第二十四章 愛しの君を追って(皇子ルート)

第250話 一緒にイク?

慶太けーちゃん……」


慶太けーちゃん……起きて、ねぇ、起きてぇ」



 うっ……ううぅぅん。


 が俺の事を呼んでいる。


 甘く……切ないこの響きは……。



「ねぇ、慶太けーちゃん、私、もう我慢ならんがんなったん」

(翻訳:ねぇ、慶太ちゃん、私、もう我慢出来なくなったの)


「私ね、イク時は一緒にって、決めとったんぜぇ。だから、早くぅ」

(翻訳:私ね、イク時は一緒にって、決めていたのよ。だから早くぅ)



 ――フサッ


 俺の頬に当たるサラサラとした感覚。


 ん? 髪の毛……?


 後を追う様に俺の鼻腔びこうをくすぐるのは、あわさわやかな石鹸の香り。

 

 ……あぁ、良い香りだぁ。


 やがて、が俺の腰へと手を添えて来たんだ。



「すごいがんぜぇ、もう、ピクピクしとるがん。こーんなに大っきくなっちゃってぇ。……ちょっとイカ臭いけど、私はあの匂い、大好きながやちゃ。だって、口の中に入れたら、とろけそうやもん」

(翻訳:すごいのよ。もう、ピクピクしてるの。こんなに大きくなっちゃって。……少しイカ臭いけど、私はあの臭い、大好きなのよ。だって、口の中に入れたら、とろけそうなのだもの)



 急に、何言っているの? そっ、そんな事言われちゃったら、そりゃ『ピクピク』もしようってもんでしょ? そう言うもんでしょ? だってそうなるなんだもの。



「もう慶太けーちゃん、私、我慢でっきんがんなったぁ。私だけ、先にイっても良い? あぁ、でも、やっぱり一緒にイキたいっ! ねぇ、慶太ちゃーん、早く、早くぅ!」

(翻訳:もう、慶太ちゃん、私、我慢できなくなったの。私だけ先にイっても良い? あぁ、でもやっぱり一緒にイキたいの! ねぇ、慶太ちゃーん、早く、早くぅ!)



 俺の腰に添えられた手が、だんだん激しさを増して行く。


 はうはうはう!


 ダメ、駄目だって、それ以上激しく揺らしちゃダメッ!、



「うわぁ、アルねーぇ! 僕と一緒にイこっ!」



 もう、辛抱たまらなくなった俺は、腰に添えられたその手を掴むと、一気にを抱き寄せたんだ。



 ――ゴンッ!



「痛ったぁぁぁ!」



 なっ、何が起きたっ! 突然何か硬いものに頭突きしたぞ!



「もー慶太けーちゃん、何しとるん? いきなり抱き付いて来たら、危ないよぉ。私よろい着とるしぃ」

(翻訳:もー慶太ちゃん、何してるんですか? いきなり抱き付いて来たら、危ないですよ。私はよろいを着ているんですから)



「あっ、アルねーぇ、何その格好?」



 ジンジンと痛む額を撫でながら、声のする方に目を向けると、そこには白銀に輝く『よろいコス』状態のアル姉が。



「どうしたも、こうしたも、私、こっちの世界だといつもこの格好ながんよぉ。って言うか、これ以外に服ちゃ持っとらんからねぇ」

(翻訳:どうしたも、こうしたも無いですよ。私はこちらの世界ですと、いつもこの格好なんです。と言うより、これ以外の外出着を持ってないのですよね」



 あぁ、そうか……。


 俺、に来てたんだった。


 急にあんな色っぽい『起こし方』されるから、色々混乱しちゃったよ。


 しっかし、あの『起こし方』は反則だよなぁ。


 完全にダメなパターンだよ。ホント、絶対にやっちゃダメだね。


 もう、ホント、ダメ寄りの駄目って言うよりは、ちょっとアリ寄りの駄目……と言うのもちがくてぇ、俺の気持ち的にはアリ寄りのアリ……って言うか、やっぱアリだな。うん。あり、アリ。是非次回もこれで起こしてもうらおうっと。うん、そうしよう。そうしよう。


 って、そんな事はどうでも良いよっ!



「ねぇ、それより、まだ外は暗い感じだけど、一体どしたの?」



 窓の外は、まだ真っ暗。


 なんだったら綺麗な星が輝いて見える。


 なんでまた、こんな真夜中に俺を起こしたんだろう?


