第三百六十話 先輩とのデート その十 ♡


「さあ淀ちゃん。もう無駄話の時間はおしまいよ」

「ふっ……ママがいれば安心だ……」

 

 流石に私と母さんがガチで戦ったら足止めされるのは確定ね。

 

「……なら」

 

 パチン!

 私は指を鳴らす。そのまま魔法陣のような所から、一人の少女が現れる。

 

「……?」

「あ……しまった」

 

 なんで優香全裸……?

 

「今遊んでた所なのに……。……淀っち?」

「……優香。取り敢えず服カツアゲしてくるから見えちゃいけない所だけでも隠して待ってて」

 

※※※

 

 カツアゲして得た金で服を買い……。

 

「そーゆーことね」

「ええ」

「それよりあの男の子からお金貰うの忘れちゃった系なんだけどどうするよ!?」

 

 知らないわよ!

 

「取り敢えず病気はランダムで貰えるだろうから貰えば」

「ウチはちゃんと病気持ってないかどうか聞くからぶっちゃけそれはない系」

 

 いやこいつそんなん信じるの……?

 

「というか……ウチ来ても勝てない系じゃね?」

「いや良いのよ。まだ和泉と心夜がいる。別に足止めされた所で和泉が発電機操作して京極に電気降らせれば勝ちよ」

 

 ズドン! ズドン!

 

『ぎゃああああああああああああッ!』

『しびれりゅ……』

 

「ホントにあの二人に任せて良い系……?」

「良いのよ」

 

 というか本当にメンバー選定ミスったわね……私とした事が。

 

「いや淀っち頭悪いから分かってた系」

「うるさいわね。最近作者に気付かれない限り出番無くなりつつあるんだから、ここで頑張るのよ」

 

 取り敢えず木槍を渡す。

 

「あれ? 弓は?」

「アンタ下手くそだからリーチも命中率も関係ないブンブン振り回せば勝てる奴にしたわ」

「言う事が辛辣過ぎじゃね?」

 

 事実を言ったまでよ。

 

「それくらいで良いかしら? 私早く淀ちゃんを殺したくてウズウズしてるのよ。ラッキーで淀ちゃん殺して、何なら初ちゃんも殺して、江代ちゃんと二人で暮らすのよ」

「ママ……」

「なーに江代ちゃん」

「初お姉ちゃんだけはやめて? 可愛そう」

「そうね~良い子良い子」

「えへへ……」

「というわけで淀ちゃんは殺すわ」

 

 見てて腹立つのよその茶番。

 

「取り敢えずウチはどうすれば良いのよ」

「アンタは江代を倒しなさい。私は母さんを倒す」

「お……それならワンチャンいける系!」

 

 実のところ微妙なのよね。

 どっちが強いかの設定曖昧だし。

 

「ふっ、ワンチャンで倒れたりはせんよ。吾は全力を尽くし、貴様らを止める。倒せなくとも、それで十分だ」

 

 取り敢えず倒される事がなく確実にある程度泥試合が出来る面子で固めたから……まあいけるわよね。

 

「江代ちゃんの為なら……ママは死ぬ覚悟よ……」

「あたしからも……お願いして良い?」

「江代ちゃん?」

「この後も……あたしはずーっとママと暮らしたいの。だから……死んじゃダメ」

「江代ちゃん……」

 

 ひしっと抱きしめる母さん。

 ……ん?

 

「あれ……そんなウソよね」

 

 ちょっと待ってこれ……ああ……ダメ……。

 

「な、なんか上ってきた……うっ……ううっ……」

 

 もうダメでちゃう。

 

「うおええええええええええええええええッ!」

「淀っち! これで吐かないでくれ系!」

 

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