第16話 脱ぎ癖と王国が襲来されるの話

修業が終わって、疲れて、そのままベットの上で寝たのは良いのだが・・・。


「あのー、アイリスさーん?」

「うーん・・・。もうちょっと」


時間は朝の7時半を過ぎていた。

俺は起きようとすると、何か生暖かい。

そっと布団を捲ると、アイリスが全裸のまま、抱き着いて寝ていた。

前から思ったけど、この子は脱ぎ癖あるのか?

いやまさかな・・・揺さぶって起こすことにした。


「おい、いい加減起きてくれ。あと、服を着てくれ・・・」


アイリスはゆっくり瞼を開ける。

まだ、少し眠そうだ。

アイリスはあくびをする。そして、頬を赤らめさせ、。


「昨日は激しかったね」

「何もしてないだろ!!?」


俺は本当に何もしていない、してないよな?

自分の服を見たが、乱れてはいない、シーツも触っても汗で濡れてる感じはしない。

アイリスは頬を膨らませる。


「ヨウイチ・・・ノリが悪い」

「いや、ノリとか冗談とかの問題じゃねぇぞ?てか、なんで脱いでるんだよ」

「誘惑・・・」


確かに、魅力的だが・・・やめてくれ!俺だって理性があるんだからな!?

まったく、もう少し自分のことを大切にしてほしいものだ。

壁側の方を見るが、チラりとアイリスを見てしまう。

綺麗な銀髪、白い肌、紅い瞳・・・。

布越しだが、胸が少し見える。

小さくもないが、大きくもない。

普通の日常なら、大いに喜ぶシチュエーションなんだが、今は元の世界に戻らなければならない。


色々、奮闘と自制をする中で、アイリスは黒杉の視線を気づいたのか、少し口元がにやつく。

そのまま、馬乗りになり、アイリスは黒杉を追い込むように迫る。

腕を掴み、そのまま押し倒し、紅い瞳が見つめる。


というか、力強くない!?そんな細い腕でどこから力を出してんの!?

ちょっとまって、さりげなく魔法詠唱でしてない?口元動いてるよ?今、【アタックアップ】って言ったよね?ねえ!


「ヨウイチ・・・私・・・魅力ない?」

「いや、あのー・・・そういうわけじゃないけど」


むしろ、魅力的要素しかない。

そう言って、顔が近づいてくる。

その距離わずか3cm、力もなければ、逃げ場がない。

というか、アイリスってこんなにゴリゴリの肉食系女子とだったとは・・・。


その時だった。


―――ウィーン


自動ドアが開く音だった。

音に気付いた、黒杉とアイリスはドアの方を見る。

そこにはユキが立っていた。


「・・・・ごゆっくり」


何かを察したのか、ゆっくり目を閉じて、何も見なかったことにしようと、出て行こうとする。

このままだと不味い、弁解しなければ。


「まてまてまてまて!!誤解だぁ!!!!」

「誤解じゃない・・・」

「アイリス!シャラァップ!貴方はちょっと静かに!」

「むー・・・」


むーじゃありません!

俺は、必死にユキに弁解をした。

ユキは「わかったから・・・訓練所に集合・・・変態」って言って、先に訓練所に向った。

どうやら、乙女の敵として認識されてしまった。

すると、その後すぐにユキがすぐに戻ってきて言う。


「連絡忘れた・・・大事な話がある。早く来て・・・」


それだけ伝えて、出ていく。

その後、アイリスは自分の部屋に戻って私服に着替えに行く。

俺も制服にすぐに着替えて、訓練所に向かう。


───【訓練所】


訓練所には、沢山の人が集まってた。皆、好きなところで自由に座ってたり、壁に寄りかかっている人もいた。

ざっと見渡すと1000人ぐらいだろうか。

その一番前の方で、シルクと疾嘉など、この基地で偉い人であろうと思われる人たちが立っている。


「全員集合なんて、集まるなんて珍しいね」

「だねー」


そんな、話し声が聞こえた。

全員が集まるってことは、なにか良からぬことでもおきたのだろうか?

そう思いながら、俺はアイリスと一緒に後ろに並んだ。


しばらくすると、出口からアクレアが現れる。

そのまま、皆の前に立つ。深刻な顔で、礼をして話し始めた。


「皆さんに報告があります。3時45分にてフヴェズルングのリーダーの月ノ城 羽咲の反応が無くなりました」


急な報告で、会場が騒めく。

アクレアが、手を叩くと、その場を静かになる。

確認したところで、話し続けた。


「現状リーダーがいない以上は、私とセヌーア、シルク、タチバナが仕切ることになりました」


現に今までの月ノ城さんが、全部仕切ってたらしい。

いきなり、指揮する者がいなくなれば、混乱するのは無理もない。

今回は、4人がリーダーになって仕切るって事で、その場は収まった。


「既に、2課の者が既に、消息を絶った現場に向かわせています。結果が分かり次第、皆さんに連絡します」


話しは以上で、不穏な空気が流れたまま解散する。

月ノ城さん・・・大丈夫であろうか?

