希望の珠7 鬼の居ぬ間

陽子天狗が鬼の軍勢を率いて東犬の元へ戻ってきた。


土俵の周りを旋回し、

里見を見つけると抱えて真上に上昇を始めた。


鬼軍勢はほぼ土俵の周りにたむろっている。

そこへ犬塚が霧を展開していく。


犬士が持つ武器で大軍に唯一対抗できる村雨が毒霧をまき散らす。


攻めて引く。

昔からよく使われた戦法で鬼を一掃した。



亀姫は富士山地下魔界でようやく乙姫の匂いを嗅ぎつける事が出来た。


地上への脱出位置に東犬を残して、犬士三人で亀姫について行く。

まだ乙姫の元へ珠転送は出来ないが、別の要因なのだろう。


匂いの方角へ真っすぐ進んでいくと、巨大な足音が響いてきた。


巨人がこちらに走って来る。

ネーバ星で倒しきれなかった巨大堕天使サイズの倍、20メートルはある。


だいだらぼっち。

科学的に不可能な速度で動く巨人が走る事で大地震が発生する。

まともに逃げる間もなく、至近距離を走り抜けて行く。


踏み抜いた地面が爆発し、皆吹っ飛んだ。

里見は吹き飛ばされながらだいだらぼっちの顔を見ている。

目、鼻、口が無い。



「怪我は無いかね」


吹き飛んだ犬塚に手を貸す男は隻腕。

顔を見るとのっぺらぼうだった。


途端に視界が真っ暗になる。

犬塚は霧を展開したが、それより早く逃げられた。


のっぺらぼうが錫杖を投げつけて、だいだらぼっちをおびき寄せる。

気付いただいだらぼっちが再び近づいて来てまた大地震が起きる。


犬塚も酒呑童子戦の犬神同様踏ん張りは効くが、

あまりに大地震すぎて動けない。

霧を展開する事に徹した犬塚の元へ陽子が飛んで来て空中へ避難した。


同じく吹き飛んだ里見はゆっくり立ち上がろうとする。

そこへ背後から近寄る男。


のっぺらぼう「怪我は無いかね」

里見の肩に手を置くと、『ガチャリ』手錠を掛けられた。


以前狛ちゃんに斬られて隻腕となったのっぺらぼうに逃げる術は無い。

里見はのっぺらぼうを地面に叩き付け、令和の剣を突き刺した。


効果なし。

と同時に視界が真っ暗になったが構わず手錠の感触を頼りに、

のっぺらぼうを叩き付ける。

髭切小太刀に持ち替えて馬乗りになり首を斬った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る