第一話


まだまだ非日常は終わらない


 日差しの暑い夏の日。この部屋には日差しははいってこないのにそれでも異常なほど熱かった。夏というのは本当に熱くって秋比奈世夜には地獄のように思えた。

「アチィ……。たっく。本当に夏って言う奴はあり得ねぇな。こんな時に出て行く奴の気がしれねぇぜ。それより今日は何しようか。アニメでも見ようかなーー」

 面白い物を探すかのように世夜の目線はパソコンに向かう。彼はパソコンが一日でもなくなれば死んでしまうと思えるほどのパソコン中毒者だった。それで何かをするわけではないのだがただ単純な暇つぶしのためだけにパソコンは必須道具だった。そんな世夜がのんびりと今日はどんな暇つぶしにしようかと見ている横でひょいと手が伸びてきた。

「何言っているんですか。今日はここ。妖怪の気配がする」

 勝手なことを言いながら伸ばされた手は画面に触れるとどこからともなくあるサイトを開いてそこにあるURLを一つ開いてた。

「何勝手なこといってんだよ、この野郎!」

 世夜が抗議するそこにはの人。名前は知らない。知っているのは彼がある場所属に○ちゃんねると言われた場所からきた妖怪であると言うことと、めんどくさくも世夜に手助けを求めにきていると言うことだけだった。妖怪何て冗談みたいなと思うかもしれないが本当のことだった。つい昨日世夜はその目で妖怪がでてくるのを見て、その体と言うか精神でパソコンの中の電脳世界にまで言ってきたところだった。流石にそのあとあまりにもな出来事に疲れてパソコンをする前に寝てしまっていた。引きニートは突然の出来事に弱く、刺激されるとすぐに疲れてしまうものなのだ。

 そして朝起きて昨日のことなどすっかりなかったことにしてしまおうと何かを無視してパソコンに向かった世夜なのだが、気付けば思いきり話してしまっていた。

「まあまあ、いいじゃないですか。それより画面を見て」

 所々口調が変わる何かに言われて渋々画面を見ようと動く。本当は無視したいのだが、ここでそんな行動に出ると何かに個人情報を流出されないとも限らないのでしかたなくだ。昨日それで脅されたばかりの世夜としては油断ならなかった。恐ろしいのは何かがタッチ機能付きではないはずの世夜のパソコンをマウスなしに画面にタッチすることだけで操れることだろう。

 嫌々画面に映っている者を見る。それは○ちゃんねるからきた妖怪らしく、○ちゃんねるのスレだった。タイトルを見た瞬間、世夜はあまりにも馬鹿らしくどうでも良くなった。

「なんだこりゃ……」

 意味が分からないと言うように声がでる。

 タイトルはこうだった


【野菜嫌い】野菜があっても、お肉を食べればいいじゃない【集まれ】


 

 そんなどうでもいいようなタイトルだった。そのスレが開かれていって今現在も書き込みをされている状態だった。

「さあ、さっさと見ていきますよ。逃げたら個人情報を何処かのヤクザのパソコンに流し込みますからね」

「頼むから止めろ! 見るから」

 見た振りでいいかと思っていた世夜は脅されて渋々と読み始めたのだった。





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