第15話 超自然科学研究部 2
「地球上にはイヤシロチとケガレチの2種類があるのはわかりました。先生、先ほどおっしゃったカタカムナ文献というのは今も残っているのですか?」
「残念ながら楢崎氏が必死に書き写した大学ノートしか残っていない」
「その平十字さんっていう人が言ってたカタカムナ神社にもないんですか?」
「カタカムナ神社は、私が考えるに今の保久良神社のことだ。そこにも残っていない」
「あんたがすぐにもって帰るからよ」
メグが秀を肘で突いた。
「しゃーないやんか、『見せるだけ』ちゅう上からの指令やったさかい」
「日本のほかの遺跡のように根拠や痕跡はほかにあるのですか?」
「いや全くと言っていいほど何もないんだ。あるのは保久良神社の周りに残っている巨石群だけなんだ。だから古代史学会では誰もが反論できずに、未だに眉唾案件の部類に入れられている」
「それとわからないのが、それだけの高度な文明があったのならなぜ急にいなくなったのですか?」
「一説によると今の天皇家の源である天孫族と戦って滅んだとされている」
「しかしこの付近にそんな古戦場の跡はありませんよ」
「さあ、そこがわかれば大きく前進するんだが・・・」
「先生ヒント教えましょうか?」
メグが微笑みながら立ち上がる。
「お、卯原さん。また仮説で補足してくれるのか!」
メグは再度ボードの前に立ちペンをとる。
「痕跡がない しかし 文明はあった」と書いた
「さあこの矛盾をどう解決しますか?」
「さてそれが問題だから、先ほども言ったとおり学会では反論できてない」
「文明の大元は実は別の場所にあり、金鳥山、保久良神社は単に港のようにその連絡口だったとしたらどう?」
「あいかわらず卯原さんの仮説は面白いな。そういう発想は非常に賛同するが『別の場所』とはちょっと想像できんな、それはどこだ?奈良か九州か?」
「チッチッチッ」
人差し指を左右に振ってにっこり笑うメグ。
「うさぎさんでんがな」
「毎日見てるんだナ」
「うさぎって、たしかさっきもウイングで言ってたわね。餅をついてるとも・・・」
摩耶が腕を組んで考える。
「月・・・か?まさか?」
搾り出すように中居は答えた。
「ピンポーン!中居先生、大正解!」
「ということは過去には月にカタカムナ人が住んでいて何らかの方法で、ここ六甲山に連絡口を作って当時の古代日本人と接触し、文明を授けた。と、こういうわけか」
「過去だけやのーて、今も住んでるんやけどな」
「そうなの、この辺りは港の役割りなんで、当然異文化(カタカムナ文化)のにおいは残るけど本物ではない。ここ港町神戸が西洋の雰囲気はあるけど本物の西洋でないのと同じ理由なの」
「ということは天孫族と戦いを起こして全滅した話はどうなの?」
「あはは、まさかあー!そもそもカタカムナ族は他人と争いをしない種族なの。まあもし仮に争ったとしてもレベルが違いすぎて、戦いにすらならずに瞬殺だったでしょうけどね」
クスっと笑うメグ。
「そうなんだナ。だいたい歴史書というものはあとの政府や統治者の都合のいいように書き換えられるんだナ」
「しかし本当に驚いたな、君たちには。大胆な仮説もさることながら、その言い切る姿勢がしびれるよまったく」
「でもね、先生。まったくカタカムナの痕跡がないわけでもないのよ」
「というと?」
「カタカムナ族は地名にそれとなくヒントを埋め込んでいたの」
「地名に?例えば?」
摩耶が身を乗り出す。
「摩耶ちやん、貴方の名前も含めてよ。ほい!秀、あんたの番よ。説明してあげて」
「よっしゃ」
と今度はメグからペンを借りて、ボードの前に立つ秀。
大きい字でいきなり「神戸」と書いた。
「え、神戸が?」摩耶が驚く
「神様へのドアっちゅう意味やろ?カタカムナを神と思っていた人からしたらこの地は神に通じるドアやったわけや、灯台下暗しやな」
説明すると秀は次に「芦屋」と書いた。
「あ、これはぼくも気づいていた。たしかカタカムナ族の最後の頭領の名前がアシア・トウアンだったはず」
「ご名答や、先生!さすがやな」
続いて「尼崎」と書いた
「カタカムナ族は原子のことを『アマ』と呼んでいたんだナ。世界の物質はすべて『原子(アマ)が先』という意味なんだな」
「こらワレ、星!ワイが説明しとんやで、じゃますんな!」
「ごめん、反省なんだナ」
「あと、明石はアカシックレコードね」
メグが補足する。
「えーっとここまでが市の名前やけど今度はその中の町名を説明するで」
と秀はボードに以下のようにすらすらと書いていく。
満地谷 昔は卍谷と書いた すなわちエネルギーがクロスする場所。
金鳥山 カタカムナ人が鳥の姿で光臨した場所。
本山町 そのまま地球の総本山
十文字山 重要なラインが交わる場所
住吉町 磁場が安定して一番住みやすかった町
渦森山 渦が巻くような現象が多く見られた山
摩耶山 マヤ文明と繋がっていた場所
「っとまあこんなとこやな。他にもあるけんどな」
「そのほかにも、あなたたちにとって意味のわからない地名が保久良神社のまわりに残っているわね」
と秀からペンを借りて書いていくメグ。
「ザフクゲ原、ヘソボ塚、ザクゲ原・・・」
「そういえば確かに日本語にない変な地名が今でも残っているな。気にはなっていたんだが・・・」
「でしよう?これらはカタカムナ語なの」
「なるほどなー」
感心する中居。
「渦森山って私の家があるところよ。小学校のときに先生もたしか同じような説明をしていたわ、大昔にここでは何度も渦が起こったって。聞いた時は意味がわからなかったわ」
「でしょ?あそこには住吉神社の奥の宮があってそこにカタカムナの移動装置があったの。それを起動するときに大気中に大きな渦が出るのよ。それを目撃した人が地名につけたのね」
「移動装置って?」
「日本各地の神社へ行ける装置!」
「ドラえもんのどこでもドアでんな」
「デスラーの瞬間物質移送機なんだナ」
「まさかー!本当なの?」
「パチパチパチ」
中居が手をたたく。
「いやー面白い!君たちは最高だな、まったくしびれるよ!そこまで大胆な仮説を立てれるとは!しかし一体どこでそんな知識を勉強したんだ?」
3人が目を合わせて考える
「あんたたち言うわよ全部。いい?」
「あんさんにまかせまっせ」
「同意なんだナ」
このあとメグの口から出た説明にさらに驚く中居であった。
「こらー!一年!声出せー!声ー!」グラウンドからはサッカー部の声が聞こえてきた。
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