あんな強い人が、急にいなくなるなんて、何か大きな事件に巻き込まれているのだろうか?

そんな時、俺はふと思い出す。


「美空、一樹・・・アイツら変なことに、巻き込まれてなきゃいいんだが・・・」

「ヨウイチ?大丈夫?」


俺の顔が不安そうだったのか、心配するアイリスがいた。


「あ、ああ、大丈夫だ!今日も修業しにいくぞ!」

「うん」


俺達は訓練を始めた。



―――――――――――王国「フィルネル」



「ま、魔物だぁああああ!」


突如、王国に魔物が群が現れ、町の人たちを襲う。

大体、30匹程の目撃情報を聞く。

勇者たちは、町に現れた魔物を討伐するために、出撃する。


「おかーさーん!!うああああん!」


幼い少女が、母親とはぐれたようだ。

逃げる途中、転んで少女の膝に血が出ていて怪我をしていた。

わんわんと泣き喚く、その声に気づき、魔物が少しずつ少女に近づいてくる。


「うあああああん!」


少女は立ち上がろうとしても、恐怖でその場で動けなかった。

そして、魔物が少女に襲い掛かる。


「ッヒ!?」


少女は目を閉じる。もう駄目かもしれない。

しかし、数秒経っても、その駄目かもしれないという思いは訪れることはなかった。

その理由は目を開けて、分かった。

そこには鎧を着た騎士がたっていた。

騎士の3倍ぐらいの大きさのある、剛腕な魔物の攻撃を、自分と同じぐらいの大きさの盾で防ぐ。

魔物攻撃はびくともせず、そのまま、片手剣で一撃で切り伏せ、魔物は絶命する。


「か、かっこいい・・・」


少女は、その騎士の姿に見惚れる。

騎士は剣を納め、少女の方を向き近づく。

目の前に来た所で、兜を外して、手を差し伸べる。


「大丈夫?立てるかしら?」

「う、うん!」


厳つい鎧と対象に、美しい顔立ちに、透き通った声。

そして、出てきたのが女性の人だった。


「お母さんとはぐれちゃったのかな?」

「う、うん・・・」


後ろを向いてて気づいていなかったのか、今度は数十匹ほどの、鳥型の魔物が、獰猛そうな口を広げて、襲い掛かる。


「お、お姉ちゃん後ろ!」

「っく・・・!」


騎士に素早く襲い掛かる魔物たち。

少女に気に掛けたせいなのか、盾を構えるのが遅れる。


「破山砲!!!」


横から、白い光線が、襲い掛かる魔物達は全て吹き飛ばし、壁にめり込む。

どの魔物も、白目を向き、死亡している事を確認する。


「おいおい!美空さんよ!気を抜くなよな!」

「ごめん!一樹」


そう二人は一樹と美空だった。

後から、七海が走ってきて近づいてくる。


「七海!この子の手当てをしてあげて!」

「あいよー!【光癒(ディ・カペス・ヒール)】」


そう言って、七海が呪文を唱えた後に少女は光に包まれる。


「ゆうしゃさまですか?」

「まあ、そんな感じかな?」


美空はちょっと浮かない顔をしてたが、少女の期待を応える様に話した。

すると、奥の方から少女のお母さんらしき人物が、泣きながら走ってくる。


「ミカー!!」

「お母さん!!お母さん!!」


少女は母親に抱き着いた。


「怪我はない?大丈夫?」

「うん!ゆうしゃのおねえちゃんたちに守ってもらった!」

「ゆ、勇者様!?」


母親は驚いて、すぐさまにお礼を言う。


「勇者様!娘の命を救ってもらってありがとうございます!」

「い、いえ・・・勇者だなんて・・そんな」

「おねえちゃんありがと!これあげる!」


そう言って、少女は一輪の綺麗な白い花を渡す。


「わあ!綺麗な花ね!ありがと!」

「お姉ちゃんみたいで綺麗でしょ?」

「まぁ、褒めるの上手だね」

「えへへー」


そう言われると嬉しそうに髪の毛に花を付けた。

美空は母親に話しかける。


「早く、避難に向ってください」

「はい!ありがとうございます!」

「ばいばい、おねえちゃん!」

「うん、またね」


挨拶をして、母親と少女は避難所に向うのであった。


「しかし、ここのところさあ、魔物の出現率上がってないか?」


疑問に思う、一樹だった。

この2週間、町に魔物の出現増えてきた。

最初は手ごたえが無く、その度に強くなっているような気もする。


「そうね、なんでかしら・・・」


そう考えていると、背中から悪寒を感じる。

そして、"感じたこと"のある、この禍々しい魔力は忘れもしない。

美空は、すぐ様に後ろに振り向く。

そこには、フードを深く被った、黒コートに身を包んだ人が立っていた。


「ッ・・!」


美空は本能的に後ろに下がる。


「(コイツはやばい、この世界にはこんな人がいるの?)」


それは佐野と一樹もわかってた。

これ程の"殺意"を向けられたのは初めてだっ。


その殺意に興奮したのか、魔物が黒コートの人に襲い掛かる。

