それでもこの冷えた手が(旧)

作者 蜜柑桜

なにげない日常、だけれどなんともハーモニーを感じ、リズムが良く。

  • ★★★ Excellent!!!

一見、まったく関係ないけれど、人を楽しませる、という点でお菓子と音楽は似ているのかもしれません。かの有名な作曲家であるショパンはホットチョコレートをこよなく愛したそうです。この作品は、そんな逸話を想起させる、音楽×お菓子の物語です。

ピアニストの響子にとって、末端冷え性は大敵。けれど、ご近所さんでショコラティエの匠にとっては、末端冷え性は職業上最大の味方。そういう点ではちょっと違うけれど、お互い末端冷え性で、プロ意識が高く、感性がするどい二人組のとある冬の一日。

なにげない日常を切り取った描写をお好きな方にオススメです。

本当に、ショコラアートとか近仏音楽のような精緻さを感じます。
まるで見てきたかのように全てが細かく鮮やかな描写の上に、チョコと音楽という、二つの異質な旋律がからまり、高雅な味わいを出しています。
とくに、「響子の音階はまだ続いている。その単調な音の繰り返しに合わせて、匠は包丁を降ろしていった。音階の粒が揃うにつれて、チョコレートも匠の手先でどんどん細かくなっていく。」、ここから始まる、音楽に合わせてチョコレート菓子を作っていく様子が、なんともハーモニーを感じ、リズムが良く。

響子と匠のある日が緻密に鮮やかに描かれた、素敵な物語。

皆様も体感してみてはいかがでしょう。

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