第三百三十九話 学校見学会(モブ視点) その二


「大丈夫? 奈々子……」

「身体中が痛い……」

 

 死ぬかと思った……。

 

「貧弱ねえ。ここの生徒の一人なんかナイフ刺さっても死なない奴いるのに」

 

 どんな奴よ!

 

「気になるか?」

「気になるけど良いです」

 

 出来れば一生関わりたくないです。

 

「因みにそいつ他校生からカツアゲしてる事で有名だぞ」

「……」

 

 あれ、どっかであたし聞いた事あるよ……。

 確か兄さんが言ってたわね。茶髪赤眼の美少女には気を付けろ……とかなんとか。

 

「~♪」

 

 ほくほく顔で封筒持ってたあいつじゃないわよね?

 

「あいつよ」

 

 言わなくて良いよ!

 怖いよ!

 

「真実から眼を背けるな」

 

 使い方違うわよ!

 

「今昼休みだし話しかけてみたらどうだ?」

「嫌です!」

「……?」

 

 あ……見られた。

 

※※※

 

「なんか面白そうな事やってるわね」

「お前も付いてくるのか? 単位とか大丈夫か?」

「大丈夫よ問題ないわ」

 

 問題しかないでしょ!

 

「へーアンタが今回のツッコミ要員? うちの『万年発情期処女の極み(レズ)ゴッド』よりもやりやすそうで良いわね」

 

 しかも何? この学校の人達。

 あたしの頭の中覗いたり、ツッコミ要員だとか言ったり……。常人ではないにしろ発想や行動が異次元過ぎてついていけない……。

 

「でも奈々子、先輩超美人だよね……」

「先輩!?」

 

 友人の目が♡になってるのが見える……。怖いと思うのはあたしだけ?

 

「何怖がってんのよアンタ」

「ひいっ!」

「私みたいな美少女を前にして怖がるなんて失礼ねえ……あ、でもアンタなら私の妹より可愛いかもね」

 

 こいつの妹どんな顔してるのよ。

 

「そうねえ」

 

 また心を読んだ!

 

「私達の中で唯一一重瞼で~、貧乳で背が低くて、目つきが悪いわね」

 

 相当ブスじゃんそいつ!

 

「なんか聞いててその子が可哀想になりました」

「そなの!? 私は全然そうは思わないけど」

「え?」

 

 心が綺麗だからそれでいい……とかかな?

 

「ざまあ! と思ってるわ」

「ひどっ!」

 

 こいつとんでもないクソアマだった……。

 

「奈々子! 淀子先輩にそんな事言っちゃダメだよ!」

「だからなんであいつを見た瞬間鞍替えしたの!? しかもアンタまで心読んでどうすんのよ!」

「ダメ元で真似してみたら何か出来た!」

 

 やめて私の心の中見ないでぇ……。

 

「無駄よ。この世界は視点になった人物の思考が周りに筒抜けだから」

「……」

 

 死にたくなった……。

 黒歴史とか覗いたら絶対そいつ殴るから……。

 

「あ、気になる~覗こうかな」

「殴っても良い!?」

 

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