2 パートナーからのプレゼント

 私の近くに立っていたその男の子は、少し戸惑っていた。お姉さんやお兄さんの中に紛れて、一人、私と同じくらいの年齢。


 明らかに頼りなさげで、昨日までもそうだったはずなのに、あれが私の「パートナー」なのかとまた一つ疑問を抱いた。


 これだけ何も思い出せない状況でも、私は自分の「パートナー」の名前はしっかりと覚えていた。


紳一しんいち、プレゼント、まゆみに渡さないの?」


 彼の名前を呼んだのは、私ではなく彩佳ねえだった。


 よく見ると、まだ小さな彼の手には、綺麗にラッピングされたプレゼントが握られていた。私への誕生日プレゼントに渡す物だろう。


「夜まで待ちきれないから今渡すんでしょ?」


 …プレゼント、なんだろ。


 大好きないちごを最後に残しながらフルーツを味わっていた私の興味は、すぐにプレゼントに移った。


「紳一。」


 早くプレゼントを見たくて名前を呼ぶと、紳一はぎこちなく近づいてきて、私にプレゼントを差し出した。


「おめでとう。」


 全身を赤く染めながら、一言。彼はまるでこれが初対面かのように言った。


「ありがと。」


 お礼を言う私の顔は、満面の笑みだったと思う。その顔で彼の目をまっすぐにみつめると、彼はほんのり赤かった顔をさらに一段と赤く色づかせた。


「ねー、今開けていい?」

「うん、いいよ。」


 言いながら、私の目線に耐えきれなくなってか目を逸らしたのがかわいかった。

 

 私はもらったプレゼントの包装を丁寧に剥がした。ビリビリに破いて開けるのは、周りにみんながいるし、勿体ない感じがしてやめておいた。自分の顔位の大きさの箱を開けると、中にはかわいらしい、人形の形をしたオルゴールと花柄のヘアピンが入ってあった。


「かわいいー。」

「よかった。」


 恥ずかしそうにしていた彼も、目をキラキラさせて喜ぶ私を見ると笑顔に変わった。


「まゆみも、紳一もよかったね。」


 彩佳ねえも横で微笑んでいた。

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