第二百三十二話 文化祭 その四


『お待たせ致しました。間もなく二年一組による演劇「走れメロス」を始めさせていただきます』

 

 ついに始まってしまったか……。

 

「確か浅井さんのお姉さんと妹さんが出るんだっけ? オリジナルのアレンジか……ちょっと楽しみだね」

「そ、そうですね……」

 

 先輩の期待してるものは見られないと思う……。

 

「淀子ちゃんと江代ちゃん、頑張れ!」

 

 ……。

 

※※※

 

『これは、とある異世界のとある騎士の物語』

 

「……」

 

『彼女の名は、闇の騎士メロス』

 

「今日も幼子と幼女が可愛い……」

 

『自他共に認める、子供好きの残念な人である』

 

「おいナレーション」

 

『はい』

 

 いやこの作品のキャラが言えた事じゃないけどさ……ナレーションとキャラが会話すんな。

 

「残念な人と言ったな? 今ここで貴様を滅しても良いのだぞ……うちのママが」

 

 ダサい。普通に台詞がダサい。

 

『あなたのお母さんと知りませんし』

 

 ピッピッピッ……トゥルルル♪

 

『あら江代ちゃんどうしたの?』

「ひっ……ひっく……」

『?』

「ナレーションが、あたしをいじめるの……うわああああああああああん!!」

『大丈夫よ江代ちゃん。ママがやっつけるわ!』

 

 今日は確か来てない筈だけど……ってえええええ!?

 

「ママッ!」

「私に合わせなさい!」

 

 〇Eみたいな魔法陣から母さん出てきた……。

 

『えっ、ちょっ、何してんの!?』

『ギガウィンド!!』『死ねぇッ!』

『あああああああああああああああああああああッ!!』

 

「あいつ呼んだの誰だよ」

 

 俺だけど? By作者

 

「やめてくれ」

「なんか凄いね、浅井さんの学校」

「そうですね……」

 

 先輩無理しなくて良いですからね?

 

「凄くなってきたね~」

「う……うん」

 

 和泉、私と一緒にダブルで突っ込んでくれ。

 そして作者。このネタやる前にFEの覚醒をやれ。

 

※※※

 

 ナレーションが交代し、続きから。

 

『そんなメロスも、ある日激怒しました』

 

「王様は、子供をさらいます」

「何故さらうのだ?」

「臣下のものたちと一緒に、あんなことやこんな事をしているそうです」

「たくさんの幼子や幼女を汚したのか?」

「はい。あそこの美少年も、そっちの美少女も、臣下の子供さえも。あとはブサイクやブスさえも」

 

 いや言い方酷いなこのモブ。

 

「驚いた。王はロリショタコンの変態か?」

 

 お前が言うな。

 

「いいえ変態ではありません。変態という名の紳士だと自分で名乗っています」

 

 要するに変態ですね分かります。

 

「この頃は赤子が生まれる度に差し出せと命じ、大人になったら捨てます」

「なんだと……大人になってからも子供っぽいのがよいのではないか! 吾よりも年下の大人が『ママおっぱい揉みたい』とかな」

 

 江代の性癖が分かんねえよ!

 

「呆れた王だ。生かしておけぬ! というか吾にやらせろ! もっと甘やかしてやる」

 

 ダメだこの世界。

 

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