浅井三姉妹のバカな日常

第百十話 エアガン無双

　最悪の日がやってきてしまった。

　本当に……本当に最悪な日が。浅井淀子の妹として生まれた事を、一番呪いたくなった日。

「よう貧乳。テメエの姉貴に殴られた恨み……晴らさせてもらうぜ」

　畜生。

「オメエの姉貴のせいで何回金取られたか分かってんのか？　アン？」

　何も言えねえのが辛ぇ……。

「そもそも財布を持って歩くのが悪い」

「はあ？　じゃあオメエは」

「持ってる」

「持ってるんじゃねえかよ！」

　しょうがねえだろ！？　ここで黙ってもテメエら帰さねえだろうし！

「はあ……。私も暇じゃねえから、どけよ」

「転がされてぇみてぇだな……」

　手をポキポキと鳴らす不良。

　残念だけどね、全く威嚇になってねえよ？

「いいからどけ」

「死ねェェェェッ！」

　拳が飛んでくる。

「黙って立ってりゃ……良い度胸だ畜生めェ！」

「ごわっ！」

　あれ……私こんな強かったっけか？

「こ……こいつ強いぞ」

「なんかすげえ腹立ったからよォ……テメエらここでぶっ飛ばすわ」

「理不尽か！」

　テメエらの理不尽……温くねえか？

「うおおおおおッ！」

「掴んだ」

「何ッ……」

「おらあっ！」

　無言のボディーブロー。

　からの、エアガン。

「撃たれてぇ奴からかかってこい」

「躱しながら進むぞ！　うおおおおおおッ！」

　甘ぇわクソ共！

「ごわっ！」

「ぐっ！」

「ああッ！」

　百発百中。

「私に当てられないものなんて無いぞ」

　災難だが、気晴らしになったな。

「ん？　なにこれ」

「姉さん……」

「あー、私が来る前に弱体化させたのね。珍しいじゃん、役立たずにしては」

「後で轢き殺してぇ」

「んじゃ、やるね」

　ゑ。

「ちょっと待て！　そいつら弱ってるから！　今拳入れたら死んじゃうから！」

「大丈夫大丈夫。痛み感じる前に天国に連れてくわ」

　そういう意味じゃねえェェッ！

「や、やめろォ……！　死にたくねえ！　死にたくねぇ！」

「死ぬ？　違うわよ」

「え？　じゃあ何を……」

「永遠に眠るのよ」

「それ意味一緒……」

「そっか。じゃあね」

「ゑ……ああああああああああああああああッ！！」

　今日も街は……平和だ。