第五十七話 定期テスト その一

「はぁ~……やだなぁ……」

「どうしたよ和泉」

「明日テストだよ~? 忘れたの~?」

「いや忘れてねえよ先公も言ってたろ?」

「なんでそんな余裕そうなの~?」

「実際あんなの余裕だろ」

 

 この際だからはっきり言うが、あの学校のテストは簡単過ぎる。

 どう考えても高校生のレベルではない。

 

「だって初ちゃんに勝てないし~」

「確かにお前三位だな」

 

 私は一位。まあこの学校で一位を取れたとて、良い事など一つもないが。

 

「初さん待ちなさい!」

 

 あ、この声は。

 

「あなたのライバル、六角美咲です。今回こそ私は、貴方に勝ちます!」

「……どうせ二位だろ?」

「なっ! 私は今回こそ勝ちます! 頭悪そうな貴方に!」

「実際お前も頭悪いけどな」

「はあ!?」

 

 いや、自分が馬鹿だって事に気付いてない事が怖いよ。

 何こいつ。自分賢いとか思ってんの?

 

「お前その内、男に気持ち悪がられるぞ」

「初ちゃん、それブーメランって奴だと思うよ」

 

 この世界の流行語大賞で上位行きそうだな……『ブーメラン』。

 

「そうです! そのブーメランという奴です!」

「ワンチャン和泉より頭悪い説あるぞ」

「だから初ちゃん人の事

「少し黙ってて」

「と……とにかく! 明日が楽しみですね! 私は絶対、貴方に負けませんわ!」

「へいへい」

 

※※※

 

「初~。これからゲーセン行かない?」

「行かねえ」

「は?」

「いや、明日テストだから。お前もテスト勉強しろよ」

「ねえ初」

「なんだよ」

「テストベンキョウ、って何?」

「そこからッ!?」

 

 いや、確かに私はこいつが自分から勉強するとこなんて見た事ねえけど。

 

「お前一年の時赤点ばっかだったんだから、今回こそ良い点とれよ。てか中学の時よりは簡単だろ?」

「アンタが何言ってるのか全然分かんないわよ」

「お前よくそれで高校入れたな」

 

 あの高校が偏差値最低なのを考慮しても、こいつがどうして入れたのか分からねえ。

 

「山勘で何とかなるものよ。テストなんて」

「山勘で赤点連発してる奴に言われたくねえよ」

「ふっ……闇の世界の住民たる吾に、試験など不要。吾はこの世界の知識を全て有して

「Tan45°は?」

「知らんな」

「知らねえのかよッ!」

 

 答え一だよ馬鹿野郎。

(いや俺分かんねえよ)

 それは作者、お前が文系脳だからだろッ!? 勉強しろよ勉強!

 

「こいつら本当に大丈夫か……?」

 

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