第33話 瞬間移送 2
「昔って・・・」
「13000年前よ、当時はウルム氷河期の最期で大陸と日本列島はまだ陸続きだったの。私たちは当時の縄文時代の人たちにこの技術を教えたのよ」
「まさか、縄文時代の人間が現在の文明よりハイテクだったのか?」
「そうなのよ。飢えも争いも無い精神的に満ち足りていた時代なの。まずは私たちは縄文時代の文明発生の地として本州で五ヶ所選んだの」
「非常に興味あるな。その五ヶ所とは?」
「神戸の六甲山を発信元として
1 三代丸山(青森県)
2 皆神山(長野県)
3 甲府盆地(山梨県)
4 彦島(山口県)
まずはこのそれぞれの地に神社を建てて移送ゲートを設置して私が行き来したのよ。そして高度な文明を教えたってわけ」
「確かに今言った土地は縄文時代の遺跡や土偶、ヒエログリフが発見されている謎が多い場所だな」
「竪穴式住居、狩猟民族、磨製石器というのが縄文時代と学校では習ったわ」
「だからそれは事実と全然違うのよ。今の物質文明の目で見るからそうなるの。彼らは精神文明を維持してたもんだから1万年間も争い事もなく平和に暮らしていたのよ」
「理解しがたいが精神文明とは一体どんなものなんだ?」
「我々カタカムナ人と同じレベルで物事を理解して過ごしていた文明なの。宇宙の真理と目に見えないものを崇拝する文明と言ったほうがわかりやすいかな」
「でも現在は完全に物質文明だわね」
「そうね、今の6500年間はユダヤの考え方が主流の時代なの。お金や貴金属や土地など形あるものが評価されて、それを沢山持つ者が富裕と呼ばれる時代なの」
「 日ユ同祖論か・・・」
「少し違うわ。同祖ではなく日本が先でユダヤが後。もっと言うと日本は精神文明の役割、ユダヤは物質文明の役割を担っていたの」
「ボー」低い汽笛が神戸港から聞こえてきた。
「まあ、この続きはお化けトンネルに帰ってから話しましょ。あの二人もトンネル内で待ってるはずよ」
そういうとメグはスマホを取り出して星に連絡した。
「今から戻るけど、ジャンプして大丈夫?」
「今なら誰もトンネルにいないんだナ」
「じゃあ、中居先生、摩耶ちゃん。行きと同じように私の肩にしっかりつかまってね」
行きと同じように二人に肩をつかませて胸ポケットから取り出した水晶を鳥居の真下にゆっくりと突き出した。
一歩前に出ると「あ、」と言う間もなく3人はもといた国道2号線の下のお化けトンネルの中に戻っていた。
行きと同じようにトンネル内は蛍光灯がチカチカしている。
「どないやった摩耶はん?」
「先生、さぞかし驚いたんだナ?」
「いやー!君たちには感服した。まるでSF映画の主人公になった気分だ!しびれるよ!」
「やはり、あなたたちは本物だったのね!」
お化けトンネル内では秀と星が笑顔で出迎えた。
「さ、みんな揃ったしおなかが減ったからハンバーガー食べにウイングにでも行きましょうか」メグが誘った。
あまりの驚きで、あっけにとられた中居と摩耶をしたがえてメグは階段を登ってウイングのドアを開けた。
「こんにちはー!」
「カランコロン」とベルが鳴る。
「「あ、いらっしゃい!メグちゃん」」
双子がシンクロしながらお辞儀して挨拶する。
「まいど!アミはん」
「あ、私はマイよ。秀君」
「あ、すんまへん」
「あら、中居先生、久しぶりです。ご無沙汰してます」
双子が中居に挨拶をする。
「やあ、二人ともご両親の不幸にもめげずにがんばってるね。先生方の間でも評判だよ」
「え、マイはん中居先生知ってまんのか?」
「ええ、中居先生は4年前は私の担任だったのよ。ちなみに私はアミよ」
「あ、すんまへん」
「さあ、中居先生、摩耶ちゃん。お待ちかね、質問タイムよ。だいたいのことは私が答えられるけど難しいメカニズムとかシステムのことは秀と星に聞いてね。あ、マイさんウイング・バーガーとコーラセットを5人前ね」
「はーい、ありがとうございます!」
店長のマイが明るく答えた。
店内の時計は5:25を指している。
トンネルからの移送からわずか10分しか時間が経過していないことに中居は気づいた。
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