第18話 分析、解析、鑑定と映像の話

った。俺は気づけば、見知らぬ白い天井が見える。

まぁ、自分の部屋なんだけど・・・。


俺は最後に起きた事を思い出す。

変身したシルクに吹き飛ばされて、壁に叩きつけられた後に気絶した。

うん、間違いないようだ。


「所詮・・・村人は超人に敵わない・・・か」


自分の拳をみて、あの時、もう少しで届きそうだったことを思い出す。


「俺は・・・諦めねえぞ」


体を起こす。

背中が少し痛い、だが、少しだけで済んで良かった。

前のレベルが低い状態だったら、もっと酷いことになっていた。

今は自動回復のお陰で、あまり激痛が起こることはないけど、まるで、トラックに跳ねられた後に、鉄で出来た壁に叩きつけられるのは、流石に死を覚悟した。

とにかく、今日も生きてることに喜ぼう。


周りを見渡すと、アイリスが椅子に座って寝ている。

ここまで運んでくれたのであろうか?

それなら、少し申し訳ないことしてしまった。

今度、美味しい物を奢らなきゃだな・・・。


「そういや、あの訓練でスキルを覚えたんだっけか・・・」


思い出したところで、軌光石でスキルを表示させる。



【黒杉 陽一】

職業 村人

LV30

HP3000

MP5000

SP2700


攻撃 700

防御 500

魔力 4000

精神 2700

素早さ 600

器用さ 3000

運  15


スキル

・「極限砲撃(マキシマム・キャノン)」

・「極限投擲(マキシマム・ショット)」

・「収納・EX」、「錬成・EX」、「鍛冶・EX」

・「十文字切り」、「スラッシュ」、「跳躍」、「鍛冶」、「鑑定」、「解析、」、「分析」、「改竄」「釣り」、「料理」、「木こり」、「連打撃」、「乱舞」、「ヒール」、「サキュア」、「ショット」、「ピンポイント」、「シールドバッシュ」、「ガード・アップ」、「アタックアップ」、「スピードアップ」、「 密迹」、「金剛」、「加速」

「一刀両断」、「残影」、「魔力感知」

初級魔法・炎、水、火、雷、土、風、闇、光

初級呪術「呪」「恨」「影」


パッシブ

成長・Ⅱ

転職の加護

自動回復・Ⅰ

MP自動回復・Ⅰ

千手(せんじゅ)


いつの間にか、自分の体力よりも魔力の方が上回っていた。

そして、全体的のステータスが飛躍的に上昇していることが、一目見て分かる。

【融魔制御】とシルクさんとの修業で、魔力を大量に消耗したせいだろう。

しかし、それでもフヴェズルングの人たちにはには遠く及ばないだろう。


スキルは、いくつか限界に達してた物が、いくつかあった。

次のシルクさんの訓練に対策をする為に、詳しくスキルを覚える必要がある。


───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。


「収納・EX」

・アイテムの詳細を知る事で、複製する事ができるようになりました。

※構造が理解していない物は複製できません。

※特殊系・固有系な物は複製できません。


「錬成・EX」

・土、石を錬成させる事によって、硬度10までの物を錬成に出来るようになりました。

※ミスリル、オリハルコンなどの英雄、伝説級の物は錬成できません。

※硬度を知らないと錬成できません。


「鍛冶・EX」

・英雄級、伝説級の装備の装備以外の物は全て鍛冶で作成可能になりましだ。

※ミスリル、オリハコンを使った、鍛冶作成はできません。

※構造が理解していない物は作成できません。

※構造が複雑すぎる物は作成できません。


なるほど、条件は付いているけども、かなり強力なスキルだと分かる。

それでも、シルクさんに相手にするにしても、手札が足りない。一度見られたスキルはきっと、破られるだろう。

その為、次に相手してもらう前に、切り札になるものを用意しなければならない。

それも、決定打になるものをだ。


スキルを調べていると、アイリスが目を擦りながら起きる。

そのまま、目をぱちくりさせて、黒杉が起きた事に気づき、話しかける。


「ヨウイチ・・・?」

「おはよう、アイリス」


そう言って、アイリスは優しく手を握る。


「良かった、心配した。」

「すまなかったな。」


安心して、いつもの優しい顔に戻る。

アイリスは軌光石を取り出して、日付と時間を表示させる。


「ヨウイチ・・・あれから二日経った」

「は?俺そんなに寝てたのか?」

「うん・・・」


今までの訓練の疲労なのか、それとも魔力の使い過ぎだろうか?

