0222一年続く悪夢

0222


 3週間前に締切は過ぎたのに、朝起きると「【火山】を編集しないと」と焦っていた。未練があるのかもしれない。あれは酷い作品だけど文体は間違っていなかったと今でも思う。大切と言うのも憚られるほど大切な人の文章に近づけた。完璧な文体模写ができた。あの人の感覚が自分の中に宿った。そういう感覚があった。


 ──たとえば《遡ってアダムとイヴ、宇宙。》など、自分でも二度と書けないような、そして他人にも真似できないような言い回しをしたじゃないか。それが成功じゃなくてなにが成功だと言うんだろう? 他人に評価されなくても自分だけは自分を評価してやりたいと思った。とても良く似た違う人がこの世界に生きているだけでそう強く思えた。


 ……そういえば「焦り続き現象」は前にも体験していて、大学を一年目で辞めたあとの春、朝「二年目の学費を払わなければ」とどぎまぎしたのを覚えている。一年ぐらい続いた。まるで悪夢にうなされるようだった。

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