第257話 一回やってみたかったん
『この様な
うぅわぁ……アル
一体、何が彼女を
全然言ってる内容は分んないけど、絶対コレ、お願いしてる雰囲気ゼロじゃん!
だって、ここに居る人たち全員が、なんだかザワザワしてるんだもの。
めっちゃ、
『……アルテミシア様』
『なんだ? イリニ殿。申したき儀があれば、申して見よ。許す』
『はい、それでは失礼して。アルテミシア様からの、突然の
うわぁぁ、何だかあのお姉さんも
そりゃそうだよね。
突然夜中にやって来て、横からお前のネコ寄越せって、流石に無いよね。
めっちゃ
それに、何て言うの? 下から舐める様に見上げるあのやり方?
めっちゃ手慣れてる。絶対に数々の
彼女はそう……ヤンキーだ。
都会では既に絶滅したと言われる、ヤンキー、元ヤンに違い無いっ!
だって、アル
昔は絶対レディースで、エレトリア女学園三代目総長だったに
『ふふっ、仕方の無い事よのぉ。
はわわわわ。
アル
ザワザワして来たよ。なんだか、もっとザワザワして来たよっ。
って俺。
そろそろ周囲の緊張感もピークに達したその時、満を持したアル
『えぇぇいっ! 静まれっ、静まれぇぇいっ!』
『ここに
『全能神レオニダス様の権能を受け継ぐ、唯一無二の皇子。“暴れん坊将軍”こと、レオンティウス獅子王様であるぞぉ!』
『なっ、なんとっ!』
『レオンティウス様……』『獅子王様……』『ABARENBOUとは……いったい……』
どどど、どうしたの? 何があったの? 一体何が起きたの?
めっちゃガン見してるよっ!
アッ、アル
って言うか、途中で「アバレンボウ」とか入って無かった? ねぇ、これ、上手く伝わってる?
とにかく、どうすりゃ良いのか
すると、こんな緊迫した状態にもかかわらず、あろうことか
しかも、そんなアル
(……
あぁ、そうか、これっ、これかっ!
ようやく
『『『おぉっ! うぉぉぉぉ!』』』
まぁね。そりゃ驚くだろうさ。
超強力懐中電灯を手に持つ俺が、馬上で自分の顔をガチで照らしてる訳だからな。
なにしろ、車のヘッドライトもビックリ……ってぐらいの一万五千ルーメンだぞ。
まぁ、バラエティ番組なら、完全に出オチのレベルだよ。
なんだよこれぇ……アル
アル
やだなぁ。変なコントの
って、思ってたのにぃ……。
『一同の者、皇子様の御前であるっ! 頭が高い、控えおろぉぅ!』
うぉぉ、アル
『『『はっ! ははぁぁぁ!』』』
おいおいおいっ。
お前達もかよっ!
って言うか、ノリ突っ込み? これ、ノリ突っ込みなの?
『ヤバい、本物の皇子様だっ』
『うぉぉ、突然手か光ったぞ。魔道か? あれ、魔道なのか?』
『馬鹿野郎、神様が使うのは魔法だっ、魔道じゃねぇ。きっと、あの光に照らされると、
『マジかっ、ヤベぇ、ヤベぇよぉ。俺、おととい
『馬鹿、泣くなっ! それに、皇子様と目を合わせるなっ。神様と目を合わせると、
『マジかぁ、うわぁぁ、死にたくねぇ、俺、まだプロピュライアは
うわっちゃー。
やっぱり
誰も笑わなどころか、奥の方の兵隊さん達なんて、陰でコソコソ話し込んでるじゃん。
もぉぉ。やっぱりこの手の出オチ系は、ウケないってぇ。
せいぜい小学生くらい迄が限界だってぇ。
それにしてもアル
もう、めっちゃ
ん? 何? アル
はいはい、スイッチを……もう……切りなさい?
あぁ、もう良いのね。懐中電灯オチは、もう要らないって事ね。
俺は照れ笑いを隠しつつ、そっと懐中電灯のスイッチを切ったんだ。
『うむ。ようやくお前達にも事の重大さが伝わった様だな。それでは早速、その獣人とやらを連れて参れ。皇子様はご多忙じゃ。急ぎ皇子様にもご検分頂かねばならぬ。ほれ、
『はっ、ただ今!』
あれ? 最初の
あぁ、見える、見える。緑色の髪が見える。
月明かりの中でも、結構ちゃんと見えるもんだねぇ。
それにしても、全然動かないけど、寝てるのかな?
そりゃそうか。
今は真夜中だもんね。
って……あれ?
『『『……』』』
『これは
『いいえ、
『くっ。ならばイリニ殿。これはマロネイア家の
『恐れながら、アルテミシア様……当家では奴隷に対し、この様な仕打ちを行った事は一切御座いません。それに傷がまだ新しい。当家より逃げ出したは、既に一週間前で御座いますれば……』
『ううぅむ。それでは、逃げ惑う間に、何か
あれ? どうしたんだろ。
暗くて良く見えなかったけど、アル
『やはりこの娘、もらい受ける事と致そう。この様子では、プロピュライアを
『はい。確かにこの
『うむ。それから、姉の方がもし見つかれば、太陽神殿へと連れて来るが良い。死して離れ離れと言うのも忍びないからな。それから、アゲロス殿へも良しなに。あぁ、折を見て太陽神殿の方へもお越し頂きたいとお伝え下さらぬか。確かに
『ははっ、畏まりまして御座います』
『うむ。頼んだぞ』
大きな布包みを片手に抱え、僕の所に戻って来たアル
「
(翻訳:慶太ちゃん、ごめんなさい。ちょっと急いで戻らないといけなくなりました。ごめんなさい、本当にごめんなさい)
アル
馬上ではずっと無言のアル
そう言えば、あんなに悲しそうなアル
初めてかもしれない……。
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