「う」

飢えているの。潤うことのない内なる心が、訴える。

譫言ばかり、恨み言ばかり、噂ばかり、嘘ばかり囁いて、うんざりされる、うちの子に。

浮いた鱗を羨んで、うっかり腕を海辺に打ち付ける。

裏切ったうら若き娘の後ろ姿、うすぼんやりと思い出して、羨ましいと嘘をつく。

嬉しかったの、薄着のうちの子が海辺で嬉しそうに走り回る後ろ姿を見つめるの。美しかったの。

雲泥の差があるうちの子と乙女とでは、羨ましがることも叶わない。

浮かれた鵜飼、上辺だけの譫言をうめく。

渦が羽化する。

雨季が愁える。

後ろばかり見ていて、上だと錯覚する。

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