第二百二十一話 文化祭準備 その四
一方、異世界ハロワでは。
『番号札072の方、19番カウンターまでお越しください』
ここでもこんな扱いかよ。
何で私の番号は下ネタしかねえんだ……?
「えー、浅井初さんですね?」
「はい」
「転移先をお探しという事ですが、現在はどのような世界で生きておられますか?」
「……クソみたいな世界です」
「……と言いますと?」
「姉はドラゴンボールキャラ並み……というかドラゴンボールのキャラだし、妹は何か知らないけど魔法使えるようになってるし、クラスメートや周りの人も馬鹿ばっかりで、唯一良い所が私とバイト先の先輩くらいしかいなくて……そんな頭のおかしい世界の主人公をしていました」
「え? 主人公……じゃあ会社でいう所の部長みたいな感じだったんですね?」
「あー、まあ……そうだな」
会社の役職で例えるのな。流石異世界ハロワ。
「勿体ない」
「いや勿体なくねえだろ」
そりゃあ名誉な事だろうけど、この作品で主人公をやるメリットは全くない。
「質問ですが、何か資格とかはありますか?」
「私一応ただの女子高生な。特にそういうのは無い」
「では特技はありますか?」
「射的」
「なるほど……FPSの世界とかに向いてそうですね」
良いね。先輩という王子を守る銃士……くーカッコいい!
「何か就職先に対する条件はありますか?」
「そうだなあ……」
たまにあるよな、子供を預けておけるとか。
「私の大事な先輩一人をその世界に連れていきたいんですが、それって出来るか?」
「ちょっとすみませんね……条件に合う奴を探してみます……」
パソコンを操作する女性スタッフ。
「んーっと……あ、奇跡的に三件見つかりました」
お、マジか。
「どういう感じだ?」
「一つ目は乙女ゲーの世界ですね。主人公は貴方、落としキャラの一人にその先輩がなります」
おー! ワンチャンハーレムもッ!
「あ、ただゲームの世界なんで、プレイヤーの指図に従わなきゃいけないです」
「……なら良いわ」
「そうですか……」
他人に勝手に操作されるとか嫌だわ。
「あ、それでもゲームの主人公って結構人気の職業なんですよ?」
「マジで!?」
「はい。例えば二十二年前だと、金髪のカッコよさげなお兄さんとかがここにきて、ファンタジー世界に行ったりとか」
「……」
「どうしました?」
「色々とそれに関して質問したいんだが、良いか?」
「はい」
「まず、お前二十代くらいに見えるけど、ホントはいくつなんだ?」
「……女性に年齢の話をするんですか?」
「良いだろ私も女なんだから」
「黙秘権を行使します」
ババアが。
「しばきますよ」
「返り討ちにしてやる」
「とにかく答えません」
「あいあい」
「他には?」
「その人数年前にス〇ブラに出てなかった?」
「出てますね。ゲスト枠で……」
やっぱりあの人じゃん。
あの人ここ来たの?
「今年収いくらなんだろ」
「そういう問題か?」
「意外と儲からないもんですよ……こういう職業」
「なるほどな……」
「今では無世界属者という人も増えているので、積極的にそういう人達に世界を提供する活動もしていますが……」
無世界属?
「つまりヒッキーの事?」
「ええ。因みに私は最初貴方をそうだと思いました」
「失礼過ぎるだろ殺すぞ」
「すみません」
てか無職は分かるけど、世界に属さないって……想像してみたけどどういう状況だよ。
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