11月14日(土) 広島市中区堺町にあるつけ麺店「つけ麺本舗 ばくだん屋 土橋店」でラーメンを食べる。

広島市中区堺町にあるつけ麺店「つけ麺本舗 ばくだん屋 土橋店」でラーメンを食べる。


最近は十日市エリアでランチをとるにも、場所を探してしまう。行き尽くしたわけではないが、入ってみたい店が頭に思い浮かばない。


職場のグーグルマップでうろうろしていると、河原町あたりに親子丼やあなご重だけでなく、なかなか入り辛い冷麺屋もあるらしいので、空腹のまま向かってみると、親子丼の店は開いておらず、あなご重は値段に怯え、冷麺は空きっ腹の辛みを避けてしまった。


しかたなく十日市エリアに戻って入ったのが「つけ麺本舗 ばくだん屋 土橋店」だった。どこかの「ばくだん屋」に入ったことはあっただろうか、この店は初めてとなり、カウンターの渋い内装は年季がある。ところが女性店員さん二人で切り盛りしていて、駅前の「陽気」さんの話を家で聞くことがあるので、女性でラーメン屋は大変だと一人うなずいてしまう。


時に妖精のように高い声で話す人がいる。とあるヴェトナム料理店でも聞ける声音はここにもあり、囁くように喋る音だけで気の休まるサービスとなる。おそらく怒ることはないのだろう、そんな思い違いをするほど愛想が透き通っている。


脂の乗った男になりたい。乾燥する最近だから、黒蜥蜴のように顔をてからせて乾きを乗り切りたい。そう思ってなかなか濃いスープを飲み干し、セットしたミニ豚めしの脂もうまうまと食べきる。チェーン店というレッテルで入らずにいたが、酒を飲んだあとに食べたくなる味で悪くない。


店を出ようとすると、五人学生が入店してばらけて座る。カウンターにまず置いたのは日本史Bの分厚い本で、それぞれ顔を見れば脂はないが、若気と頭脳のある眼鏡が光っている。まだまだ線が細く、肉が足りない。そのかわり知能は満ち溢れている。


なんだかラーメン屋らしい雰囲気の昼だ。

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