ー巨ー
「いやだからこれをそっと踏み外すんだって」
「いやこっちだろ」
「早くしろよお前ら」
車の運転を練習し始めた集は叶に指摘されダンプに呆れられイライラがたまっていた。
「うっせーなお前ら!あっついた。」
「えついた!」
「取り敢えず適当にやってみろや。何かあったら俺がどうにかするし。」
集と叶は怖かったので集はハンドルをしっかり握り、叶はいつでも停止体勢に入れるようにブレーキに手を添えた。
車は発進し、始めてながら一直線の道であったからか順調だった。
公園を通りすぎようとした瞬間衝撃の光景が三人の目に映った…
「ちょっと…」
「何だよあれ!」
「おい…報告は受けてたがそんなにデけえもんかよ…」
公園の池に足を踝#踝__くるぶし__#まで浸かった巨大なブラックスーツを着た男の子がいた。
思わず叶はブレーキをかけたが、ほぼ目の前で停まってしまいご対面となってしまう。
「お、君たちいいとこに来たね。ぼく木葉#木葉__このは__#ちょっと遊ぼうよ。」
巨大な男の子は幼い男の子の声で話しかけてきた。
「いや…いきなりそんな…」
集とダンプは衝撃の光景を目の前に口を開けて固まってしまっている…。すると叶は声を震わせながら答える。
「ご、ごめんなさい!私達これから用事があるの!だからまた今度遊ぼうね…!」
「えーそうなの?じゃあさ、足を洗ってほしいの。いいでしょ?」
「そ…それもごめんなさい。ちょっと大きすぎて…どこか綺麗な水がある所でも見つけて洗ってきてくれない?」
木葉くんの頭まで辛うじて届くくらい声を張って叶は話をする。本音としては池が汚いからとかいう話ではない。デカ過ぎる。ゴジラかと思ってしまうくらいである。
「うっ・・・。」
木葉くんは鈍い声を出した…。子供のこの言葉は伝家の宝刀の…
「あ…」
「あ…」
「あ…」
三人は察しがついた。こいつ泣くぞと。
「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」
声量が耐えられないが、それより驚いたのは涙一滴の量だった。涙が落ちると池が噴水のように大きな男を立てて逆さに踊る。すると少年は大きな手のひらを目の前の道路に叩きつけた!
地面が一瞬大きく揺れた。揺れるというよりは破裂だった。
「うぉおおおおい待て待て待て待て待て!!!道路壊されたらマジで困るわ!!遊んでやるから落ち着け!!」
集は慌てて声を張り上げて木葉くんの願い事を承認した。すると木葉くんは泣き止んだ。しかしまだ頬から涙が垂れ落ち池の水面は踊っている。
「じゃあ…足は…?」
「洗う。洗うからマジで道路壊すのだけは勘弁な…」
既に道路は右側が一部潰れており一部一方通行になってしまっているがこの世界で車を使うのは私達だけなので心配はいらなかった。
「じゃ…じゃあ何して遊ぼうか…」
おどおどしながら要求に答える集。叶は目を少し大きく開き唖然とした表情で先を見据えている。ダンプは唖然とした表情で固まっていた。
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