でも二日分の訓練を取りも出さないといけない。

試しに、【収納】の能力を試そうと試みる。


「ヨウイチは何してるの・・・?」

「あぁ、新しいスキルを覚えたから、それを試しているんだ」

「そっか・・・どんなスキル覚えたの?」

「あぁ、それはだな」


何をする、黒杉に対して、アイリスは寄り添うように、その様子を見ていた。

スキルを表示させて見せながら、説明をし、頷きながら聞いている。

ある程度、説明が終えたところで、ベットか出て、寝間着に着替える。


「とまあ、こういうスキルを覚えたわけだからさ、実験する所だ」

「理解・・・」

「じゃあ、まずこの収納に入っている霊水を複製させよう。」


そういって、【収納】の能力で複製させようとするが、うまくいかずに、普通の魔力回復ポーションが出来てしまう。

軌光石にスキル表示に『情報不足か構造の理解不足』とそう書かれていた。


なるほど、効果だけ知っても、根本的な事を分かってないと意味がないんだな。

なら、試しに、それらしいスキルを使って見よるか。


黒杉は【解析】と【鑑定】、【分析】のスキルを発動する。

すると、アイテム表示にこう書かれていた。


『霊水の情報が全て開放されました』


そこから、長い説明が欄がずらずら表示される。

おお!成る程、スキルで使って調べると出来るようになるんだな。


もう一度、複製しようと試みるが、失敗で終わってしまう。

今度は『構造の理解不足』と書かれていた。

まさかだと思い、先ほどの霊水の説明欄を読む。


4時間程使って、霊水の構造を理解した。

まさか、こんなに時間を食うことになってしまうとは、久しぶりに勉強した気がする。


すると、軌光石から音がなり、『霊水が複製可能になりました』と表示される。

やっとかと思い、3度目の正直に複製すると、今度は霊水が出てくる。

その瞬間、自分の魔力がごっそり持っていかれるの感じがした。

どうやら、複製の効果を使うことで、魔力を消費することが分かった。


「な、長かった・・・」


俺は収納に入っている、短刀も同じように調べる。

短刀の等級が低いのか、今度は30分で複製が可能になった。

これで短刀も常時、複製しながら作れるようになった。

これなら、シルク対策に役立てると思い、色々調べることにした。


「アイリス、解析とか鑑定ができそうな場所とかあるか?」

「ん・・・ならエンジニア室、研究室とか・・・?」


そうだな、あそこなら情報が沢山があるからな。

行く価値はある、なら善は急げだ。


「よし、アイリス行くぞ」

「うん・・・」


俺達は自分の部屋から出て、エンジニア室に向うの。


―――――――【フヴェズルング 第一会議室】


会議室にはアクレア、セヌーア、立花、、シルク、疾嘉、ユキ、サンクの7人が集まっていた。

他にも数人がいた。壁に寄りかかる者がいれば、その場に宙を浮かぶ人もいる。

そして、共通して、その場にいる人達は全員、腕章を身に着けていた。

腕章には『ⅩⅢ』との文字が書かれている。


「皆さん、集まったようですね。これから、フヴェズルングの緊急会議を始めます」


赤髪の和服の女性が立ち上がった、彼女は立花。

フヴェズルングの現状リーダーの一人がいた。

立花は、椅子から立ち上がって、話しはじめる。


「最近、フィルネル王国の付近で不審な人物が見られるようです」

「不審な人物とは?どういう方でしょうか?」


アクレアは不審な人物誰かと聞こうとする。

立花は頷いて、一つの軌光石を取り出す。

その軌光石は、赤黒い染みがついていた。


「はい、この軌光石に映像が保存されています。5課の者が、この軌光石を持ち帰ってきました。その映像を見せたいと思います」

「あれ?姉御ー!2課の人が向かったんじゃないでふか?」

「シルちゃん、その理由も今から分かります」