 って、まさか……。


 まさかって言ったら、その……まさか?


 アルねーも俺の夜伽よとぎに参加……って事?


 うきーマジかー。アルねーぇ、マジなのかぁ。


 あのダイナマイトボディで参戦しちゃうのか?


 ついに大御所が参戦なのかぁ?


 ……って待てよ?


 でも、それにしちゃあ、アルねーぇ鎧コス状態だよね。


 んん?


 はっ! って言うか、これって、アレ? アレなの?



 ――ピカッ!



 その時! 俺の脳内に走る一筋の稲妻いなずまっ!


 ……そうか、そうなんだな。


 こっ、こいつぁぁ……。


 鎧コス……プレイ?


 うぉぉぉ! キター! ちょっとどうしよう。


 俺、まだ『』すら迎えてないのに、いきなりの鎧コスプレイなの? そうなの? そうなんでしょ? アルねーのお好みは、そう言う事なんでしょ?


 いや仕方が無い。


 女性に恥じをかかせる事なんて、出来ようはずもございません。


 いどまれれば、どんなプレイでも受けて立つ!


 それこそが童貞の心意気ってもんでござんしょう。……って俺、今、誰目線だれめせん



「そやねぇ、でも、イカりは、深夜から早朝って言うのが決まりやからねぇ」

(翻訳:そうですね。でもイカりは、深夜から早朝って言うのが決まりですからね)



「って、アルねーぇ、今からイカりに行くのぉ?」



 流石の俺も驚きを隠せない。



「そやよぉ、もうねぇ、海岸が青い光で一杯になってねぇ、めっちゃ綺麗ながやちゃ」

(そうですよ。もう、海岸が青い光で一杯になって、すごく綺麗なんですよ」



 あぁ、確かホタルイカみたいなイカがれるって、前にアルねーが言ってたっけ……。


 あれ? って事は、俺が昔から良く食べさせてもらってた『イカの味噌和みそあえ』って、ココのイカだったって事? うぉぉ、てっきり地元のヤツだと思ってたら、こんな遠くのイカだったとは……。


 でもココって、じーちゃん家からぐだから、どっちかっちゅーと、ココの方が近いのか? んん? どうなんだ?


 いやいや、そんな事より、聞かなきゃいけない事が他にもあるんだよ。



「それより、ダニエラさんとリーティアは?」


「あぁ、ダニちゃんとリーちゃんは、お互いけしない様に、今日の所は向こうの世界に居るってぇ。それに慶太けーちゃん、今日はもう帰らんならんがんやろぉ。折角だから、慶太けーちゃんに、綺麗きれいな海を見せてあげたかったん」

(翻訳:あぁ、ダニエラさんとリーティアさんは、お互いけしない様に、今日の所は向こうの世界に居る事になった様ですよ。それに慶太ちゃんは、今日はもう東京に帰らなければいけないんでしょ。折角ですから慶太ちゃんに、綺麗きれいな海を見せてあげたかったんですよ)



 と、のたまう、ニコニコ顔のアルねー


 うーん、そう言ってもらえれば、率直に嬉しいは、嬉しい。


 が、しかし本当にそれだけか?


 うーん。


 多分、たぶんだけど、アルねーは、俺に海を見せたい……と言う事を口実に、単にイカをりたいだけなんじゃないだろうか?


 うーん。


 うん、間違いないな。きっとそうに違いない。


 まぁ、元々子供みたいな女性ひとだからなぁ。


 百歩譲って、久しぶりに童心に帰って遊びたいって言うのもあるんだろうけど。


 アルねーは、綺麗とかそんな色気いろけより、絶対が優先に違いない。



 ――ま、良いっか。



 昔みたいにはしゃいでるアルねーを見てると、そんな事はどうでも良くなってくる。


 もう、あの人懐ひとなつっこい笑顔が見れただけでも、十分良かったって事だよな。


 と、一人納得する俺。



「分かったよ。それじゃあ行こっか」



「うんっ!」



 俺の言葉に、無邪気むじゃきうなずくアルねー


 彼女は子供の頃から何にも変わらない、変わっていない。


 俺を心の底からホッとさせてくれる。そんな女性ひとなんだ。

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