4月25日(日) 広島市中区袋町にある立ち呑み店「キッチン福本屋」で飲んで食べる。
広島市中区袋町にある立ち呑み店「キッチン福本屋」で飲んで食べる。
なんとなくルーティンができていくようで、店を知れば次第にその環は広がっていくようで、削られていくところもあれば、頻度は減っていくのかもしれない。
すこしだけ悩む夜となった。何をきっかけに始めたかと思い出せば、もちろんその発端は些細であってもその前後の日を震撼させる出来事であって、悔しさと悲しさを含めたパッションの行き場が毛細血管に再び血を巡らせるように流れだしたわけで、それが支流をたくさん作り、手をあまりに広げて本題に戻ることになる、そんな先々を考えた。そろそろ四十になるし。
ふと頭に描かれるのは、横枝が伸びたオリーブの木の思い切った剪定で、真ん中の太い幹だけを残して断ってしまおうかと思う。すれば迷いと悩みは即座に離れて、単純な目的に向かって成長は集中される。たぶんそのとおりだろう。
極端は一箇所に集中されればいいが、枝葉を広げて増えていくので、気づけば抱えきれない重さに幹は横に倒れてしまいそうになる。それを放棄というのか、それとも妥協と断念というのか、きっとどの言葉でも構わないが、本心はやはり見え隠れしていて、どの作業も逃げの一言で片付いてしまう。それらを含めて、個人のエゴによる面倒くさい、もしくは干渉しがたい、端的にすれば「勝手にすればいいじゃん」という助言で終わる悩みとなる。
そんな時はひとまず打っちゃっておいて、酒を飲む。「キッチン福本屋」さんは日本酒の提供が少し変更されていて、一杯の価格は客としては小躍りする値段になっている。種類も増えていて、ラインナップの質は当然疑う余地はない。冷たくて美味しい純米酒しかないのだ。
岡山の大典白菊は強くて重い。長野の黒澤は微発泡にきりっと辛い。奈良漬けクロケットはホクホク熱くて挽き肉が芋たっぷりで香ばしい。ベーコンとほうれん草のバターソテーはさっぱりオイリーでどんどんいける。
始めてしまうと簡単には止められない。それをわかっていながら手を染める悪い癖だ。踏ん切りを今はつけない朧気な悩みを抱えながら、今日はとても楽しかったとほろ酔いで家に帰る。陽気があまりにも心地よくて、気温が幸せを決めると感じながら、贅沢に悩みたい振りをする夜なんだな。
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