12月16日(水) 広島市西区天満町にあるカフェ「Re:Re:river cafe'n」のテイクアウトを食べる。

広島市西区天満町にあるカフェ「Re:Re:river cafe'n リヴァーカフェ」のテイクアウトを食べる。


「Re:Re:river cafe'n リヴァーカフェ」さんのテイクアウトを食卓に広げて、素直な気持ちを表せば、とてもハッピーだった。この言葉は現今の飲食業界への激震を考えると、罪悪感を覚えるどころかあまりに軽々しく、罰当たりな心の持ち方のようだ。直接の影響を受けていない自分のような者は、劇や音楽が消えてしまったら映画へ行き、それもなければ本やベンチへと移動する。そのようにとある店が閉まれば他の店へ行き、そこも閉まればさらに別へ行くという、ただの消費者として自分の欲望の圏内で動くだけだ。同情と他人事の境界があるようでなく、ただあるのは利己的な世界への観察と合理性に基づいた柔軟性のような気がする。たった一日経つだけで、劇や落語だけでなく、店に次ぐ店が休むより他ない道へと誘導され、連鎖反応のように食の光が小さくなっていく。誰だっておもいきり働きたいはずなのに。


考えれば考えるほどきりがなく、またその考えがどれも嘘らしく響いてくる。だからこそ、今の状況の中で自分のできることは、まず「リヴァさん」のテイクアウトを心のゆくまま味わうことだ。


店で食べた味がリピートを促すようで、広島一好物ないぶりがっこ入りポテトサラダに、筑前煮と勘違いしてしまったせせりと山芋のおかか醤油炒め、たしかにピリッとする鶏ムネとじゃがいものピリ辛ゴマ、生姜の甘辛さがねっとり魅惑するもち豚とれんこんのしょうが焼風煮、という小さな日替り惣菜を4品に、店での熱々が何度も口を叫ばせたイカスミライスコロッケと、ポテトに、挽き肉と油の辛味が食欲を叩き起こすチックピーのセット、それに広島レモンのバターチキンカレーに、他にないグリーンな味わいが体をホットにさせる最高に染みたピリ辛タイ風おでんだ。


毎回似た感想を書いてしまうが、「リヴァさん」の料理は酸味、辛味、そして旨味と香辛料が上下作用に幅広く、それでいて軽くならずに親しみやすく、だからといって安っぽさもなく、どの料理もサービス満点と思える量で召し上がれと言ってくれる。おふくろの味と言える要素を持ちながら、アイデアのあふれるレシピに一工夫がこしらえてあり、手間暇を押し付けがましくしない懐の深さがある。


今日もお店へ買いに行けば、温かいお二人が快く迎えてくれる。大変な時で、営業するか判断に迷いに迷うはずなのに、メガネの曇った自分の言い間違いや、メガネを外してもよく見えない自分のあてずっぽうな言動なども、笑っておさめてくれる。レンチンする料理にはわかりやすく印を書いてくれて、おでんも汁たっぷりの熱々にネギの鮮やかな盛り付け、そしてダルマのマスキングテープのちょっとした遊び心など、気遣いが自然とにじみ出ている。


こんな大変な時だからこそハッピーなんて言葉が出てしまうのは、「リヴァさん」の美味しく温かい料理を家でたらふく食べられるだけでなく、その味を通じて人柄の優しい二人の心遣いが感じ取れるからで、それをハッピーと言わずに、一体どんな嘘がつけるのだろう。


人を元気にさせてくれる食を作る人に少しでも元気を分けられるかわからないが、気兼ねすることなくそこにある料理を口にして、一つ一ついちいち感動して幸せを感じていることを、素直に心に表したい。

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