2月20日(土) 広島市中区本通にあるバー「PUB and BAR PIC」でメスカルを飲む。

広島市中区本通にあるバー「PUB and BAR PIC」でメスカルを飲む。


クラフトジンの種類だけでなく、一体どれほどの蒸留酒が置いてあるのか想像できない「PUB and BAR PIC」さんに行ってきた。最近は「全酒類販売 有限会社 ももや」さんでウィスキーを飲んでいるので、ふと、もっとメスカルの味が知りたくなった。


考えてみれば、ほぼ毎週の休みにふらつく本通界隈にあって、遅くない時間から営業しているこの店は、他にもそのような店はあるのかも知れないが、自分の休みの動線と嗜好に一致している。ただネックに考えていた一杯の値段だが、立ち飲み屋で一品と一杯で過ごすよりもかからないので、ふらっと寄って一杯蒸留酒を味わうのなら、なにも高いところではない。


そんなわけで先週から行きたいと思っていたところ、映画が終わってから時間も残っていたので足を運んだ。


すると珍しいメスカルを飲ませてもらえた。イラストの調子と遠近感がとても愛らしく、瓶のシルエットも割って武器にするにはもってこいで、緑色もたまらない。


50度に近いアルコール度数のとおりインパクトはあるのだが、口当たりからふくよかな丸みが広がり、味の変化のなかにアガベ特有の香りとスモーキーがあってとても美味しい。ウィスキーとは異なるものの特有のクセの強さは同じ上層にあり、こういった味の彩りは蒸留酒ならではの痺れる醍醐味だろう。


どうやら本当に貴重なお酒らしく、フランスの現地の販売店で購入した物を持って帰ってきたという代物だそうで、滅多にない体験をさせてもらった。


そしてこの酒を作っているのがメキシコのオアハカにあるサント・ドミンゴ・アルバラダスという村で、シングルヴィレッジメスカルという名称を調べるべくマスターがグーグルアースで調べると、オアハカ中心部よりも東の山間部にあり、まさに村らしい衛星画像を見ることができた。


こんな時に旅行の体験は生きるもので、サンクリストバル・デ・ラスカサスからバス移動した際に自分は車窓からアガベ畑を何度も見ており、またどのような経路でオアハカへ着いたかおぼろげに覚えているので、実際の記憶からサント・ドミンゴ・アルバラダスがあるであろう方角を昔の目線で眺めることになった。


もちろん間違った記憶の混在と想像だろうが、ちょっとしたお酒で小さくない感慨を得て、酒を保護するメキシコらしい模様の編み込みの筒を手に取ると、向こうの手仕事らしいほつれがアホ毛のように跳ねている。情感は体験から昇ると人生を生きてきた高揚感で醸される。やはり「PUB and BAR PIC」さんに来て良かった。

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