シルクの質問は、今から見せる映像でわかるのこと。

会議室の照明が消え、白スクリーンから映像が流れる。そして、その場の全員が注目する。


一人の人影が見える。

人物は黒いコートで顔が見えない。

しかし、ただの映像越しなのに、なぜか"殺気"感じるのだ。

その殺気は、次第に強くなり、黒く禍々しくなる。

そして、コートの男はこちらを見た。


紅い瞳で”見つめていた”。

まるで、その場にいるかのような、錯覚に陥る。

その瞬間、その場にいる全員が悪寒を感じた。

見てはいけない、でも、目を放すことができない。

そう思った時に、映像はここで終わったのだった。


「この後、2課の者達の反応が無くなり、5課の者をすぐに向かわせたのですが・・・」


立花は唇を噛み、下に俯いた。

近くにいた、シルクは気づく。

立花の強く握る拳が小さく震える。


「向った・・・2課の者は全員、体がバラバラの・・・死体となって見つかりました・・・」


そう、仲間の訃報だった。

会議室は沈黙する。


しばらくすると、アクレアは口を開いた。


「・・・2課の者には、後で墓を建ててあげよう。」

「・・・はいです」


次にセヌーアが口を開く。


「これ以上、被害を出さない為に、速く手を打たなければならないね。それにあの殺気は皆は感じた事あるのでは?」


全員が黙る、信じたくなかった。

だって、あんな殺気を出せるのは一人しかいないんだから。


フヴェズルングの創設者にして、統べる者。


月ノ城 羽咲


しかし、顔が見えたわけでもないから、確信がない。

そして、セヌーアが続けて話す。


「この人が、仮にウサなら、あの状態は非常に危険だ。皆も知っているだろう?」


なぜなら、暴走した姿を、この場にいる全員が一度見たことがあった。

フヴェズルング総勢でも、彼の力は圧倒的で、苦戦した。

幸いなことに、誰一人死ぬことはなかったが、周りの被害は酷かった。

彼の”殺意”によって、木は枯れ、地面は死に、水は飲めなくなったのだから。


本来は月ノ城の【殺人衝動】は、【悟りの極致】のスキルによって、制限されている筈。

それがなんらかの形で無効化されたか、解除された可能性があった。


「それに羽咲さんが失踪したのは4日前ですし、言ってることは一致してるかもー・・・なの」


そう疾嘉は言う。

セヌーアは頷き、再び話はじめる。


「最悪を想定して、ウサを排除しなければなりません」

「ま、まって!セヌーさん!」


慌てて、シルクが立ち上がる。

身振り手振りをつかって、伝えてようとする。


「う、うーさんを排除なんて、いくらなんでも!」

「シルちゃん、あくまでも、最悪の場合ですよ」

「ですの・・・」


疾嘉と立花はシルクを落ち着かせようとした。

興奮するのも無理もない、何故なら全員が月ノ城によって拾われた人達なんだから。

次にアクレアが難しそうな顔をして発言する。


「出来る限りの事はしましょう、しかし最悪場合を想定しておいて下さい。では本日は解散します。」


そう言って、合図と同時に、シルクは何処かへ走って出て行く。

立花はその姿をみて心配するのだった。


「疾嘉先輩、シルちゃんは大丈夫でしょうか・・・それにウサさんは・・・」

「大丈夫なの、それにウサさんはしぶといし、簡単にやられる人じゃないなの」

「はい・・・そう・・ですね」


そして、会議室には誰もいなくなった。

一人になったセヌーアは呟く


「ウサさんなら、あの約束は果たせる筈です」


そう言って、一人闇の中へと、消えていくのセヌーア。

一方・・・黒杉はというと・・・。


―――――エンジニア室


「か、かっこいい!」

「だろぉ!?」


ハグレ=メダルと意気投合してた。

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