第二百三十六話 文化祭 その八


「……」

 

 予想以上に酷かった。

 

「さっきの子……大丈夫かな」

 

 こんな馬鹿女子高の生徒を心配する先輩がイケメン過ぎて辛い。

 

「消防車沢山来たね」

「そだな」

 

 取り敢えず私は奴がどうなろうが、興味ないね。

 

「ふっ、クラ〇ドのつもりか?」

「お前いたのか」

 

 小道具のナイフ刺さりっぱなしの江代が来た。

 

「お、浅井さんの妹さんだね。こんにちは」

「ふっ、頭が高いぞ」

「え?」

 

 轢き殺してやろうか?

 

「どうもすみませんッ!」

「いや良いよ。大丈夫」

「すまんな京極とやら。この愚かで貧乳な姉が、貴様を好いていて」

「え?」

「アアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

※※※

 

 取り敢えず江代を連行してトイレへ。

 

「貴様……そんなに取り乱してどうし

「どうしたじゃねえよ……お前自分が何言ったか分かってんのか?」

「貴様はあやつが好きなのだろう? あれで好意に気付いてもらおうとしたのだが」

「馬鹿かテメエは! そんな事したらバレちまうだろうが!」

「貴様は付き合いたいのかそうでないのかハッキリしたらどうなのだ……?」

 

 なんで私視点の時に江代にツッコまれなきゃいけないわけ……?

 

「吾は隠し事を好かぬ。好きなら好きとハッキリ言って欲しい。吾は遠慮なく愛情を注いでやる」

「先輩がそうなのか分かんねえだろうが」

「貴様こそ京極がどういう奴に見えているんだ……?」

 

 だから! なんでお前がツッコんでんだよ!?

 

「貴様がいつまで経っても処女特有の態度で言い訳をしているからだ」

「お前と違って考えてるんだこっちは」

「という言い訳で問題を先延ばしにしているのだろう?」

「……」

 

 ダメだ……何も言い返せねえ。

 

「月並みな事を言わせてくれ。貧乳の銃士」

「……」

「この文化祭で、貴様は京極に告白すると良い」

「江代……」

 

 いや待て。

 

「邪魔とかしないよな?」

「するが? 赤の姫と共に」

 

 あ?

 

※※※

 

「ちょっと待てい! それじゃ無理に決まってんじゃん!」

「吊り橋効果という言葉を知らんのか? 吾らが吊り橋になろう」

「ス〇ミーかテメエは。むしろお前らが吊り橋壊しに来てるんだ察しろ!」

「はぁ……仕方ないのう」

 

 仕方ないのはお前らの頭だ。

 

「ならこういう手はどうだ?」

「なんだよ」

「貴様が保管していた媚薬だ」

 

 それ私が一人でスる時に使ってる奴!

 

「そんな事だろうと思った。京極に飲ませてやる」

「ダメだ!」

 

 そんなん飲ませたら公衆の面前で先輩の息子が大変な事にッ!

 

「貴様が上と下の口で絞ってやればよかろう」

「無理だ! それ強すぎるからここでヤってる間にバレる!」

「ぐだぐた言っても仕方なかろう。早くするんだ!」

「ダメええええええええええッ!」

 

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