第四百三十四話 バレンタイン その三 ♡


「それはそれとして! 淀子、私も仲間に入れて……」

「何よ急に……」

「私あと何年かで三十なのよ……」

「それで?」

「でも出会いがなくて……」

 

 そりゃあんな研究所に籠ってたらね……。

 

「だから閃いたの。婚期を逃しそうなら、そもそも婚期という概念が無くなれば良い……」

 

 ダメね……リア充殲滅通り越して全人類抹殺しそう……。

 

「カツアゲしまくって人殺しそうなアンタに言われても説得力ないわね……」

「最近は自分から挑む馬鹿も多いわよ」

「んな馬鹿な!」

 

 でもそういう奴に限ってすぐやられるけど。

 

「だよね……」

「当たり前」

 

※※※

 

「じゃあ明日作戦を

「ちょっと待った!」

 

 もう良いわよしつこいわね!

 

「俺も仲間に

「だからしつこい!」

 

※※※

 

「なんで俺はダメなんだよ……」

「汚いものを見せそうだからよ」

 

 推し以外の濡れ場なんて見てて気持ち悪いだけよ。

 

「じゃあ淀子、お前が俺を抱け」

 

 金玉蹴られたいの?

 

「俺がリア充討伐に参加しちゃダメかい?」

「元とは言えリア充だった者の参加は認めないわ」

「全員に焼肉奢るわ」

 

 こんな食べ物で釣るなんて方法に引っかかる馬鹿がどこにいるのよ。

 

「行くわ」

 

 私よ。

 何か文句ある?

 

「じゃあいーれーて」

「いーいーよ」

 

 幼稚園児なの?

 

※※※

 

「じゃあ今度こそ……」

 

 もう誰も来ないわよね?

 

「淀子さんが言うとフラグにならないのが不思議ですわ」

「私はクラッシャーだから当たり前よ」

 

 今回二回外したけど。

 

「ダサ」

 

 金玉蹴られたいのかな?

 

「ひ……ひいッ!」

「明日のバレンタイン、協力して壊すわよ!」

 

「「「「おー!!」」」」

 

 リア充見てる?

 これが非リアの……私達の団結力よ。

 

「取り敢えずすぐに止めなきゃいけなそうなのは分かる」

 

 何言ってんの?

 

「?」

「アンタももうメンバーよ遠藤」

「はい?」

「ここにいるのはメンバーだけっていう認識なんだけど」

「は!?」

 

 さっきからテンション低いわね遠藤。

 

「いや知らないよ!」

「というわけでさ、前夜際の料理作って!」

「ゑ? 唐突過ぎて準備なんて

「口答えしないでやるの! リーダー命令よ!」

「は……はーい……」

「今日は沢山食べて明日の活力にするわよ! 勿論食材代は美咲の奢り!」

「へ?」

「よーし食うぞ食うぞ」

「食べましょう!」

「アラサーを舐めない事ね」

 

「ちょっ……ちょっと待ってくださいですのおおおおおおおおおおおッ!!」

 

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