第三百十九話 気持ち悪い変化 Ver江代


「……朝だよ、初お姉ちゃん!」

 

 あれ、私いつの間にギャルゲなんてやり始めたんだ?

 しかもなんで点けっぱなしで寝てたんだ?

 

「ほらほら、休みだからって遅くまで寝てちゃダメだよ」

 

 しかもリアルな感触まであるみたいだ。

 

「うーん……」

 

 いや……リアルな感触ではなく。

 リアルの出来事だった。

 耳に入る音声はギャルゲのものではなく……リアルな妹のものだった。

 

「おはよ、初お姉ちゃん♪」

 

 誰だテメエ。

 

※※※

 

 リビングにて。

 

「お姉ちゃん、何食べる?」

「そうだなあ、江代の手の煮込み?」

「もぉ~お姉ちゃん! そういう冗談嫌いだよ!」

 

 お前こそどういう冗談だよ!

 

「なあ、お前は何者?」

「ん~? どういう事~?」

「良いか? お前は甘え上手で可愛い妹なんかじゃねえ。私の不幸が蜜のように大好きな闇の騎士なんだ」

「闇の騎士……? なんの事~?」

 

 こいつ完全に自分のキャラ忘れてやがる!

 

「えっと……江代さん?」

「なーに?」

「隠してる事があるなら言え? 姉さんとかお袋たちには言わないでおくから」

「……ふっ、それに気付くとはな」

 

 おかえれ。

 

「今貴様帰れとか言わなかった?」

「うん。いつものキャラじゃないと落ち着かないけど、あっちのキャラの方が私は楽だから」

 

 結論。どっちも落ち着かねえ。

 

「めんどくさい奴よのう……」

「お前がそれ言うか?」

 

※※※

 

「それで、何があったんだ? 言っとくけど、一章みたいにゲーム欲しくても買わねえからな?」

「分かっておる。吾が頼みたいのは……その……」

 

 ごくり。

 

「吾と彼氏が上手くいくように手伝って欲しいのだ!」

「……」

「どうした?」

「ごめん。タイトル的に一章と同じように彼氏が出来るようにしてくれとか頼まれるかと思ってた」

「な、なるほど」

「でもお前は言ったな? 吾と彼氏が上手くいくように」

「そうだ」

「気になるのはそこなんだよ。つまりお前は……」

 

 ……。

 

「私より馬鹿な癖に彼氏作りやがった裏切り者だァァァァァァァッ!」

 

 ボコッ!

 

「お姉ちゃん痛いよぉぉぉぉぉぉ!」

 

 素に戻って可愛こぶっても許さ

 

「初ちゃん? 江代ちゃんに何してるのかしら?」

「あ……」

 

 あああああああああああああああッ!

 

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