韋孝寬②唐と宋の頃の史家が選んだ「古の名将たち七十四人」一挙公開!
先に
韋孝寛には「名将」の肩書きをつけてみました。
これは独断というわけではなく、
後世の評価に拠っています。
述べて作らず、接して漏らさず。
後世といっても、
唐や宋なのでたいがい古いです。
『
武成王って誰やねんという話ですが、
=
=
=
です。
釣りの最中に周の文王にスカウトされ、
武王と一緒に殷を滅ぼした人。
超絶荒唐無稽系伝奇小説
『
でもおなじみですよね。
唐の宮廷には太公望を祀る廟があったらしい。
その廟は唐の玄宗=
太公尚父廟と呼ばれていました。
軍勢が出発する時の儀礼や、
(=科挙に対して武官を登用するシステム)
の合格者が任官前にこの廟を拝したようです。
この時は、
配するとは、
廟でメインに祀られる神や人に加えて、
サブで祀られる神や人を言います。
だいたい、
皇帝の廟に功臣を配する例が多いですね。
なので、
当初は太公望がメインで、
張良だけがサブだった。
それから20年ほど後、
廟は中央に太公望の像が置かれ、
その左右に名将たちが配されたようです。
向かって右に並んだのが以下の五人。
左にも以下の五人が並んでいました。
おおむね小説の主人公クラスの有名人です。
諸葛亮の後が唐の李靖と李勣というのも唐突な気もしますけど、唐朝建国の功臣だから順当です。
知名度では、
田穰苴(別名、司馬穰苴、『司馬法』の著者)、
李靖(唐の太宗に仕えた超絶名将)、
李勣(本名は徐世勣、野盗上がりの超人)
の三人はマイナー寄りかなあ。
ホントは超有名ですが、日本だからネ。
さらに20年ほど後、
この廟に関わる詔が下されます。
詔史館考定可配享者,
列古今名將凡六十四人圖形焉。
史館に詔して配享すべき者を考定せしめ、
古今の名將凡そ六十四人の圖形を列せり。
史館に勤める史官が史書をひっくりかえして探し、
六十四名が追加されて先の十人と合わせて
七十四名になります。
激増。A●Bより多いやんけ。
この時に追加されたのが以下の方々。
ズラーッと並びます。
お好きな方にはたまりませんね。
これまた左右に分かれていたのですが、
時代別に並べなおしてみます。
時代の見出しに対して一段下げが十哲相当、
それ以外は二段下げにしています。
順番はなんとなくなんで、
あまり気にしないで下さい。
春秋戦国
秦末漢初
前漢
後漢
三国時代
西晋
東晋十六国
◆宣和五年の選定で登録抹消
南北朝
◆宣和五年の選定で登録抹消
◆宣和五年の選定で登録抹消
隋
唐
◆宣和五年の選定で登録抹消
三国時代までで考えると、
前漢の
後漢の
が一番マイナーですかね。
後漢初めは光武帝関連の小説もありますから、
昔ほどのマイナー感はなくなった気がします。
西晋以降は壊滅的です。
一部のマニアしか知らんぞ、これ。
『続三国志演義』を翻訳した都合上、
西晋までは馴染みがありますけど、
それも一般的な知名度ではないですし。
あたりは三国志の終わりの方に
チラッと出てきますけど、
そこまで読む人も少ないでしょうし。
ちなみに、
『続三国志演義』でも触れたのですけど、
杜預は日本の春秋学の方で慣例的に
「どよ」と読まれているだけで、
別に「とよ」でもいいと思います。
というか、それなら
「杜甫」が「どほ」になるだろうが!
誰だよ!!
それはさておき、
知名度では陸遜の子の
正史の本紀の人や『晋書』載記の人は
除外されていますね。
それぞれの人にコメントするだけでも
けっこうな量になってしまうので省略します。
しかし、
日本ではさて平安京に遷都しましょうかの頃、
すでにこれだけ歴史の蓄積があったと考えると、
「うーん」と唸ってしまいますね。
唸ったところで何も出ませんけど。
ついでに、
『
武成王廟の記述があるのですよ。
340年ほど後の宣和五年(1123)に
72人の名将が選ばれています。
そこで落とされた人には付記しておきました。
「◆宣和五年の選定で登録抹消」
と書かれている人たちがそれです。
劉宋の
北魏の
北齊の
唐の
の四人が落とされています。
この時、
唐代から
の二人が新たに追加されていますので、
宣和五年に選ばれた名将は74-4+2で72人です。
すでにお気づきかと思いますが、
韋孝寛は建中三年も宣和五年も入選しており、
少なくとも唐や宋の頃に名将を選ぶ際には、
常連だったと言えます。
なので、
肩書きを名将にしてみたわけですね。
その割りには知られていない。
そこで、
そんな韋孝寛の伝を読み、
詳しくなってみたいと思います。
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