第26話 血の契約と大聖女は肉弾戦が得意用ですの話

三姉妹に、地面にクレーターを付けられたり、丸太を投げられたり、吹っ飛ばされた後

何とか、黒姫ノ影を使って、危機的な状況を脱出した。

しかし、魔力感知無しでもすぐに見つけられた事実に驚く。

いったいどうやって見つけたというんだ。

すると、茂みの中で身を潜めていると、声が聞こえた。


「おーい、どこだー。」


紅嘉だ。

クレナを極限投擲を発動して、遠くに投げたというのに、声からして結構近い。

しかも、この生い茂る、森の中で視界は見づらい筈なのに、ナイフを辺りを振り回して草木を斬りながら、徐々にこっちに近づいてくる。

いやだから、剣を使えよ!


「ん?そこか?」


すると、こっちに向けてナイフを投げた。

ナイフは俺の頬を掠め、頬から血が滴る。

叫びそうになり、手で口を押える。


「気のせいか」


紅嘉は反応がなかった事を確認して。

何処からともなく、ナイフを取り出して、通り過ぎて行く。

すると、短刀状態を解除して、クレナが話しかける。


「ご主人様、大丈夫?」


クレナは懐から、ハンカチを取り出し、頬に流れた、血を拭き取る。

白く綺麗な手が、血に触れると赤色が目立つ。

しばらくすると、クレナに付着した血は、吸い込まれるように消えていく。


その現象を不思議に思っていると、軌光石が光り出す。

新しいスキルを覚えたようだ。


『黒姫ノ契』

───黒姫ノ紅と契約した事によって、以下の効果が付与される。

・黒姫ノ紅が自立した、戦闘が可能になになる。

・黒姫ノ紅との視角の共有ができるようになりました。

・黒姫ノ契の効果により、黒姫ノ紅が強化されると、自身の身体能力が向上した。


すると、俺とクレナが蒼いオーラに包まれていた。

どうやら、黒姫ノ契の効果の身体能力の向上のようだ。

実感がないが、ただ包まれた蒼いオーラは綺麗だった。


次に、視角共有をする事ができる。

どうやってできるのであろうか?

すると、クレナが目を閉じると。

自分の目に何か違和感がった、するとクレナが。


「あ!私の顔が見えます!」


「どうやったんだ?」


クレナが言うには、目に魔力を集中させると出来るらしい。

試しにやってみる事にする。

すると、徐々に視界が見えてくる。

俺の姿が見えた、次に片目でもできるかどうかを試した。

出来なくはないが、視界が変になる。

片目の状態で自分の姿をみると、自分の目が蒼く光っていた。

共有している状態は目が蒼く光り、クレナの場合は、紅く光るようだ。


強化については、後々調べていくことにした。

すると、盛りの声が悪魔の声が聞こえた。


「ふぇえええ、何処に行ったんですかぁ」


どうやら、水嘉のようだ。

俺はクレナと一緒に茂みの中に隠れた。


「あっぶねえ」

「戦わないの?」


馬鹿を言うな、普通のパンチでクレーターを出してくる奴と、まともに戦うなんて、自殺行為でしかない。

命が、いくつあっても足りないわ。


考えていると、悪寒が走る。

俺は、ふと後ろを振り向くと、そこには雷嘉が茂みを顔をだして、こちらを見つめていた。

唐突だったため、尻もちをついてしまう。


「みーつーけーたー。」

「うぉあ!?」


あの、重そうな鎧を、なぜ音もなくここまで、近づいてきたのか。

雷嘉は、容赦なく剣を振る。

完全に不意打ちで、これは流石に避けられないと思った。


───キィン!!!


しかし、斬られなことはなく、甲高い音が鳴り響く。

何故なら、クレナが腕を剣に変形させた、雷嘉の攻撃を受け止めていた。


「ぬ!貴方はクロスギさんと、一緒に下着の状態で寝てた、痴女!!」

「誰が!痴女よ!ヨウイチは私の主人なの!当り前じゃない!!」


ちょっと待て、誤解を生むようなこと言うんじゃない!!

それと、何故、雷嘉がその事をしっているんだ!?なんだ、疾嘉が言ったのか!?言ったんだな!!

