第四百十五話 アホ共のテレビショッピング


 休日。

 一人だけ家に残った私、浅井初は……。

 

「……」

 

 何もしていなかった。

 

「やったぜ」

 

 何もしなくて良い休み。

 嗚呼素晴らしい。これほど美しい言葉があるだろうか。

 

「先輩とデートしたいしバイトもしたいけどな」

 

 訂正。それより美しい言葉もまた存在した。

 

※※※

 

「テレビ見るか……」

 

 もうワン〇ースもプリ〇ュアも終わってる時間帯だからな……。

 

「……?」

 

 BD? 誰だよディスク入れっぱなしにした奴。

 

「母さんか……?」

 

 まあ母さんならドラマとかだろう。

 良いや。今日はドラマ見て過ごすか……。

 

『アンタに幸福を届けるわ♪ ハイ! テレフォンショッピングアザイ!』

 

 は……?

 なんか変な番組始まったぞ……。

 

『こんにちは、今日のテレビショッピングの司会を務める淀子よ』

 

 ……。

 

『そして助手の美咲ですわ。……ホントはこのクソアマに使われてます』

『あ?』

『何でもありませんわ!』

 

 美咲……また使われてんな。

 

『というわけで最初の商品はこちら!』

 

 画面に棍棒が表示される。

 

『棍棒「リア充殺し」!』

「……」

 

『淀子さん、こちらはどのようにして使うんですか?』

『これがあれば、リア充相手に嫌がらせが出来るのよ』

『例えば?』

『例えばそこの貴方、カップルのアーン♡なシーンを覗いて、それをオカズにしたいと思った事はありませんか?』

『ないですわ』

『……は?』

『ありますわ!』

『そう! 例えばこんな邪魔臭くイカ臭い扉がありますよね?』

『はい』

 

 うまくねえんだよ。

 

『こんな扉もこの棍棒を使えば、オラアッ!』

『おー!』

『きゃああああああああああああッ!』

『なんだお前たち!』

 

 ゑ? マジでやったのこれ。

 

『因みにこれだけではありません』

『そうなんですのね』

『なんとこの棍棒を使えば、撲殺する事も可能です』

 

 放送コード的にアカンからやるなよ?

 

『撲殺したカップルは司会が美味しくいただきますわ』

 

 やるなよ?

 

『さてこの棍棒「リア充殺し」。お値段は何と百円になります』

 

 安いな。

 

『ちょっと待って欲しいですの』

『なんでしょう?』

『この番組を見てるのはどこぞの貧乳だけの筈ですわよね?』

『うん』

『リア充にこれは必要ないのでは?』

『安心してください。こちらはリア充にもお得な特典がついてます!』

『それは何ですの?』

『なんと! この番組終了後三十分以内にお電話されたリア充既婚者の方は、私が直々にこれで殺しにいくわ!』

『おおおおおおおおおおおおッ!』

 

 ……。

 

「もしもしテレフォンショッピングアザイですか?」

『何よ初』

「とっとと捕まってくれ」

『断るわ。てか電話したわね? 殺しに行くわ』

 

 この後散々殴られた。

 

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