第百三十三話 淀子と和泉


「一緒に帰ろうぜ、和泉」

「ごめん。今日も用事あるから」

「そうか……」

 

※※※

 

「よーどーこーちゃん!」

「じゃあ行こっか和泉」

「うん!」

 

 あ……常識人ルートから外れた……。

 

「何して遊ぶ?」

「どうしよっかなあ」

 

 やめろ姉さん! そいつは貴重な微乳レ……じゃなかった。常識人キャラだぞ!

 お前のせいで毒されたらどうすんだッ!

 

「取り敢えず私やりたい事決めたからついてきて」

「分かったよ淀子ちゃん」

 

 はい尾行決定。

 

※※※

 

 路地裏にて。

 

「はよ出しなよ」

「クソ淀子が……俺様がそう何度もあァァァァァァッ!!」

「ん? それどういう意味かしら?」

「ど……どうぞ」

「ありがと~♪ 取り敢えず床のシミになってね?」

「ゑ……ぎゃああァァァァァァァァァあッ!!」

 

 いつものか……。

 

「資金調達出来たわよ」

「うん。行こっか」

 

 いや目の前の光景無視したぞ和泉!

 ツッこんでくれよ流石に!

 

「畜生覚えてろよ悪魔め!」

「あ”ん”?」

「何でもありません……」

 

 愚痴る気持ちも分かるのが怖いな。

 

※※※

 

 そのまま二人はカフェに移動した。

 

「プリンくれ」

「かしこまりました」

 

 幸いな事に、二人は私が好きなカフェを選んだ。

 そして覗くのに最適な席も余っていた。

 

「どんな会話をするんだ……?」

 

「今日淀子ちゃんを遊びたいと思ったのはね、お願いしたかったからなの」

「へー。私にお願い? 死を覚悟?」

 

 まあそうなるわな。

 

「ち、違うよ~。冗談が上手いね~」

 

 お前の目の前に広がってた光景は冗談じゃないからな……?

 

「ありがと……」

 

 珍しいな姉さんが苦笑いとか。

 和泉別に力強くねえんだけどな……。

 

「それでお願いって言うのはね」

「あ、カツアゲ禁止とかならやめてね。今この場でアンタ消し飛ばすから」

「あらあら」

 

 あらあら、で済ますな!

 

「大丈夫だよ。お願いって言うのはね」

「うん」

「初ちゃんを、私にくれないかなって事」

 

 ゑ?

 

「はあ……?」

「私、初ちゃんの事を愛してるの。でも、淀子ちゃん……初ちゃんをいじめてるみたいだし。見てて苦しいの……」

 

 なんかマズいな。

 

「決めてるの。私……初ちゃんの為なら……」

「うん」

 

「淀子ちゃんや……初ちゃんが大好きな先輩だって殺すって……♪」

 

「……ゑ……えゑ?」

 

 姉さんが動揺してるッ!?

 

「もしそれが嫌なら、初ちゃんに触れようとする邪魔な人達を殺しに行きましょ♪」

「ごめんここで倒れて」

「え?」

「おらあッ!」

「きゃあああああああッ!」

 

 ……良かったのかなあ……。

 

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