第二百八十四話 修学旅行 その十三
次に向かったのは、メイン展示である黒潮の海。
「初ちゃん凄いね~!」
「お、おう」
反応は微妙に見えるだろうが、私は少し興奮している。
水族館も初めて、そしてジンベエザメを見たのも初めてだからだ。
「うちの奴ら、海の生き物に興味ない奴多いからこういうのマジで初めて」
「私は何度か水族館には行ってるけど……でも初ちゃんと一緒だと何倍も楽しいよ♪」
「そっか」
アレ……やっぱりこれおかしいな。
普通に恋人同士の会話っぽい。
「え……あの二人付き合ってるの?」
「二人でニヤニヤしてるな」
モブが何か言ってるな……。
何でそんな事に……。
「ふっ、あれが吾の姉とその彼女だ」
「江代令嬢ホントですか?」
テメエが吹き込んでたのか江代!
「水族館に来てる百合カップルだぞ! これは写真に収めなくては!」
しかも何処からともなく百合好きオタクが現れた!
「馬鹿撮るな!」
畜生足が動けば絶対倒すのに……。
「江代の馬鹿!」
「ふっ、最近は貴様に悪戯をする機会が無かったのでな。今回やらせてもらった」
「滋賀帰ってからで良いだろ!」
嫌だけど!
「和泉走れ! 江代を撃つ!」
「ジンベエザメ凄いね……」
「和泉人の話聞いてェ!?」
このままじゃ逃げられるッ!
「やん♡ 初ちゃん動き激しい♡」
言ってる場合か!
「早く! 追いかけてくれ!」
「お~初っち何か楽しそうな事してんじゃん!」
優香テメエは出てくんな!
「つれないな~! 何してんの?」
「今江代を追いかけてんの! 頼むからどっか行け!」
「へ~! 了解!」
ゑ?
「ぎゃああああああああああッ! ママァァァァァァッ!」
優香に捕まったか……江代。
※※※
「うぇーん……」
「反省したか?」
「ママに言ってやりたい……」
反省してないな。
「てか江代っちウチよりおっぱいデカくね?」
「貴様、吾を貴様のビッチ道に誘うつもりか!」
「えーどうしてバレちゃった系かな? 江代っち頭良い~!」
江代……別に逃げて良いぞ。
「初っちも好きな奴誘惑したいなら胸大きくならないとダメ系だぜ」
「余計なお世話だ!」
デカくなりてえよ! ならねえんだよ!
「牛乳なら毎日飲んでるのに……」
「初っち、こうなったら誰かを抱いて女性ホルモンを……」
「その台詞でBANされたら責任取れよ!」
※※※
はあ……。
「終わった……」
「明日で帰れる……」
もう動きたくありません。
「あれ初ちゃん、大丈夫?」
「んなわけねえだろ」
「ふっ、また行きたいな。修学旅行」
修学旅行には行きたくねえ!
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