1月13日(水) 広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで稲垣浩監督の「無法松の一生」を観る。

広島市中区基町にある広島市映像文化ライブラリーで稲垣浩監督の「無法松の一生」を観る。


1958年(昭和33年) 東宝 104分 カラー 35mm


監督:稲垣浩

原作:岩下俊作

脚色:伊丹万作、稲垣浩

撮影:山田一夫

美術:植田寛

録音:西川善男、下永尚

照明:猪原一郎

音楽:團伊玖磨

編集:黒岩義民

出演:三船敏郎、高峰秀子、芥川比呂志、笠智衆、飯田蝶子、田中春男、宮口精二、多々良純、土屋嘉男、中村伸郎、有島一郎、稲葉義男、小杉義男、上田吉二郎、左卜全


この作品の名前から江戸の香りが燻るようなので、何かの原作には違いないのだろうが、あやふやで不確かだ。ただ破天荒な人物が主人公になるだろうという予測は、それほど外れてはいない。


江戸ではなく明治から大正期を描いたこの作品はカラー映像が明るく、作風も気味の良い冗談やわざとらしい演技があって親しみやすい。「宮本武蔵」でも感じた音楽の扇情的な合わせ方もあり、車引きの主人公らしく車輪が色々に回って時と追憶を体験させる挿入もあると、敷居を低くするファミリー向けのわかりやすさだと思いそうになるが、イタリアの古い映画愛を描いた作品もキャッチーな音楽がしつこく感動を引き起こすように、決して悪いことではない。


青空と明快な画面が映すように、気風のよい主人公を三船敏郎さんが目立って演じている。高峰秀子さんも涼やかな目で存在感を出しているが、まさに竹を割ったようなという台詞が劇中で言われるとおり快男児らしい風采こそ魅力となり、舞台客席での煮炊きや喧嘩に運動会での徒競走など、三船さんらしい瞬発力と強さによるアクションが威勢を放っており、特に祇園太鼓を叩いてみせるシーンでは観客の心拍数をあげるので、その腕っ節のよい鼓動にぐいぐい引き寄せられてしまう。


そのまま江戸に移しても違和感のない下町情緒が方言でやりとりされるのを観ていて、こんな男を憧れ、すぐに無理だと決めつけるほど気前がよい。とにかく、小倉に行ってみたいと思わせられ、目も胸も強く打たれる気分の良い作品だ。

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