くっそー・・・3ヶ月後、覚えておけよ・・・絶対に仕返してやるからな。


「夜にお供するのが、普通でしょ!!」


そんな、クレナの発言を聞いて、雷嘉は汚物を見るような目で見つめた。

だから、やめろ!誤解だと言っているだろ!


「黒杉さん・・・」

「いや、誤解だって」

「嘘つき!私をあんな所や、こんな所を見ようとしてた癖に!」

「バカ野郎!誤解を招くような発言をするな!あれは解析と分析しただけだろ!」


俺の発言を聞いて、雷嘉はますます引いたような顔になる。

今の発言で間違ったこと言ったのか?

何か、誤解されたまま、雷嘉は話し続けた。


「まぁ、クロスギさんが変態という事はどうでもいいので」

「良くねえよ!」


俺は思わず、突っ込んでしまった。

しかし、雷嘉はどっちだって良いという顔をする。

この修業が終わったら、誤解を解く必要あると、頭を抱える。


「しかし、貴方も戦えたのですね、正直予想外でした。」

「はい、ご主人様の新しいスキルです」


雷嘉は興味深そうしていた。

互いの、剣撃が次第に激しさを増す。

クレナがここまで戦えるのは予想外だった。

というか、俺いらなくね?

すると、俺の後ろから攻撃が聞こえる。


「ふぇえええええ!みつけましたぁ!!!」


水嘉がこっちにジャンプして攻撃してくる。

俺はすぐに気づくことができたおかげで、避けることができた。

案の定、地面にはクレーターができてた。

こいつ、大聖女よりも武術家になった方がいいのでは?


「ふえぇ、もう逃げられませんよ。【魔神拳】ッ!」

「ちょっと待て!大聖女が魔神って言葉をつかうのはどうか思うだけど!?」


水嘉は手に鮮血グローブをはめ、そのまま何か貯めるように構える。

その瞬間、水嘉が数十メートル離れているところで、俺に向ってパンチをする。

放ったパンチは地面を抉るように、濃い紫色の極太レーザーの魔力の塊が、俺に迫り襲い掛かる。

クレナが戦闘中の為、黒姫ノ影は使えない為、横に大きく飛び込むように避けた。


避けた所を見ると、抉れた地面と無残に粉々になっている木があった。

お前、大聖女やめた方がいいんじゃないか?

すると雷嘉が話す。


「水嘉は大聖女だけど、回復とかあまりできないのよ、できないわけじゃないけど」

「ここの大聖女という概念が分からなくなるんだが・・・いったいなんなんだ・・・」

「でも水嘉の強いところは、身体強化と自己回復力、ただの大聖女だから、あまり動けないだろうと思ったら・・・死ぬわよ」


すると、水嘉が再び、構える。

そのまま、大きくジャンプする。


「ふえええ・・・・【流星殺法(りゅうせいさっぽう)・五月雨血拳(さみだれけっけん)】」

「ちょっとまて、本当に大聖女なのか?その物騒なネーミングセンスは一体何なんだ!?」


そのまま、先程の魔神拳よりも、細目の紫の拳圧が、飛んでくる。

先程と違って、威力は弱めだがら、連続で飛んでくる。


「ふえええ・・・・オラオラオラオラオラオラッ・・・ふええええ」

「ちょっとまて、幼くなるか、某不良になるか、どっちかにしませんかね!?ちょ、あぶね!?」

「何をいってるか、わからないですぅ・・・ふえええ・・・」


徐々に、速度を上げていき、次第に文字通りに流星のように。降り注いでいく。

地面をみると、シューっと消化後のような音を鳴らしながら、30cmほどの穴が出来ていた。

よくみると、”綺麗”な拳の形が出来ていた。


「やっば・・・絶対に喰らったら、身体に穴が開くやつだ」

「ふえええ・・・喰らってくださあい」

「バッキャロー!こんなの喰らいたいバカがいるもんか!?」


流星の雨が、降り注ぐ中で、黒杉は森を走り抜ける。

ふと、走ったまま、後ろを向く。

空中に飛んでいる、大聖女様が、尋常じゃない速度でパンチしているせいなのか、腕が八本に増えてるように見えた。

阿修羅かな・・・。


やはり、この世界は自分が思っていた常識とは違うようだ。

肉弾戦をする大聖女と、剣聖なのに剣以上に使いこなせているナイフとかどうなってんだ。

つくづく、13課は規格外の人達が多い。

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