第117話 その先へ
「どうやら、ここは迷宮と同義と言っていいかもな」
「そうね。確かにここは異質だわ」
青い光を求めて彷徨っている俺たちだが、流石に時間が経過しすぎたということで、この場所が普通ではないということがよくわかって来た。
どれだけ歩いても前に進んでいる感覚はない。あの光が決して近づくことはない。
ここまでくると、闇雲に歩いても仕方がないのでとりあえず休憩を挟むことにした。
「ふぅ……かなり歩いたわね」
「そうだな。しかし、どうしたものか」
とりあえず、二人でその場に座り込む。隣合わせで壁に寄り添うようにして、この場に止まる。
そして、フィーと今後の展望について話し合う。
「エル、どうしよ。ここまで来たら今更戻れないけど……」
「戻るのはもう無理だろうな。アリスを見つけるのを優先すべきだろう。しかし、王城の地下がこのような空間になっていたとはな、フィーは知らなかったのか?」
「知らないわよ。そもそも、王城にくることはあっても、地下になんて来ないし」
「だよな。さて、と。ここら先、どうやって進んでいくか……」
考える。
どうやら俺たちは、アリスを救出するつもりだったが、完全に迷い込んでしまったようだ。しかし、ここが迷宮と同義と仮定すれば何かギミックのようなものがあるはずだ。
といっても、まだ手掛かりは見つかっていない。
あるとすれば、あの青い光だろうか。
と、そのように考えていると俺は視線の先の光に対して違和感を覚える。
「フィー。あれ、近づいてないか?」
「え……そんなわけ……って、本当だ。なんかさっきよりも近いわね」
そう。俺たちは移動してないというのに、あの青い光が先ほどよりも近づいているのだ。
そうして二人で立ち上がると、そこに向かって歩みを進めてみる。確実に、歩けば歩くほどそれに近づいている。いったいこれはどういうことだろうか。
もしかして、時間的な周期でも存在しているのだろうか。
理屈はまだ不明だが、そのまま進んでいくとある一定の距離から光が近づかなくなって来た。
「近いけど、これ以上はだめみたいね」
「そうだな。もしかすると、時間的な周期があるのかもしれない」
「つまり……ある一定の時間で、近づける時間帯があるってこと?」
「仮説だがな。これはもしかすると、時間との戦いになるかもしれない」
「うげ……ずっとここにいるの?」
「迷宮で慣れているだろう」
「慣れてるけど、やっぱ暗いとこは苦手なのよ……」
ギュッと袖を握ってくるが、今は何も言わないでおいた。フィーは確かに暗いところが苦手で、今も無理をしてついて来てくれているからな。
俺たちはその後、再び休憩を取るのだった。
◇
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