第102話 Alice in wonderland 16:頑張る王女!
「……」
「どうしたのですか、アリス様?」
私は机に頭をついて、じっとしていた。
今日の出来事があってからすぐに自室へと戻ってきた。
自分の行動は完璧だと。
計画の段階でそう思っていた。でもいざそれを実行してみると、恥ずかしさでどうにかなりそうだった。今までは何となくしていたことだけど、改めて意識してやるとなると……なかなかに大変だった。
既成事実を作る……と言っても、私がこんな調子じゃあどうしようもないだろう。
「サリアぁ……」
「どうしたのですか?」
メイドのサリアに縋るような視線を向けて私は助けを求めた。
「その実行してみたんだけど……」
「いかがでしたか?」
「う……失敗だったわ……」
「原因は分かっているのですか?」
「それはその……」
俯く。
恥ずかしくて言葉にするのは躊躇われるが、私は何とか口にした。
「は、恥ずかしかったから……」
「え?」
「だから恥ずかしかったから!」
「その……計画の段階では、割と意気揚々でしたが?」
「いざ実行するとその……どうしても……」
「日頃は背伸びして大人っぽい言動をしていますが……やはり、そうでしたか……」
「だ、だって! そうよ! 女性から、しかも王女から迫るってその……はしたないでしょ!」
「その発言は計画を練る前に言っていれば信憑性がありましたね。今となっては、ただの言い訳でしかないかと」
「う……」
そう言葉に詰めると、サリアが入れてくれた紅茶を机に置いてくれる。私はその匂いに引かれるようにして、テーブルの椅子に腰掛ける。
そして紅茶はいったカップを持ち上げるといつものようにそれを喉に流し込む。やはりサリアの入れてくれた紅茶はとても美味しい。
心が自然と落ちついていく。
「それで次はいかがしますか?」
「ど、どしたら良いと思う……?」
「そうですね。直接的な行動が難しいのでしたら、次はもう少し婉曲的に攻めてみてはいかがでしょう」
「具体的には?」
「さりげなく女を意識させる、とかでしょうか」
「さりげなくか……でもそれって難しくない?」
「はい。難易度はかなりのものです」
「だよね……どうしよ〜」
ぐで〜と体を机に載せるようにして、私は思案する。
ううん……どうすれば、どうすれば良いのか……。
そんな風に考えていると、ある考えが頭に浮かぶ。
「そうだ! これはどう……?」
と、サリアに思いついたことをサラッと話してみる。
「なるほど。それは良いかもしれません」
「でしょう! そんなに恥ずかしくもないし。というよりも、恥ずかしい要素なんてないし!」
「そうですね。しかし、下着などは常に気を使っていた方がいいかと」
「え? どうして」
サリアは私の耳元でコソッと呟くとその意味を理解して、顔が真っ赤になってしまう。
「な……なな!」
「大事なことですよ? 初めてが上下違うなんて失態は晒したくはないでしょう?」
「それは! そうだけど!」
ということで私は次の作戦を実行するのだった。
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