しかし、時間が止まったように、魔物が動かなくなった。

いや、動かなくなったんじゃない、既に死んでいた。

その証拠に・・・


ボトリと音が聞こえる。

その音の正体は、魔物首がと落ちるの音だった。


黒コートは一歩、また一歩近づく。

残り3mぐらいで止まった。

ハッキリとは見えないが、男の人だとわかる。

殺意を向けてくる、"紅い瞳"は自分たちの心臓を鷲掴みされる気分になる。


「・・・勇者か?」


男が話しかけてくる。

私たちは驚く、どうやら意思疎通ができるようだ。


「・・・だからどうしたの?」


私は向けられた殺意に押しつぶされないように気を強く持つ。

しかし、長く保てる自信がない。


「なら、魔獣を倒すはやめとけ」

「どうして?」


魔獣を倒さないと世界を滅ぶんでしょ?

なら、断るしかないじゃない


「・・・答える必要はない」

「じゃあ、交渉決裂ね。」

「そうか・・・じゃあ死ね」


そう言って、目の前の男が消える。

後ろにいた、一樹が叫ぶ。


「美空!後ろだ!!!」

「ッ!!!」


一樹の掛け声で盾で防御する。

ぶつかり合う、金属音の鈍い音が聞こえる。

凄まじい力、防御をしたのはいいけれど、その衝撃で、激痛が走り、腕がダメになるのが分かる。


「う・・ぐ!!」

「やるな・・・良く防いだ、だが・・・」


男はまた目の前から消えて、先ほどの位置に戻った。


「死んでたまるもんですか!私はまたあの人に会わなきゃいけないんだからね」

「あの人・・・?恋人か?」

「ち、ちがうわよ!」


違うわよ!違う!楊一はそ、そんなじゃ・・・!


「まぁ、二度と会うことはないけどな」

「うっさい!私は楊一に、もう一度会うんだから!」


男は楊一の名前を出した瞬間、一瞬動きが止まった気がした。

何か知ってる?


「一瞬、反応したけど何かしってるの?」

「さあな、答えるつもりはない・・・っぐ!」


男は突如、胸を押さえ苦しみ始める。

美空達は突然の事で驚く。


「な、なに?」

「っく・・・今回は見逃してやる。次にはもっと強くなってる事だな」


そう言って、男はその場で消えていなくなる。

遠くだったから、気のせいかもしれないけど。

そして、去り際に、右目だけ"碧い瞳"になってたような気がした。


「いったい何だったんだ・・・」

「わからない、でも一つ分かったことあるわ」


そう美空は確信した。


「楊一は生きてる。」

「あぁ、さっきの男の話を聞いてみるとそうみたいだな。」

「ヨウイチくん・・・生きてたんだ、良かった・・」


予想外の出来事だったけど、今日の一番の収穫だった。

そして、3人はこの事を希望にして魔物退治の続けた。



――――――――基地「フヴェズルング」


「うぉおおおおおおお!!」


黒杉は強化した短剣を岩に向って投げた。

その短剣は激しい回転によって岩を徐々に削っていく

そして、今までにない爆発が岩を襲う

砂煙で前がみえない、しばらくすると晴れる。

そして・・・。


岩が砕けた。


「よっしゃ!」

「やったね・・・ヨウイチ」

「おめでとう・・・第一関門突破・・・」


これで第一関門か・・・先が長いぜ・・・。


「フゥーハッハッハッハ!!!」

「な、なにやつ!」


声は上からだった。

見上げると、スポットライトに照らされる人影が見えた。


「あれは誰だ?鳥か?猫か?いや、私だ!」


そういって、ジャンプしてスタイリッシュに降りてくる、一体・・・何シルクなんだ・・・。


「好きな言葉は猫まっしぐら!」

「なんだよ!その言葉!?」


思わず、突っ込んでしまった・・・、悔しい。


「キャットうーにゃん参上!!!」


ッドーン!


後ろに、音声的な爆発音が聞こえた気がするけど気にしないでおこう。


「呼んだな、金貨2枚だ」

「呼んでねえよ!」


また、突っ込んでしまった・・・何故だ・・・!

ペースが完全に相手に持っていかれる!


「・・シルル」

「あ!ユキ姉!指導お疲れ様です!」

「じゃあ、次お願い・・・」

「はーい!」


そう言って、猫みたいな、仮〇ライダーのスーツを解除して、元の姿に戻る。

てか、どうなってんだその服・・・。


「ヨウイチさん!次は私の番です!よろしくお願いします!」

「あ、あぁ・・・頼む」

「ヨウイチ・・・」


アイリスが服の裾を引っ張る


「どうした?アイリス」

「私も変身したい…」

「しなくてもいい!!」


頼むから、俺の胃をこれ以上は痛い思いをさせないでくれ・・・。

そういって、キリキリする胃を抑えながら、修業を始める黒杉だった。

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