・・。
そんな俺は、タキシード姿でアイリスの手を引いた。
近くで見ると、やはり可愛らしいというよりも綺麗だ。
真紅の瞳が俺の目を見つめた、アイリスはクスリと笑う
「ちょっと!二人ともイチャつかないでよ!!」
そう言って、クレナは間に入るように割ってくる。
クレナは頬を膨らませる。
何故、そんなに怒っているんだ?
そんな、アイリスは涼しい顔で言う。
「正妻の余裕・・・・」
「ムキャー!」
正妻になった覚えがないので、訂正しようとすると
「いや、正妻になった覚え・・・」
「正妻の余裕」
「なったおぼ・・・」
「余裕」
「お・・・・」
「よ ゆ う」
「・・・」
俺はアイリスの圧に負けてしまった。
えぇい!この際、どうにでもなれ!
と言うか、俺はまだ17歳だぞ!!
そして、先ほどまで微笑んでいた顔が、怖い笑顔になっていた。
取り合えず、俺はアイリスの圧に負けて黙ることにした
しかし、しっかり化粧すると誰だか分からなくなってくるな・・・。
高校のクラスメイトの女子生徒が化粧するのも納得できる。
「さて、行きますかね・・・」
俺達は、向かうのだった。
――――――――――王室
「やっぱり、恥ずかしい・・・!」
「あら、結構似合っているじゃない?」
「うぅー・・・・」
私は現在、"人生初めて"のドレスに挑戦していた。
今まで、タキシードだったので着慣れないとやはり恥ずかしい。
ま、まぁ・・・!黒杉くんがいないわけだし、今日ぐらい良いでしょ!
私はドレスを着た状態で鏡を見る。
上は純白色から下に行くと徐々に淡いピンク色になっていき。
チュールとレースが幾度にもかなっていて可愛らしいものだった。
しかしだな・・・。
こんな、立派なドレスを着て良いものだろうか?
でも・・・、すごく女の子らしい・・・。
私は思わず、自分を見て自分で照れてしまう。
「あら、まんざらでもないじゃないの?」
「か、からかわないでくださいよぉー!」
スカラ女王は薄い紫のブライダルドレスだった。
綺麗な紫色の髪の毛と似合っていた。
私でも見とれてしまうぐらいに・・・。
「さぁ、私の結婚式はもう少しね・・・」
すると、スカラ女王は何故か哀しげ表情になっていた。
何故、悲しんでいるのだろうか?
「女王様、なんでそんなに悲しそうな顔をしているのですか?」
「あら?そんな顔してました?」
「は、はい」
「ごめんなさいね、でも何でもないですわ」
そう言って、他の話題に切り替えようとしてた。
「勇者様は誰か好きな人でもいるのでしょうか?」
「ななななななな、何をいいいいいいいいってるんですか」
動揺してないよ
えぇ、急なことだからびっくりしただけですから、えぇ、本当ですよ?
「いるのですね!さぁ、どんな人なんですか私に聞かせて頂戴!」
女王様はすごい勢いで食いついてきた。
その赤い瞳は輝かせるように今でも待ち遠しく見ていた。
私は観念して、話すことにした。
「そうですね・・・、最初は憧れみたいなものでした。
昔、色々ありまして、彼に助けられたんです。
最初は友達になりたい、でも自分には勇気が無くて追いかける事しかできませんでした。」
そう、彼は覚えていなくても、私は覚えている。
あの時、救ってもらえたことを
「ですけど、追いかけていくうちに彼の事を気になり始めました。
その気持ちは最初は何なのかわからなかったけど、この世界に来て初めて自分の気持ちに向き合いました。」
彼にはいつも助けてもらってばっかりで、何も返すことができない。
悔しい、苦しい、切ない・・・だから追いかける事しか出来なかった。
だけど、今は違う
「彼の周りには沢山の恋敵(ライバル)がいます、昔の私なら諦めてました。」
私が本当に諦めようとしたときに、私の事をを恋敵と言ってくれた人がいた。
その事を何を表しているのか
「だけど、追いかける事をやめません、どんなに険しい道でもいつか振り向いてくれると信じています。」
スカラ女王は静かに聞いていた、その真っすぐな瞳で
やがて、微笑むように話しかける。
「御剣さんの好きな人はきっと素敵な方なんでしょうね」
「はい、誰よりも、どんな人よりも素敵な人だと思ってます。」
すると、カチカチなっていた時計が鳴り始める。
「あら、時間じゃない?」
「では、女王様!私がエスコートいたしましょう!」
そう言って、手を差し出す。
「ふふ、本当は男がやることじゃないの?」
「す、すみません・・・、昔の癖で・・・」
私達は華やかの会場に向かうことになったのだった。
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