第九十二話 淀子、バイトを始める その五


「ガソスタはダメだな」

「え~」

「え~、じゃねえよ! 何故あれで通ると思った!?」

 

 しかし、どうする……他に高校生が出来そうな事だと……。

 

「遠藤の店で働くのはどうだ?」

「却下」

「どうしてだよぉお!」

「客が怖がるから」

「美人な私を怖がる方が頭おかしいわ」

 

 頭おかしいのはお前だがな。

 

※※※

 

 さて、またも行く手を阻まれた。

 姉さんの希望職は、もうあの結果を見れば分かるが不採用。

 ていうか、もうあの時点でバイトは無理じゃないのか? カツアゲをさせるしかないのか……?

 

「いや、駄目だ!」

 

 諦めたらいけない。

 これはチャンスなのだ。浅井淀子という人間を、まともな方向に軌道修正する為の。

 彼女自らバイトをしたいと言うまで、私はどれだけ傷ついた?

 このチャンス、無駄には出来ない。

 

「考えろ……姉さんがやっても問題無さそうで。姉さんの顔面が活かせそうな仕事。それは……」

 

 私は眼を閉じた。

 

※※※ 《閃きアナグラム 開始》

 

『え??む?ょ?』『残りのテキスト 4』

 

 無理矢理ゲームの雰囲気にしようとして失敗したな作者の奴め。

 

 私の手には銃。そして埋めるべき文字が、私に向かって飛んできている。

 

「ダンガン〇ンパかよ」

 

 まあ良い。まずは『す』だ。

 見つけるや否や、二度発砲する。

 

『えす?む?ょ?』『残りのテキスト 3』

 

 分かり辛ぇ……。

 続いて『え』。

 

『えすえむ?ょ?』

 

 もうサクっと行くぞ。

『じ』と『う』!

 

『よし分かったぞ!』

 

※※※ COMPLETE!

 

「姉さんは、SM嬢になるべきじゃね?」

「? ねえ初」

「なんだよ」

「アンタ貴重な尺使って、なんて答え導いてんのよ。私がSM嬢とか、馬鹿にしてる?」

「おうよ」

「うん殺すわね」

「おいちょっ待て……それはヤバ……ああああああああああん!!」

 

 コーヒーミル……意外と痛い……。

 

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