第二百六十三話 体育祭 その六


 ……?

 

「あれ? マラソンは?」

「初ちゃん!」

 

 急に抱きしめられる私。

 

「そうか……私」

 

 寝起きのような感覚がする……私はどうやら死んだらしい。

 

「いや蘇生が寝起きと感覚が同じって……どうよ」

「私に聞かれても……」

 

 それはさておき。

 

「それでマラソンは?」

「私と初ちゃんと江代ちゃん、スタ子ちゃんは追走だって」

 

 ゑ? マスク着けた後に何あったの?

 

「秘密にしたい……かな」

 

 何故赤くなる……?

 

※※※

 

 倦怠感を身体に乗せながら、次に私が参加する競技は……。

 

「次の競技は二年生選抜十五人による『パンツ喰い競争』です!!」

 

 はい。今度はこれです。

 さっきよりはマシかもだけど、全年齢対象ではマズいヤーツ。

 そしてー。

 

「浅井、行くわよ」

「貧乳!!」

 

 私は立候補してないが、顔がビッチぽいという理由で選ばれてしまっている。

 

「初ちゃん頑張って~!!」

 

 やだ!!

 

※※※

 

 パンツ喰い競争。

名の通り『パン』ではなく『パンツ』を喰らう競技なのだが、これはどちらかというと最初から借り物が決まっている借り物競争に近い。

ようはパンツを盗みつつ咥えてゴールすれば良い競技だ。

この競技は終わった後、大体盗んだ相手とのアレやコレがある為……。


「やるしかないっしょ!!」

 

 優香みたいなクソビッチが多く出場する。

 

「浅井感謝しなよ? アンタみたいなのはこういうのじゃなきゃ処女卒業無理なんだから上手くやりなさい?」

 

 うるせえクソモブ。病気でくたばれ。

 

「なんかブス貧乳が何か言ってるー!!」

「きもーい。処女のくせにー!!」

 

 あとであいつらのアンスタにアンチ書き込みしまくろ。

 

「初っち……その仕返しは小学生だと思う系……」

「こっちは七章も奴らの暴言に耐えてきてすでに限界なんだよ」

 

 なろう版含めると三年くらい。もういい加減ブチ切れて事件起こしても良いですかね?

 

「初っちアレか。一年に一回大事件とか起こすタイプ?」

「その通りだけど?」

「否定しない系?」

「しねえ系」

 

 そろそろエクスプロージョンしちゃうぜ? 今は美咲というストレス発散玩具があるけど。

 

「私を何だと思ってるんですの!?」

 

 お、蘇ったか。

 

「おじゃないですわよ! 私を何だと

「デブ眼鏡爆弾サンドバッグ」

「『レズゴッド』にそれを言われましたわ」

 

 久しぶりに言ったなおい……あとで覚えてろ。

 

「それ伏線になりませんわよね?」

「さあどうかな」

「不安ですわ……」

 

 お前に相応しい最期をくれてやる。

 

「また殺す気ですわ!!」

「良いじゃねえか! てか私もさっき一度なんか知らねえけど死んだんだぞ!」

「ぐぬぬ……」

 

 不老不死の正しい使い方だ。

 

「てかお前な。お前みたいな噛ませ犬とちゃんと相手してやるくらい感謝しろ?」

「どこが対等ですの!? 前みたいにめんどくさい目で見られてる方がまだマシでしたわ!」

 

 あれこいつそういう目で見られると興奮するのか?

 

「違いますわ!」

 

 あ……噛ませが何か言ってる間に始まった。

 

「聞きなさいですの!」

 

 相変わらずひでえ絵ずらだ。

 

「ワンワン!!」

「ぎゃあああああ!! 狂犬が!!」

「パンツ!! あと棒寄越せ!!」

 

 性欲魔獣の最終形態があちこちいやがる。

 

「俺のパンツ返せ!!」

 

 てかおい!! 下半身丸出しで走り回るな!!

 映像化した時に編集がめんどくなるだろうが!!

 

「男子にとってはオカズになりそうな気もするけどね」

「は?」

「だって女が自分の下着を美味しそうに咥えながら走ってるのよ。これ以上のオカズある?」

 

 いや分かんねえよ姉さん。

 

「そう。じゃあ京極先輩の下着で妄想してみ?」

 

 先輩の下着……。

 

※※※(これは妄想です)

 

「あはぁ……クンカクンカスース―!!」

「浅井さんッ!! 僕の下着で、そんなに……」

「良いですよ先輩。私のこんな姿でいっば

 

「て!! ギリギリ過ぎるシーンやめなさいよ!!」

「しまった……」

 

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