第三百九十六話 藍田の苦悩 その五
という事で。
「もしもし恋」
よく考えたら字面だとこいなのかれんなのか分からねえな。
一応れんと呼んだぞ。
『私の名前はそんな確認作業しないと分からないくらいなのか?』
「まあ良いじゃん。私も『初』一文字だからそういう現象起きそうだし」
『まあ良いよ。何の用?』
「実はだな」
かくかくしかじか。
『お安い御用よ』
「ちょっとあいつに現実を見せようかと思ってさ」
『一日で作るから待ってて』
流石天才。
※※※
数日後。学校にて。
「という事で藍田。お前は今日から私達の先生だ」
「訳が分からないぞ」
「取り敢えず担任を拉致して、お前の職場には替え玉のロボット送っといて、スタ子は私の仲間内以外を洗脳してもらったから」
「お……おう」
流石天才科学者の恋だな。ジェ〇ンニかっつーの。
「まあだから、ちょっとここで数日間教師として生きてみな? 洗脳があるし替え玉も藍田そっくりに作った完璧なものだから行動に制限はない。流石に〇イプしたら捕まるけどな」
「ホントに良いのか?」
「ああ。彼女作り頑張れ」
「おうよ!」
……そうやって笑っていろ。
この後の教師生活で……お前は必ず地獄を見る。
「ウゥフフ……ウフフ……フゥ……ウフフフフ! フゥ! ウフフフハハハハハッ! ハハハハハハハハハハハハッ!! フゥ……ハハハハ……」
「初……もしかしてアンタ……」
「そうだ姉さん……私がキラだ……ってやらせんな」
「今殴ったわね?」
「今のは軽いノリで」
「倍返しね」
「ぐあっ!」
馬鹿野郎―っ!! 淀子、誰を殴ってる!? ふざけるなーっ!!
「呼び捨てにすんなコラ! こいつは殺さないとダメね!」
調子に乗りましたすみません。
※※※
「いたたた……」
「初ちゃん大丈夫?」
「いつもの事だ。気にすんな」
「気にするよ」
「……そう言えば新しい担任が来るらしいな」
「あーごまかしたー」
和泉……この会話は皆飽きてきている事を察してくれ。
「酷い……」
「おい泣くなよ……」
ガラン!
「来たか……」
「あーえっと……今日から保健の教師兼君達の担任の代理としてここで働く事になった……藍田白世です。よろしくお願いします」
私からも揺さぶりをかけるか。
「おい先公、前の担任どったの?」
「急病で入院しています」
「へー。見舞い行っても良いか?」
「お前どうせサボる気だろ」
こいつ初めての癖に上手いな。
だが他の奴はどうだろうな。
「先生童貞ですか?」
「俺? ……違うよ」
「ホントは?」
「……童貞」
「いくつですか?」
「二十三」
ごにょごにょ。
「ゑ? あの人ヤバくない?」
「二十三で童貞とかどんな生活してたの?」
「ホント。目つきが悪い貧乳と同じくらいね。イケメンなのに」
おい後で殺すぞ。
「初、あとでこいつら殴って良いか?」
「私も我慢してんだから我慢しろ」
そしたら確実にアウトだな。
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