第百十八話 江代 馬鹿達の戦国 その六
『一五九〇年 小田原城戦』
秀吉は御年五四歳。
もう天下統一は目前まで迫っていた。
「江代はええのう。歳を取っていなくて」
「ふっ……大人の事情さ」
いや答えるのかよ。
「それより秀吉、この戦いはどう勝つつもりだ?」
「敵は籠城で耐えようとしている。無血でこの戦いを終わらせる為には、相手から兵糧を奪う必要がある……。今家康殿や正宗殿に、兵糧を守る兵たちを倒させ、兵糧を奪っている途中だ」
「なるほどな……」
秀吉の人生で、小田原城戦はかなり苦労したのは歴史でよく聞く話だ。
「ふっ……吾に任せよ」
「どういう事じゃ?」
「バナナを投げるだけが戦いでないという事を、貴様に身をもって教えてやる」
嫌な予感しかしねえ。
※※※
「今こそ……吾のスキルが生きる時ッ!」
こいつのスキル……まさか……ッ!
「完成だ……ッ!」
※※※
数日後。
「ふっ……いよいよだ。今日で全てが終わる!」
何をする気だ……?
「貴様ら! これが目に入らぬかッ!」
「うう……お腹が減って死にそうだ……」
「早く嫁さんの手料理と嫁さんが食べたいよ~……」
「(まず男連中を城から出すんだ……)」
「吾の描いた春画はいらぬか!?」
「うお! なんかよく分かんねえけど! 淫らで美しいイラストだ!」
「もう籠城なんかやってられっか!」
「飯も心配するな! 秀吉が貴様らの分まで面倒を見てやる! それに見よ……秀吉と淀殿のあのシーンやこのシーンも入れておるぞ!」
「うおおおおおおおッ!!」
男って何でこう馬鹿なんだ!?
「春画くれ~!」
「飯くれ~!」
※※※
「これが……戦わずして勝つという事だ!」
才能の無駄遣いじゃねえかッ!
『その後一時間も経たずに小田原城は落城。秀吉は信長の悲願でもあった天下統一を成し遂げた』
※※※
「ふっ……秀吉よ、天下統一したぞ」
「あの……江代さん? あのシーンやこのシーンってまさか……」
「ふっ。これは金になりそうだ」
「いやああああああああッ!」
秀吉……ご愁傷様です。
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